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2020年1月の記事一覧

アルバムレビュー - Petter Eldh『Koma Saxo』

Spotify / Apple Music スウェーデン出身で現在はベルリンを拠点に活動しているベーシスト/プロデューサーPetter Eldh率いる5人組のバンドプロジェクトKoma Saxoの初作品。メンバーには近年刺激的な活動で注目を集めている音楽家が参加していて、中でも近年関わった作品で悉く耳を引く演奏を披露しリーダー作でも傑作が続いているChristian Lillinger、2018年に発表したリーダー作『Y-OTIS』が素晴らしかったOtis Sandsj

アルバムレビュー - Orphax『Live Circles』

Spotify / Apple Music 元々はドラマーとして訓練を受け、90年代初頭に電子音楽に触れてからはその分野での制作にも踏み出し、2008年からは実験的な電子音楽をメインにリリースするMoving Furniture Recordsを立ち上げ活動を続けているアムステルダムを拠点とするアーティストOrphaxの作品。本作も自身が運営するMoving Furniture Recordsからのリリース。 彼の作品では最小限の音要素、ドローン、倍音、即興性が重要な

アルバムレビュー - Meitei『Komachi』

広島在住の作曲家によるデビューアルバム(セルフリリースを含むと2ndになります)。「the lost Japanese mood」というコンセプトで活動し、怪談のサンプリングを用いるなどしているようですが、本作ではわかりやすく奇怪な音使いが前景化したり語りの音声が現れる場面はなく、とても心地よく、安らげる音楽です。 基本的には柔らかさやチャーミングさを感じさせる音色と音階のループフレーズを基調として、小節ごとに明確にシーケンスの変化や抜き差しがあるビート・ミュージックや

アルバムレビュー - Kali Malone『The Sacrificial Code』

スウェーデンのストックホルムを拠点とする音楽家Kali Maloneによる、シンプルなオルガンの演奏をCD3枚組に渡って収めたアルバム。 2019年はドローン・ミュージック、特にオルガンを用いたドローン的な傑作が多くリリースされた年でしたが、中でも最も多方面から高く評価された作品が本作でしょう。 サブスクやbandcampのデジタル版では10曲が一纏めに表示されますが、1~3、4~6、7~10曲目で録音の場所が異なっており、CDもそのように分割されています。オルガンの