映絵師の極印(えしのしるし)第1話 中編 -油断-
初代犬剣の二人の息子「炎(えん)」と「陸(りく)」
まるで怒髪天を衝くような毛の逆立ちと、背中に真っ赤な色が燃え盛る炎のように見える毛並みから名付けられた兄の「炎」
端正な顔立ちと、父親譲りの器用な手先を持った、大地のように揺るがぬ集中力を持つ、背景画家の弟「陸」
二人は子供の頃から父親の描く映絵を見て育ち、やがて自分達で描いて遊ぶようになった。
特に炎の描く映絵は秀逸で時に周囲を唸らせる程の物もあり、陸はそんな兄が自慢であり、「自分は”炎にい”の絵の周りに添えるものを描