色褪せ記念日

今日は4月29日、二人の旅が始まった日
去年の今日から夢のような日々が始まった
もう終わってしまった話だけど

今日は二人で大切にしてきた記念日。最初の数ヶ月は二人とも日付が変わった瞬間にお互いに連絡していた。そして愛情を交わして幸せな気持ちで夢の中に入った

それなのに、最後の記念日は二人とも忘れた
嘘、私は当時忙しくても忘れてなかった
けれどいくらの時間が経っても君から連絡が来てないから勝手に自分で失望した、その程度だったのかって。だから君が遅れて記念日について連絡してきた時は私も忘れたふりをした、何も気にしていないふりをした。本当は泣きそうになった、すごく安心した、けれどそれを君に伝える事はなかった。

本当今振り返ると子供で未熟で自分が傷つくのが恐れていた。変なプライドなんてさっさに捨ててしまえば良かったのに。本当の事言えば良かったのに
どうせ傷つくなら全力でぶつけて全力で傷つけばよかった。自分を守るためだけに自分にも君にも嘘をつきたくなかった

一年でこんなに人は変わってしまうのか。こんなに私の考え方を変化するきっかけになった君は自分の事を誇っていいと思うよ。
私からするとあなたの考え方は付き合いを通しても変わっていないけど、君も内心で色んな事を考えながらもヘラヘラして生きる人だから、君がこの過去について何を思うのか、何を覚えるのか分からない。
時間が経つにつれ思い出が色褪せても、私の一部にはちゃんと君の色が染まっている。薄めても薄めても完全に消えやしないと思う

なぜここまで君との思い出にこだわってしまうんだろう
私ちゃんと歩いていけている？血を垂らしながら歩いている？
ここ数日何度も29という数字が目に入り、嫌でも意識していしまう
運命のいらずらはほどほどにしてほしい

ねえ
どうしてあなたは周りに付き合った事ないと言うの？
どうしてあなたは二人でカラオケに行った事をなかった事にしているの？
なんで嘘に嘘を重ねているの？

多分理由は簡単だよ
君はいつだってプライバシーを気にしているから、周りに付き合いの話なんてしたくなかっただろう。最初からそうだった
理解できる、しかし、私の存在が否定されてしまったようで心が痛い
私もあなたの事否定してしまってたらごめんなさい、痛みがすごく分かった

願わくば君が私の世界から消えますように
毎日会わないといけない状況だから、君が元気している姿を見れるのは良いが、他人から君の話をよくされると心が痛くなる

二人がこれから離れ離れになったら君が私の中からきれいさっぱり消える？
私もずっと君の世界でちらちら存在を匂わせてごめん、気持ちが分かったよ

残酷だけど何もかもなかったことにする？
それがお互いにとって一番良い？
ねえ応答して、私は君が分からないよ
私を一人にしてよ、私がさらに自分を苦しめないために

どこにも行けなくても飛んでいる、星の上で。涙は必ず飛んでいく、すべて流れて流れ星になる、誰かの花束に着地してその子の思い出の煌めきになる。どんな寂しさも文学になるのはこの世界の醜さです。君への愛だけは他の誰にも意味がなく私一人の宝石で、飛び立つ事もない、誰にも観測できない永遠だった

「自転の詩」最果タヒ