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燃えカスの欲求でまたはしる

今夜は特に混むだろうなと思い、朝食をつつきながら回転寿司の予約を入れる。オープンを待って電話をしなくても最近はいつでもウェブで予約できるのでありがたい。
本当は連休の初日に食べたかったんだよなあとコーヒーをすすってぼんやり思い返す。出かけた帰り道で回転寿司の看板を見たら急にお寿司の気分になって、夜食べに行こうと連れを誘ったけど都合が悪いと断られての今日だった。
17時半、はま寿司。予約が完了したその瞬間から頭の中がそれだけで占領されてしまった。予約とか約束が苦手なのはこの感覚が嫌だからかもしれない、突然に時間の柔軟性を奪われたような心許なさ。
今日の行い全てが「17時半、はま寿司」を軸に動くのだと考えたら、昼寝も本を読むのも映画を見るのもなんだかいろいろ面倒になってしまった。ゴロゴロしてツイッターやベランダの植物を眺めて何も為せない時間をやり過ごす。
16時半、予約時間が近づいているとのメールがはま寿司から届く。うっせ、わかってるわ。こっちは朝からお前を中心に生活してんだよ。もう回転寿司への熱は冷めていたのでなおのこと癪だ。

今日じゃない。私はお寿司をあの日のあの時の衝動に任せて食べたかった。お寿司が食べたいとかセックスがしたいとかかわいいワンピースがほしいとか、同じ欲求は何度でも起こるけど、衝動はその瞬間と同じ熱量を持っては二度と訪れない。今、たった今、この熱量を持ってして欲しているのだと私の肌に触れさせてわからせてやればよかった。

昨日の飲み会では、お盆のど真ん中に友人宅でバーベキューをする約束になった。軽い感じでオッケーしちゃったけどアルコールにまだ侵されていない片隅の意識の中で、きっとまた前日くらいから行きたくなくなっちゃうんだろうなーとか考えていた。昨日の気持ち的にはバーベキューいいね!なんだけど、お盆休み初日、いやたぶん明日にはもう気分じゃなくなってる。
だいたい私は肉が苦手だからバーベキューで食べられるものがほとんどない。焼肉のタレもキライだし生とコゲが同居している謎の玉ねぎも好きじゃない、ひたすらカボチャをかじるくらいしかできないかもと思うとすでにイヤになってきた。
まあこの友人宅でのバーベキューの話は飲み会の度に持ち上がっては雨だなんだで流れているのでまたそうなってくれてもいいなあと軽く願ったりもするけど、好きなネタを6貫程度にあとはポテトだのデザートだのと一緒に癪も心許なさも腹に納めて結局ご機嫌になっちゃった今夜のように、行ったら行ったで楽しんでしまうのが私だ。
無為な時間も果たされることなく燃えカスになった欲求も餌にする。そうしてまた新しい熱量を帯びた衝動で生きていきたいじゃない。

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