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【難しい話は無し】「これでわかる PFAS汚染 暮らしに侵入した永遠の科学物質」は初めてにやさしい解説書だった

こんにちは、ロカキヤです。
普段はプールやお風呂の水をキレイにする会社で働いています。

仕事柄自分で飲む水にもこだわっていて、浄水器の選び方ブログ(北のロカキヤ)も運営しています。

今回は京都大学大学院医学研究科准教授の原田浩二氏著の「これでわかる PFAS汚染 暮らしに侵入した永遠の科学物質」を読んだので感想を書いていきます。


まずは、本書はこんな人向けの本

  • PFASを初めて調べる人

  • PFASが気になるけど難しい話は無しにしてほしい人

  • PFASについて大枠を知っておきたい人

PFASについては今年(2023年)3月に下記のニュースで知りました。

>>飲み水のPFAS規制値案を初公表 米政府、勧告値より大幅に厳しく(朝日新聞社)

簡単に要約すると

そもそもPFASって何?

この先の文章を軽く読んでわけわからん!という人は、
「PFASって便利なものだけど、体に入ると長く居座ってガンの原因にもなる化学物質なんだってね。ヤバいね。」
でOK。レビューまでさーっと行っちゃってください!

有機フッ素化合物(PFAS)は、フッ素原子が炭素鎖に結合した化学物質の総称です。

ほとんどが人工的につくられたもので、4300種類以上(!?)あるんです。

その中でも最近話題になっているのは下記2物質。

  • PFOS(パーフルオロオクタンスルホン酸)

  • PFOA(パーフルオロオクタン酸)

どちらの物質も現在は、製造・輸入・使用が禁止されています。

例えば、下記のような製品に使われていました。

  • 食品パッケージ・・・耐油、防水加工されたパッケージ製品

  • 水成膜泡消火剤・・・空港、屋内駐車場、給油所の消化用薬剤

  • フッ素加工された製品・・・鍋やフライパン等

PFASのリスクとは

PFASは自然界ではほとんど分解されず、環境や生物に長期間残存するため、「永遠の化学物質」とも呼ばれます。

PFASは飲料水や農作物の摂取で我々の身体に入り込みます。

PFASの中でもPFOA、PFOSで発がん性の可能性があることがわかっています。

>>PFOA(パーフルオロオクタン酸)及びPFOS(パーフルオロオクタンスルホン酸)に対する国際がん研究機関(IARC)の評価結果に関するQ&A

「これでわかる PFAS汚染 暮らしに侵入した永遠の科学物質」レビュー

ここまで呼び飛ばした方もきちんと読んで来ていただいた方もありがとうございます。

「これでわかる PFAS汚染 暮らしに侵入した永遠の科学物質」の著者である原田浩二氏は京都大学大学院医学研究科准教授でもあり環境省が組織するPFASに対する総合戦略検討専門家委員の一人。
>>PFASに対する総合戦略検討専門家会議 委員名簿(環境省HP)

2002年から20年以上京都大学でPFAS汚染の調査・研究に取り組んでいる方。

まずは、本書を読んでどう感じたかを書きます。

専門用語をなるべく使わずに素人にもわかるように書かれたPFAS汚染の内容と原因対策本です。

准教授が書かれた本と聞くとどんなイメージでしょうか?

専門用語連発で難しそうじゃない・・・?
ややこしい化学式とか言い回しが難しいんじゃない・・・?

