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D. H. LAWRENCE:Fig D. H. ロレンス: イチジク

noteのおすすめを見ていたらで「イチジクは愛の・・・」という文が頭の片隅に残った。そのままスクロールを続けたので誰のnoteだったのか、不明のままだ。ただ私は「イチジク」という語から高校生の時に図書館で手にしたD. H. ロレンスの詩の一部を思い出していた。それは「メキシコ人は無花果を女性器に例える」と言うもので、当時高校生の私には相当のショックを与えたらしく、今に至るまでこの表現は頭の片隅に生きている。無花果を見るたびにこの詩の断片が頭に浮かぶくらいだから。もっともメキシコ人というのは実はイタリア人だったというのは今日この詩を検索して分かった。メキシコ人として覚えたのは、たぶん同じく作者の「蛇」や「馬に乗って去る女」などに引っ張られての記憶違いだろう。しかもかなり長い詩だ。女性の一生をイチジクの芽から内部に開く花、そして開ききり、やがてしおれるイチジクに例えている。英詩はネットで読める。なんという素晴らしい時代!初心な高校生の私が読んだのはもちろん邦訳なのだが、誰の訳だかは覚えていない。D・H・ロレンス全詩集【完全版】というのは出ている。ただし私が読んだのはもう半世紀も前の話である。誰の訳だったのだろう。

「イチジク」は女性性器を歌った詩として有名らしい。詩集"BIRDS, BEASTS AND FLOWERS"に含まれていて、グーテンベルクプロジェクトのページで読める。

ニースで暮らしていた時、ベトナム料理店でアルバイトをしていたことがある。日本にいた経験もあり、日本語をしゃべる二兄弟が経営するレストランで私の役目は使用人たちのためにフランス料理を作ることだった。ベトナム料理はいくらでも食えるから、フレンチで行こうとオーナーの兄が決めたのだ。この男、商才にたけて店は毎日超満員だった。一方弟は人づきあいが悪く、儒教風の道徳を頑なに守る勉強家だった。ベトナムに残した家族は教授や官僚ばかりで二兄弟の教育レベルも高かった(ベトナム戦争が終わって間もないころだ。家族は公職を追われていた。)。弟は段ボール箱に読み終えた、たくさんのペンギンブックスを突っ込んでいて、その中にD・H・ロレンスの作品もあった。ただし詩集があったのは覚えていない。Sons and loversとかThe Woman who Rode Awayを夢中になって読んだのを覚えている。今にして思えば、よくあんなにも貧弱な語学力で読み切ったものだと驚くが、当時はD・H・ロレンスの文章の喚起力に魅せられてがむしゃらに読んでいた。ただこの作者のホワイトシュプレマシーやナチズム風の傾向に気づいてからは遠ざかったしまった。でもこうして読むとやはり感服するところがある。詩なら読んでもいいかな、と思う。

The Project Gutenberg に感謝。


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