夜人

神さまってなんだろう。田舎暮らしをしながら、信仰についてのんびり考えるひと。不思議なこ…

夜人

神さまってなんだろう。田舎暮らしをしながら、信仰についてのんびり考えるひと。不思議なこと、ちょい怖なお話しも大好き。 小説を書いたり、徒然な日記を書いたり。

最近の記事

特別に用意された部屋

ある避暑地での出来事である。 当時、母の勤め先には避暑地Kに保養所があった。夏はもちろん、四季折々に楽しむことができるそこにはショッピングモールや〇〇銀座のような人々で賑わう土地もあり、私も同行して一緒に楽しく過ごすことがあった。 その時も、一泊して観光とショッピングをする予定だった。 季節は秋で、宿泊予定の保養所は予約がいっぱいだという事で、恐らく取れないだろうとの事だった。 別の施設を探していたわたしへ、母が嬉しそうに連絡して来た。 「宿泊できそうだって」 聞けば、予備と

    • 遭遇する

      信じられないものを見ることがある。 それは不意打ちで、なぜそれを見たのか、意味もわからないし、オチもないことがほとんどである。 数多く、原因も理由も答えも無い体験をしているが、そのうちの一つに列車での経験がある。 お登りさんとして東京など都心に行く際、目的も行き先もさまざまだが、その旅中に不可解なものを見てしまうことがある。 もうちょっとでU駅という頃、外をふと見ると高台から線路へと手を合わせる男性がいた。電車の往路に、今日の安全を願っていたのかもしれない。だが、手を合わせ

      • 九字切り

        当時、中学生だったわたしはオカルト的な知識を仕入れては何かと試すを繰り返していた。 その日は、部活を終えて徒歩で帰宅する友人に合わせて自転車を押して帰っていた。 日は暮れ、とっぷりと闇に覆われた夜道を歩いていると、人ならざるモノが現れ惑わせようとしてくるのではないか…わたしは友人と話をしながらそんな気配を探していた。 友人の家近くに差し掛かったところで、風が吹き抜けた。 風は木々を揺らし、枝葉がまるで人のざわめきの様な音を立ててわたしの前に立ち塞がった。わたしは、その中に何か

      特別に用意された部屋