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次世代ZEH+の小屋を建てる ②まずZEHとは何か?

元々は光熱費ほぼ0円を目指して「自宅で使うエネルギーは自給したい」「できれば基本料金も払いたくないからオフグリッドしたい」ということに端を発したエネルギー計画ですが、調べていくと頂けそうな補助金がいくつかあることが分かりました。

結局は次世代ZEH+を目指すことになったのですが、

そもそも次世代ZEH+ってどんなもの?
ZEHは聞いたことあるけど+って何がプラス?
どのへんが次世代?
どんな設備が必要?

と疑問はどんどん湧いてきます。
今回はまず『ZEH』と『ZEH+』とは何かを紐解きます。

1.ZEH

次世代ZEH+を理解する前に、まずZEHが何かを知る必要があります。

1)強化外皮基準を下回るUA値
2)再エネを除いて基準一次エネルギーから20%以上削減
3)再エネを導入
4)再エネを加えて基準一次エネルギーから100%以上削減

上記4つ全てに適合する住宅のことを「ZEH住宅」と呼びます。
ひとつひとつ見ていきましょう。

1)強化外皮基準とは、H28年省エネ基準の外皮基準よりも"強化"された外皮性能基準で、UA値は下記を下回る必要があります。

私の自宅は6地域なのでUA値0.60を下回る必要があります

2)再エネ(再生可能エネルギー)を除いて基準一次エネルギーから20%以上削減は、建築研究所のエネルギー消費性能計算プログラムで計算します。

ちょっと電卓を叩かなくてはいけませんが、「ZEH計算書」と検索すると審査機関が提供している計算書がヒットすると思うので、それを使うのが楽です。でも最初はロジックを頭に叩き込むために電卓を叩くのをおすすめします

3)再エネを導入については、ZEH=ネット・ゼロ・エネルギーハウスという名前の通り、「正味0エネルギー」を目指しているわけなので、使うエネルギー分を自宅で発電して「正味0」にするため、再エネの導入が必須というわけです。

4)も建築研究所のエネルギー消費性能計算プログラムで計算します。

発電量の記載は結果画面の下の方にあります。

この4つがクリアできれば、ZEH認定です!どうでしょう。普段設計・施工している建物、これに合致しているもの多いのではないでしょうか。
ここまでクリアすれば、ZEHの補助金に申請できます。(R4年の補助金額は55万円です)(これ以外に、施工する工務店か設計者がZEHビルダー/プランナーであること等の要件もあります。詳しくは補助金の公募要領をチェックしてください)

補助金の話とは少し離れますが、上記の計算を見ていただいて分かる通り、設計一次消費量の計算には「その他の設備」が含まれません。我が家の場合これが一番大きいのに。「その他の設備」とは家電や調理機器(IH・ガスコンロ)のことです。ZEH住宅と言っても、よくよく聞いてみると本当の「0」じゃないことが多いので注意が必要です。(逆に「その他の設備」も入れてゼロエネですという会社さんは信用できます)

2.ZEH+

ZEHに要件がプラスされたものが『ZEH+』です。
ZEHの要件をクリアした上で、下記の2つの要件両方に適合する必要があります。

要件1)更なる省エネルギーの実現
・・・再エネを除いて基準一次エネルギーから25%以上削減
要件2)下記の再生可能エネルギーの自家消費拡大措置のうち2つ以上を導入
・・・①外皮性能のさらなる強化
・・・②高度エネルギーマネージメント
・・・③電気自動車を活用した自家消費拡大のための充電設備又は充放電設備

ちょっとややこしいですが、簡単に言うと、
建物や設備の性能をZEHから5%上げて
①~③のうち2つを導入する

ということです。

要件1)の再エネを除いて基準一次エネルギーから25%以上削減は、ZEHのときと同じくエネルギー消費性能計算プログラムで計算です。

ZEHのときは20%以上削減だったところが、25%以上削減となる

要件2)①の日本語が・・・強化外皮基準のさらなる強化って・・・なんかもっといい言い方なかったですかね。表にするとわかりやすいです。

6地域の場合、ZEHだと0.60だったのが0.50まで下げなくてはいけなくなった

要件2)②の高度エネルギーマネージメントは、HEMSで暖冷房や給湯機器を制御して、適切に運転させたり止めたりして省エネを図るというものです。

Panasonic AiSEGホームページより

要件2)③はEV(電気自動車)やPHV(プラグインハイブリッド車)に充放電するための設備を導入しましょう ということです。

これだけの要件をクリアできれば、ZEHでは55万円だった補助金が100万円まで伸びます。

どうでしょう。元々の設計が強化外皮基準のさらなる強化レベル(6地域ならUA値 0.50)であれば、あとはV2H(EVの充放電設備)を導入するだけで45万円補助額が増えるというわけです。(②の高度エネルギーマネージメントシステムは結構追加設備が必要なのでハードルが高いです)

参考までに、私の家の場合V2H設置費はおよそ100万円ぐらい、そのうち45万円補助してもらえるので、実質55万円でV2Hが導入できるということになります。この55万円 VS ガソリン代を比較したところ、走る距離やその時のガソリン単価にもよりますが、V2Hを導入して電気自動車を使った方が、ガソリン車の場合より生涯コストは安くなるという試算になりました。

少し話がそれますが、要件2)は自家消費拡大措置のはずですが、①②は建物・設備の性能が良くなるので、自家消費は減少する可能性が多分にあります(日中の暖冷房消費量が減るからです)。本当の意味で自家消費が増えるのは③を選択してEVやPHVを導入したり、追加補助要件の蓄電池を導入した場合だけになります。

よく卒FITの方から、「これからどうやって自家消費率を上げるかが課題だ」という話を聞きます。2030年までに60%の新築戸建で太陽光発電を設置するという国の目標もあり、太陽光発電を導入する方は確実に増えていくでしょう。新築の段階で自家消費率が高くなるような、丁寧なエネルギー計画が必要です。

次回は「次世代ZEH+とは何か?」です。

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