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与論に住まう陸の動物②鳥類

①与論町誌のページ数

40~44(上段)ページ

②要約

●キュウシュウキジは、昭和43年に県の林政課によって放鳥されたよ。
●ホロホロチョウとコウライキジは、有村治峯氏がサトウキビの害虫駆除の目的で昭和54年に移入放鳥したよ。
●日本の約63%の鳥が移動をする種。移動鳥たちの経路上、与論島は休息地として重要な場所なんだよ。
●また移動鳥たちの、習性の謎を解明するのに与論は貴重な好観察地なんだって。
●旅鳥で有名なのが、サシバ。毎年10月上旬くらいに群れで現れるんだよ。

③感想(私的解釈や学び)

20年前くらいはスズメをよく見かけたけど、最近は見なくなりました。どうしたんだろう?
与論でよく見る鳥は、鳩とキジ。(というか私が意識してないだけ)
鳩は自動車が近寄ってもなかなか飛ぼうとしません。人間社会に順応したのかな?!
ホロホロチョウは、数年前より与論の特産品になっています。害虫駆除の役目から特産品への進化!!
季節によって見かける鳥が変わるので、鳥観察も与論歩きにまた一興ですね。

④本文引用

〈但し、カタカナ羅列の為、改行・記号等の編集有り。〉
 我が国の鳥類は、『日本鳥類目録』(一九七四年)によると五百二十種にのぼる。留鳥(周年定住する種)を除き、列島の南北へ季節的な大移動をする。夏鳥(春に訪れ繁殖し秋に南へ)、冬鳥(冬に訪れ春に北へ)、旅鳥 (渡りの途中に我が国を経由・通過)、迷鳥(気象変化・コースから離れる)などに分けられる。与論島はこの鳥類の渡りのコースとして重要な位置にある。これらの天然の種と人爲的に移入された種に区別して述べる。

 (一) 人為的移入種
 1 ホロホロチョウ (キジ科)
 西アフリカの森林近くの原野に群棲し、種子や昆虫などを食べる。卵は年に六〇~一○○個ぐらい。肉用または愛ガン用に広く世界中で飼育されている。高い声でホロホロと鳴くので、この名がある。性質は活発で飛行力も強い。現在、与論町ではサトウキビ畑で順調に成育している。しかし、一カ所に集団産卵をするために産卵日が異なり、ふ化率はあまり良くない状況である。

 2 コウライキジ (キジ科)
 朝鮮・ウスリー・モンゴル・中国大陸や台湾に分布する種であるが、我が国では狩猟用に各地に放鳥されている。日本産のキジに似ているが、雄はやや大きく尾が長く、普通、くびに白い輪があるので区別できる。キジと容易に交雑するので、その一代雑種は不妊性となり、繁殖力に悪い影響がでる場合が多い。

 3 キュウシュウキジ (キジ科)
 日本の固有種で九州本土に分布する。種子島と屋久島にはシマキジが生息している。キジは留鳥であり、昔から多くの人々に親しまれ、絶好の猟鳥である。一九四七年に日本の国鳥に指定された。
 以上の三種の移入の経緯をみると、キュウシュウキジは昭和四十三年八月に県の林政課によって八ツガイもたらされ放鳥された。ホロホロチョウとコウライキジは有村治峯氏(有村商事社長)がサトウキビの害虫駆除の目的で昭和五十四年五月に移入した。その内訳は、ホロホロチョウ五十羽(成鳥五番・幼鳥四十羽)、コウライキジは成鳥十番・幼鳥二十羽で、鹿児島市皆与志町の肥後キジセンターから購入し放鳥した。

 (二) 天然に分布する鳥類
 我が国の留鳥は約三六パーセントで、他はすべて移動する。夏鳥は約一〇パーセント、冬鳥・旅鳥三七パーセント、迷鳥一六パーセントにのぼる。これらの鳥たちの移動の経路上、与論島は休息地として重要である。また
我が国の鳥たちの移動には十分解明されていない点が多く、この謎を解く上でも最も貴重な好観察地である。
 現在、与論町には上野恵也氏(茶花)を中心に野鳥の会が結成され、観察と保護に努力している。与論島の野鳥について日本鳥類学会が認めている種は一九七四年現在では、わずかに九科十四種にすぎず、他は奄美または北部琉球などとして包括されている。
 与論島の鳥については筆者(一九七〇年)と野鳥の会の記録がある。現在までの観察によると、百三十三種、留鳥十五種、夏鳥六種、他は冬鳥・旅鳥・迷鳥である。

