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映絵師の印(えしのしるし)

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映絵師の極印〜えしのしるし〜 第五話 中編・弐 −解放−

前回のあらすじ ついにはじまる鳳一家。皆一様に準備を始めた。 そして、思いは一つ。大事なものを守るため、今決戦が始まる。 ついに、D-HANDS、猫手や呟焼街中の絵師や町人が宮殿に集まり、鳳一家討伐隊の出発式が行われた。 本来、すぐにでも向かいたいところではあったが、町人を安心させるために一度声をあげたほうがいいだろう、ということになったのだった。 「それでは皇帝より、皆への言葉がある。直接言葉を賜われる、心して聞くがよい!」 ジャンの従者である零(れい)が聴衆へ

映絵師の極印〜えしのしるし~ 第五話 中編・壱 -鍵穴-

前回のあらすじ 三毛を打ち破った武市と狼。二人は「得体の知れた」虫に不安を頂きつつも村前に急ぐ。 一方、傷ついた三毛を病院に送り届けた虎であったが、狡猾な鶯により、解けた洗脳は再びより強力になって虎の身体を蝕む。 封印の鍵を握る少女、アイコが連れ去られた事を知り、ついに連合軍は鳳一家討伐へ向け動き出す。 …広橋は封印の前で、何を想うのか…? 『鋼(こう)よ。力の使い方を間違えてはいかん。決して悪に染まってはいかん……儂のようになるでないぞ……』 わしは祝詞を唱え

映絵師の極印〜えしのしるし〜 第五話 前編・参 -汚染-

前回のあらすじ 廃屋で三毛を打ち破った武市。 一方三毛は傷ついた体で虎の元へと急いでいたが、そこで鳳 燕に襲われた。そして虎も自身の内に埋め込まれた物に苦しんでいた。 傷ついた三毛を見つけ病院へと運んで消えた虎は、そして三毛との決戦に勝利した武市は一体何を思うのか。 三毛が去った後の廃屋は、武市と狼が外に出ると一気に崩れてしまった。 「あっぶなぁ…なぁ武市、あの赤黒い虫みたいなん、みたか」 「えぇ…あれは一体…」 狼は首をかしげた。しかし、二人とも『得体の知れな

映絵師の極印〜えしのしるし〜 第五話 前編・弐 -親友-

前回のあらすじ 炎、陸、武市の修行が終わり、ついに鳳一家討伐への作戦会議が始まろうとしていた。 そのとき、遅刻していた狼を迎えに出た武市が三毛を発見し追跡。虎を発見するも逃げられ、足止めとして現れた三毛と対峙することとなった。 「俺はお前を今でもちゃんと親友だと思ってる……だから、今俺は全力でてめぇを殴る!!」 そういうと武市は風で作られた槍を構えた。不思議と心は静かだった。 今まで虎とともに暗躍していた三毛をまだ親友と呼べるのか、自問自答したこともあった。 しか

映絵師の極印〜えしのしるし〜 第五話 前編・壱 -集結-

前回のあらすじ 武市、炎、陸はハプニングや悩みを解消しながら、無事修行を終え、確固たる自信と力を身に着けた。そして、鳳一家との決戦に向け、動き出そうとしていた。 3人は、銀の店『万事屋村前』の前にいた。 「なんや、前もこんなことあったなぁ」 「長く感じられたが、ほんの数日前……」 ガラガラとドアが開き、銀が出てきた。 「おう来たか。こっちだ。」 店の裏側へ移動すると、裏には人が入れるだけの大きさの焼却炉があった。 「さぁ、ここが裏の入り口だ。入れ。」 「いや

映絵師の極印~えしのしるし~ 第四話 後編・参 -修了-

前回のあらすじ 皇帝ジャンの過去を夢にみた陸。 それはジャンとその従者である零と翡翠が見せたものだった。 地下牢生活から、いよいよ本格的な修行が始まる。 「おはようございます」 零と翡翠に迎えられ、応接室に通された陸。ジャンは修行前にすべての仕事を終えるといい、執務室に入った。 「陸様、ゆっくり休めましたか。」 「えぇ、ありがとうございます。まさか、あの地下牢も修行のうちだったとは…」 地下牢での殺気立った自分を顧みて、自分の中にある違和感に気がつけた。 恐怖

映絵師の極印〜えしのしるし〜 第四話 後編・弐 −継承−

前回のあらすじ ジャンと修行していた陸だったが、ジャンの容赦ない攻撃に深手を負い、病院で治療にあたったジャンの従者・零(れい)と翡翠(ひすい)に戦いの基本を習い始めたが、ジャンに見つかり3名は倒され、陸は牢に入れられることになった。 すると、陸はジャンの過去を覗く夢をみるのだった。 「覚悟を決めたまえ、ガリアーノ・ジャン君」 母さんの名前はガリアーノ・マリア。3年前に、俺をおいてこの世から旅立ってしまった。 そんな母さんが唯一愛した男が俺の父親だった。 「俺はいつ