と思っているそこのあなた。

大丈夫です。

この本は誰にでもわかる言葉で書かれていてめちゃめちゃ読みやすいです。

ページ数も「はじめに」から「あとがき」まで、101ページという読書が苦手な人にも優しい設計です。
1時間~2時間位で読めちゃいます。

PFASについて詳しく書こうと思えば400ページ、500ページ・・・それ以上必要になるかもしれません。

それを101ページという読みやすいページ数と平易な言葉遣いで余計な情報を削ぎ落として書かれていて、より多くの人にPFAS汚染について知ってもらいたい思いが感じられます。

本書では、下記について書かれています。

  • PFASの基本的な情報

  • PFAS問題が発覚した事情

  • 日本各地で実際に起きているPFAS問題について

  • PFASの人体への影響

  • PFAS問題は今後どうしていくべきか

  • PFAS問題で私達が出来ること、対策。

中でも一番おもしろい!参考になる!と思ったのは最後の「PFAS問題で私達が出来ること、対策。」ですね。

全部で9つ書かれていたので少し抜粋します。

①水道水の汚染状況を知る


各自治体でPFASの汚染状況を調査しています。
自分の住んでいる地域の情報を水道局に問い合わせるかHPで調べてみる。
まずは身の回りの状況を知るのが一番ですね。
主要都市の水道局PFAS情報を置いておきますので参考にしてくださいね。

北海道札幌:https://www.city.sapporo.jp/suido/overview/suishitu/topics/kensa.html
宮城:https://www.pref.miyagi.jp/soshiki/kankyo-t/20230620.html
東京:https://www.waterworks.metro.tokyo.lg.jp/suigen/pfcs.html
大阪:https://www.city.osaka.lg.jp/suido/page/0000499786.html
名古屋https://www.water.city.nagoya.jp/category/suidousuisitsu/146339.html
広島:https://www.water.city.hiroshima.lg.jp/soshiki/10/225.html
福岡:https://www.city.fukuoka.lg.jp/mizu/suishitu/machi/fukuokasinosuidousuiniokeruyuukifussokagoubutuPFASnituite.html
沖縄:https://www.eb.pref.okinawa.jp/water/82/3017

②浄水器の設置


浄水器を使用する過程では血中のPFAS濃度が低いことが沖縄や東京多摩地区の調査で明らかになっています。
>>多摩地域のPFAS血液検査、85%の人が「健康被害の恐れ」米国の指標値超える 市民団体が中間報告
活性炭が入った浄水器であれば一定程度の除去が可能です。
ここで注意して欲しいのは不安に付け込んで高額な浄水器を売りつけてくる会社もあるので注意です。
浄水器メーカーと関係のない僕が様々なメーカーを調査してまとめておいたので怪しい浄水器を買う前に、良ければ参考にしてください。

>>【リスクあり?】厳しくなったPFAS(有機フッ素化合物)規制値。除去できるおすすめの浄水器を徹底解説。

③日本のフッ素樹脂メーカーの情報を確認する


本書中では日本の主要なフッ素樹脂、フッ素化学メーカー一覧を表で作ってくれています。
この表を元にしてメーカーHPでPFASについての情報をチェックしておくといいと書かれています。
どんなものを製造してどんな設備があるのかを公表しているメーカーもあるので知っておくことが重要です。
ロカキヤ的にはこの項目はある程度PFASについてわかった上で調べる方がいいと考えます。
あまりわからない状態で調べても何が何やらという感じだと思うので。
日本のフッ素化学メーカーの業界団体「日本フルオロケミカルプロダクト協議会」のHPでPFASが使われた製品情報も見れるので大枠はここをチェックしておくのがいいと思います。

これ以外にも6つあるので興味のある方は是非本書を購入して確かめてみてください。

まとめ PFASについて初めて調べる人向けの優しい解説書

本書は下記のような人向けでした。

  • PFASを初めて調べる人

  • PFASが気になるけど難しい話は無しにしてほしい人

  • PFASについて大枠を知っておきたい人

PFAS除去が出来る浄水をまとめておきましたので、よければ参考にしてくださいね。
>>【リスクあり?】厳しくなったPFAS(有機フッ素化合物)規制値。除去できるおすすめの浄水器を徹底解説。

PFASをテーマにした映画作品

PFAS問題の元祖のアメリカでの大企業と1人の弁護士との激しい闘いが描かれた作品。
映像作品なのでPFASについて理解しやすい内容となっています。
レビューはこちら→【リアル半沢直樹】映画『ダーク・ウォーターズ』は巨大企業と戦う一人の弁護士。




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