 1 夏 鳥
 スズメ・リュウキュウサンコウチョウ・リュウキュウツバメ・エリグロアジサシ・ベニアジサシ・リュウキュウヒクイナの六種である。

● スズメ (ユムドゥイ) ー 
一般には留鳥と思われている種であるが、渡りをする。特に生態系の変化による傾向と思われる。

● リュウキュウサンコウチョウ ー
「火・月・星・ボイ・ポイ」となくルリ色の美しい鳥であるが、島の北西の山中で生息している。

● リュウキュウツバメ ー 
与論島では個体数は少ないが、繁殖が確認されている。

● エリグロアジサシ ー 
島の東部・南部の岩礁の上で営巣している。しかし、台風の接近で毎年直接被害をこうむり、繁殖力は一六パーセント以下である。自然環境の保全とともに、これらの海鳥の保護についても配慮してほしい。



● ベニアジサシ ー 
前種と同様、港や波間を飾る天使のような白衣の美麗種であり、クチバシと脚が紅色をしているのが特徴で、入り江などで垂直の見事なダイビングをする姿が見られる。

● リュウキュウヒクイナ ー
湿地帯の草原・畑地などに住み、池・沼・水田などでその姿をよく見かける。四~八月に営巣しているのが確認された。

 2 留 鳥
 クロサギ・ツミ・ミフウズラ・シロチドリ・カラスバト・リュウキュウキジバト・リュウキュウズアカアオバト・リュウキュウヒヨドリ・イソヒヨドリ・リュウキュウウグイス・セッカ・リュウキュウメジロ・バン・リュウキュウヨシゴイ(ヴィクドゥイ)、ハシボソガラス、以上十五種が留鳥とされているが、繁殖の未確認の種もあり、次の二種は漂鳥として取り扱うのがよいと思われる。

● カラスバトとハシボソガラス ー
カラスバトは群れで移動する習性があり、カラスも同様である。季節的に各島へ移動し、定住していない種である。筆者も茶花の近くの森でカラスバトの群れを観察したことがある。また、カラスの鳴き声はほとんど聞かれていない。

● クロサギ ー
島の周囲の岩礁中で営巣している。

● ツミー
那間・茶花地区の数少ないモクマオウの樹林で営巣している。樹林の保護を切にのぞむ。本種はリュウキュウツミとの関係や、今後の研究に待つところ大である。


●ミフウズラ ー
島内のサトウキビ畑にて繁殖し比較的個体数も多い。

●リュウキュウキジバト (ヤマバトゥ) ー
最も多い種である。

●リュウキュウズアカアオバト (オーバトゥ) ー
島内の樹林中で繁殖、個体数は少なく珍しい種である。

●リュウキュウヒヨドリ ―
島内で繁殖する種で沖縄島と同じ種と思われる。

●リュウキュウメジロ (オームックイ) ー
前種と同様島内で営巣繁殖し、島内に美声を流している。

●シロチドリ・イソヒヨドリはいずれも
海岸地帯で、シロチドリは砂地にイソヒヨドリは岩礁のわれ目などに営巣している。

●バン (ターグミル)
増木名池や朝戸の池などで鳴き声や、姿を見ることができる。

 3 冬鳥・旅鳥・迷鳥
 大半が旅鳥になるが、約百十二種がこれらに包括される。次に顕著な種について記し、詳細は他にゆずる。


 冬鳥としては、まず周囲の岩礁上でウミウの姿が見られる。島陰や入り江ではカモ類が見られる。この頃になるとワシタカ類のチュウヒやハヤブサが冬鳥をねらって出現する。
 旅鳥で目につく第一人者はサシバの大群である。毎年十月十日の一両日が渡りの日になる。島を通過するのは約一~二日であるが、群れは中央に渦巻き状の巨大な鳥群をつくり、その両端に幅一キロメートルぐらいの水平飛行の群れをつくり、風速十数メートルの季節風に乗って北々東から南々西方向へ飛び去って行く。実に壮観である。次にヒヨドリの大群である。これも白昼に堂々と群飛する。これは帯状、雲状の鳥群で声を限りに、お互いに相呼応しながら渡って行く。この頃になると、この声に刺激されてか、留鳥のリュウキュウヒヨドリも興奮し、盛んに空を見あげ、相呼応しながら、近くの樹林間を小群で飛び交うのが見られる。このヒヨドリの渡りとともに列島の山野は冬鳥の来島でとてもにぎやかになり、静閑な自然に活気が見られる。一方、海浜や干潟ではシギの群れがせわしく食糧の補給に忙しく、水田や湿
地帯などにはシラサギの群れが舞い降り美しい花をそえてくれる。
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出典:「第一編,第一章 自然環境,第三節 陸の動物,二 鳥類」.『与論町誌』.与論町誌編集委員会.与論町教育員会,1988,p.40-44

⑤関連記事・資料

出典:ヨロン島の野鳥,上野さん

出典:南海日日新聞,2018.01.03記事

http://tokyo-yoronkai.jp/wp-content/uploads/2016/06/DU-DANMIN-2_1.pdf

出典:「ドゥダンミン2」,竹下 徹さん(キジ関連資料はP14から)

出典:さすらいの風来簿,原田誠一郎さん

出典:日本の野鳥識別図鑑,株式会社ズカンドットコム





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