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そうだ、エッセイを書こう

わたしは毎日真剣に二十数年も生きて、今日は何が食べたいのか、今日は何がしたいのか、明日はどんな自分になりたいのか考え続けているというのに、目の前のサラダになんのドレッシングをかければいちばんハッピーになれるのかすらわからない。

なんでこんなにモノを決められないかといえば、わたしは全くもって自分のことがわからないのである。

感情に優先順位をつけることができず、いろんな思いがごちゃごちゃにある自分に振り回されているから、急に厳しい道徳者になる日もあれば、アナーキーな破壊神になる日もある。

誰かどうにかしてくれ〜〜!と思うものの、自分の感情を人にたらたら話す勇気もない。そのくせ、あなたはきっと和風ドレッシングをかけたら一番幸せよと言ってくれるような理解者を求めている。

ドレッシングといえば、先日10年来の友人にすごく感謝されたことがあった。
ポテトについてきた柚子胡椒ディップという名の柚子胡椒マヨネーズディップに顔をしかめている彼女に、マヨネーズのどこが嫌いなのかを聞いてみると、すっぱいのが嫌だと言う。

中学生の頃から彼女とはマヨネーズ嫌い同盟を組んでいたので嫌いなことはもちろん知っていたが(ちなみにわたしは最近食べられるようになった)、酸っぱいからというのは初めて聞いたので、レモンは好きなのにマヨネーズがすっぱいってどういうこと!?となった。

彼女自身もなぜ酸っぱい強弱に関係なくマヨネーズの酸っぱさが嫌いなのかはわからないらしく、2人で真剣に考えた。もしかしてお酢が嫌いなんじゃない?とわたしが提案しても、でもお寿司は食べられるからな〜〜と言って納得しない様子で、いつの間にかピザおいしい!に話題は奪われてそのまま忘れていた。

二週間ほど経って、やたら興奮した様子の連絡が来た。
「言われてからずっと頭の片隅にあったんだけど、やっとお酢が嫌いだってことに気づいたよ!!感激!!点と点がつながった感じ!!何を避ければいいのかわかってとても嬉しい!!ありがとう!!!!」


こっちがちょっと引くくらいの感激を伝えてくれるので可愛いなあと思いながら、役に立てたみたいで嬉しいよと返信した。

カルパッチョもマリネも酢豚もところてんもいなり寿司もイタリアンドレッシングも嫌いなの!と言うので、なんで逆に気づかなかったんだとも思ったが、どうやらお寿司とポン酢に邪魔されていたらしい。(醤油と砂糖が入ればまろやかになって平気らしい、よくわからん)

まあそんなこんなで、奇しくもわたしは彼女にとって和風ドレッシングをかければ一番幸せよと言うような理解者になってしまったのである。

それもこれも彼女がマヨネーズの酸っぱいのが嫌だ!と教えてくれたからに他ならず、わたしもドレッシング指導者を探すなら、ちゃんと自分の好き嫌いを伝える必要があるのだなと振り返って気づいた。

だがそもそもの問題として、わざわざ人の時間をもらって自分の好き嫌いを話す機会なんてそうそうあるものではないし、ぜんぶ聞いてくれ!と言ったら明日になってしまう。

そうだ、エッセイを書こう。

今日あった好きなこと、嫌いなもの、美味しかったもの、気持ち悪かったこと、そう言うわざわざ話すほどでもないようなことを書きためて、ドレッシング指導者が現れるのを気長に待ってみよう。

とまあ長過ぎる前置きをしたところで、とうもろこしご飯が炊けた音がしたので今日はおしまい。

※並行してやろうとしたけど2個は運営できなかったので統合します、要は再掲です



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