ある日の会話。(24.10.8)
「しあわせは人それぞれな訳でさ、僕が察するにキイチはユエンにくっついて寄り掛かっている事で安心できるしそれを拒絶されないことが嬉しくて、ユエンはキイチがそうやって自分をちょっとした止り木としてでも頼ってくれるのが嬉しいのだと思うよ。そういう小さな気持ちの積み重ねが彼らのしあわせというものだったんじゃないかな。…当て付けの愛も付け焼き刃の幸せも…結局は誰かが見せた幻想、…誰かにとっての理想、そうだろう?」
癖毛の白髪を長く伸ばした青年は鼻先まで落ちた丸眼鏡を鬱陶しげに指で押し