映絵師の極印~えしのしるし~ 第四話 後編・壱 -暴君-

前回のあらすじ 修行の成果で炎と氷の槍を手に入れた炎。しかしあまりにも力が強く、寺を半壊させてしまった。 これで残りは陸とジャンの修行なのだが、なにやら不穏な空気が漂っていた。 ーーーーー宮殿内の牢獄 ここは古くから、刑務所として利用されていたが、現在は刑務所設備が整い、ここは使われていなかった。 しかし、誰もいないはずの牢獄から何やら音がする。 「出せ!なんでこんなとこに入れられてんねん!出せ!出せぇ!!」 ドアを叩き、鉄格子をガタガタと揺らし、誰もいない通路

映絵師の極印〜えしのしるし〜 第四話 中編・参 −焔槍−

前回のあらすじ 銀からの叱咤に思うところもあった炎。自ら座禅修行に向き合い、銀から許しをもらうのだった。 しかし、座禅修行は始まりに過ぎず、大量の木偶人形との戦いが待っていた。そして、炎は自らの「技」の片鱗をみるのだった。 「なんやこれ…」 炎は自分の手に握られた槍を見て呆然としていると、周囲の木偶人形から攻撃を受け、吹き飛ばされてしまった。瞬間、槍はふっと消えていた。 「ちょっと炎ちゃん!大丈夫?!」 「……あー、これやこれ…はは、やっと見つけたわ…俺を…」 郭公

映絵師の極印~えしのしるし~ 第四話 中編・弐 ―自覚―

前回のあらすじ 炎は銀との修行のため、炎にとっては誘惑うずまく歓楽街の一角にある炎法寺(えんほうじ)へと連れてこられた。 そこにはD-HANDSと縁が深い住職の火喰(ひくい)、幼馴染である郭公(かっこう)がいた。『禁欲』を命じられた炎は耐え切れず、逃げ出そうとするも銀に殴り飛ばされ、「二代目犬剣としての才覚はない」と告げられるのだった。 翌朝、銀は炎の部屋をノックした。 まったく返答がなく、これは気を引き締めてやらなきゃと思い、バン!とドアを開けた。 するとどうだろうか

映絵師の極印〜えしのしるし〜 第四話 中編・壱 −寺院−

前回のあらすじ 武市は狼との修行により、確実に自身の能力を伸ばすことに成功した。しかし、覚醒した武市と、やっと対等な相手を見つけた狼の修行を超えた戦いは飽きるまで続くのだった。 武市が狼のモンスターランチに挑戦しているとき、炎は辺銀に連れられ、いつも自分が飲みにでている繁華街にいた。 「銀じぃ、こんなとこになんかあるんかいな……こっちはあの寺しかないやん、もったいつけんと教え……お?」 「黙ってついてこい…おい!」 炎は行きつけの飲み屋の前で店員と談笑していた。銀は

映絵師の極印〜えしのしるし〜 第四話 前編・弐 −光明−

前回のあらすじ 修行に入った三人、まずは狼に修行をつけられる武市の話。狼のモンスターランチに付き合わされたがなんとか修行をつけてもらうようになる。 しかし、修行の場である、町外れの巨大な杉の木に武市は四苦八苦するのであった。 「まずは…こうか」 武市は自分の技を前ではなく、その場で留めた。しかし、力を持続させるのは生半可なことではなく、技はしゅるしゅると弱くなってしまった。 「くそ…こいつぁ大変だ…燃費が恐ろしく悪いぞ…」 『食え』 「なるほど、あれだけ狼さんが食う

映絵師の極印−えしのしるし− 第四話 前編・壱 −武市−

前回のあらすじ 鳳一家を討伐するためには、武市、炎、陸の力が必要だったが、今現在のちからでは無駄死にになってしまうとの皇帝・ジャンの発案により、3名は修行を受けることとなった。 ーーー武市と狼の場合 役場での話が終わって、狼は一足先に飛び出した。 「狼さん!待ってくれ!どこに行こうってんだ!」 一応の「ペア」にされた武市は無言でそそくさと去ろうとする狼を追っていた。 「飯や飯!こちとらジャンに捕まって1週間食うてへんねや!!ついてくんな、毛が飛ぶ!」 カチンとき

映絵師の極印(えしのしるし)第三話・後編 参 -修行-

前回のあらすじ 鳳一家討伐に向け、有力な映絵師やアーティストが宮殿に一堂に会した。他の映絵師からの風当たりが強い状態なだけでなく、皇帝から作戦には炎・陸・武市は参加させられないとの通告があった。しかし、皇帝、そして辺銀は、弾や宝治が怯える「修行」を付けると宣言したのだった。 帰路についた宝治は、自分が受けたトラウマを子供たちにも抱えさせるのか、と思い悩んでいた。すると、弾が 「あの修行は過酷だった...確かに過酷だった...俺はお前の修行内容は知らんが、俺は...奴らは