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青い身体

あまりにも蒸すので、学生時代に気に入って捨てられずにいたデニムのショートパンツを引っ張り出して履いてみたらたちまちギャルと化した。悪くない。

当時より10キロ以上体重が落ちてウエストが大幅に余り定位置を保てなかったので、高校生の時スカートをそうしていたようにウエストをくるりと折り曲げたらハイパーショートパンツとなり肌をより露わにしたが、さらにギャルみを増して腰骨にちゅんと落ち着いた。

好きな男がやたらに私のももと尻を愛でていたことを思い出し、尻を突き出してみたりウエストを引き下げパンティを見せたり脚を絡ませてみたり、鏡の前でエッチなポーズをとるなどした。悪くない。

ここ数年で体重に大きな変動はないが、どうも腹からもも、尻にかけて肉がつきやすくなったように感じる。これがアラサーの身体というものだろうか。
そうなっていくものだと人からよく聞くのでそう感じるだけかもしれない。
雑誌で同年代の女優やモデルが艶かしく映すような熟れた身体を想像していたけれど、鏡の前で遊ぶのに飽きて全部を剥ぎ取った私の身体は熟れたというより退化したように見える。
少年のような骨と少女のような薄い皮、ささやかに曲線をつくるもも尻と、抱かれるために整えられた陰毛だけがやけに生々しく女だ。

固い果実を買って家で成熟させるのに成功したことがない。
いつまでも青く固いままで、熟さないままにいつの間にか食べられなくなっている。私の身体。

早めの夏バテか、主食がナタデココゼリーになって1週間ほど経つ。
よるちゃんの体、それしか受け付けないように進化してるんじゃない?と言われた。

私の中に住む進化と退化と、成熟と未成熟と、少年と少女と女のために明日のゼリーを買いに行く。おっきいぶどうがゴロゴロはいったやつがいいな。

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