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あ だ ば な ─ 徒 花 ─

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養老まにあっくすエッセイ集②
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#ミヒャエル・エンデ

ファンタジーに託して

𝑡𝑒𝑥𝑡. 養老まにあっくす  私の書斎には一首の歌が飾ってあります。大学のときの恩師が詠まれた歌で、筆書していただいたものを額に入れて掛けています。こんな歌です。   胡蝶にも   佛果にいたる花の色   隔てぬ梅に   飛び翔りてそ  現実には蝶々が梅の花を見ることはありません。なぜなら、梅が咲く頃には彼らはまだ蛹の中にいるからです。春から秋に咲くあらゆる花々を眺め、そのまわりを舞うことができる蝶々も、梅の花だけは見ることができない。それゆえ蝶々は梅の花にあこがれる

経済は自由でいいのか

𝑡𝑒𝑥𝑡. 養老まにあっくす  自由・平等・博愛──これは言わずと知れたフランス革命のスローガンである。十九世紀ドイツの思想家ルドルフ・シュタイナーは、これを社会を構成する三つの機能に当てはめ、「社会三層論」を提唱した。三つの機能とはすなわち、法と精神と経済である。法律は平等の原理の上に成り立っている。法の前では誰しも平等でなくてはならない。精神は自由の原理に拠っていなければ ならない。何人も精神においては自由に思想することが認められなければならない。では、経済は? 経済の