君を待っていたんだ
言葉ってなんかさ
雨上がりの水たまりみたいだ
日差しが戻ったら
乾いて消えてまっさらになるから
忘れられたビニール傘みたいに
片方だけの長靴みたいに
影にたたずんで
君を待っていたんだ
君を待っていたんだ
その色、かたち、足跡を思い描いて
雨を待っていたんだ
夕立を待っていたんだ
虹が見えない僕の手を掴んでくれる
君を待っていたんだ
思い出のことずっとさ
一人で抱える傷だと思っていた
軒下に跳ねる
しずくの群れをぼんやり眺めていた
ずぶ濡れの僕たちのこれまでと
君が歩くまだ見えないこれからに
幸よ多くあれ
君を待っていたんだ
君を待っていたんだ
どんな色でもいいよ それを君と呼ぶよ
温度を待っていたんだ
眼差しを待っていたんだ
虹が見えない僕を覚えていてくれる
君を待っていたんだ
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