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わたしの病気さん

病気さんのことを今一度
考えてみようと思ったのだ

わたしの病気さんは人懐っこい
引っペがしても何度もへばりつく
ほっといたらすぐに駄々をこねて
おくすりを要望する

初めて病気さんと出逢った時
わたしはあまりにもかなしくなって
わあんわあんと泣きながら
こどもに戻ったみたいに
母の膝の上で泣きわめいた
病気さんは無言で見ているだけだった
きっとどうしていいか分からなかったんでしょう?

でもね病気さん
あなたのことを深く知ろうとした時
あなたはとても安心した様子だったよね
あなたの病名というなまえを繰り返し呼ぶたび
少しづつ大人になっていったね
ああ病気さんも
ちゃんと歳をとるんだって気づいたんだよ

背中合わせの時あなたの
透明な温もりを感じる日もあるし
見つめ合っている時は
穏やかな眼差しを向けてくれる日もあるね

病気さんもわたしも
本当はなにも悪くない
わたしは一生あなたを引き連れていく
月が美しい夜だって
なみだがとめどない日だって
苦手な電車の中だって
憎たらしくて愛しい病気さんのことを
ずっと引き連れて
わたしはわたしを生きていく

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