漫画原作「ファーマシスト」第三話シナリオ

第三話「メプチン・エア」
薄暗いバーで1人晩酌をする錠吉。
アルコールはかなり得意だ。
ふと目をやると隣のガタイのいい外国人の男2人が話し合ってる。
外国人A「この国もこんなふうになってしまうとはね」
外国人B「日本は戦前は医療大国で医薬品開発もナンバーワン。うちの国じゃほとんどが日本製の薬使ってた」
外国人A「んともう、最近じゃダメだ」
外国人B「ほんとなぁ、日本の最高のバイアグラ。ありゃ最高だったのになぁ。何回戦でもヤレた」
外国人A「それならいいのあるぜ。ウチの国で最近出たやつ。ほら」
外国人B「スィアリースじゃねぇかよ!お前すっげー!」
外国人A「ビンビンのバッキバキだぜぇ。ほら、あそこのええ娘に使えよ」
外国人Aが顎で奥の席で1人で赤ワインを飲むスタイルのいい若い女を指す。
外国人B「今夜は寝かせねぇぜってか」
2人は若い女に近づく。
外国人A「おい、ねーちゃん、寂しい夜だなぁ」
若い女「、、、、」
外国人B「男も連れずにこのご時世。そのツラじゃ釣れねぇわけねぇもんなぁ」
外国人A「俺らの相手してくれよぉ」
若い女がつぶらな瞳で外国人2人を凝視する。
外国人A「その上目遣い最高だぜ。後でもっと楽しませてくれよ」
若い女「いいわ。相手してあげる。」
若い女は腰の頭である長い髪を一つ結びでまとめ上げて言った。
外国人B「うひょー、話が早えな。若い女はこういうのに尽きるぜ。」
若い女と2人の外国人は店を後にする。
錠吉も丁度3人が出た後に店を出る。
ズバっ! 空気が切り裂かれる音
錠吉 店の前の大きな木の樽に身を隠しながらちらりと横目に現場を見る。
外国人A「ぐああああああ」
外国人Aは右耳を切られ出血している
外国人B「な、なんじゃあこいつは!!」
若い女が左手を振ると勢いよく鋭い空気の渦ができ、外国人Bの胸を刺す。
外国人B「げあああああああ」
外国人B胸から血を流しその場に倒れる。
外国人A「ち、ちくしょぉ、、許してくれぇ」
若い女「その薬。どこで買ったの?教えて」
外国人A「こ、こんなもの欲しけりゃくれてやるよ!米軍羽田基地だぁ!」
スパァ!外国人Aの首が吹き飛ぶ。
あたり一面は血の海。
若い女「やはり、米国が関わってたのね」
錠吉「なにがだ?」
若い女「!?誰!?」
錠吉「味方だ。テヲドールとはそんな古い薬どこから手に入れた?」
若い女「え、やだ、ファーマシスト!?」
錠吉は帽子を取る。
若い女「あ、あなた旧大宮薬師会テロ事件の、、、!?」
錠吉「待て!あれは政府の言いなりになる悪党を裁いたまでだ」
若い女「政府、、、!?あなた、やっぱり本物のファーマシストね!」
若い女は錠吉に近づいて手を出す。
若い女「私はメプチン!メプチン・エア。よろしくね」
錠吉は手を取り握手を交わす。
錠吉「高峰錠吉だ。ところで、君はなぜ政府の薬を信じていない?」
メプチン「ここの赤羽地区は前々から小児を誘拐したり、性犯罪が多かったの。それは政府がこの地区に研究施設を置いた時から始まった気がするの」
錠吉「赤羽日本薬師会研究所か」
メプチン「そう!さすがファーマシストさんね」
2人は歩きながら話す。
錠吉「君はファーマシストじゃないのか?」
メプチン「私は見習いね。まだまだわからない薬も多い」
錠吉「そうか。よくそれで小児を守るために動いたな」
メプチン「お母さんが小児ファーマシストだったの。幼い私や幼馴染をいつも面倒見てくれて。」
錠吉「なるほど。それで君も小児のそれに?」
メプチン「目指したけど、やっぱり難しいね。子供は成長も早いし、少し目を離すとすぐ変化しちゃう」
錠吉「私も小さい頃はよく母に言われたよ。あなたの胃袋はもう私と一緒ねって。」
メプチン「ふふ、なにそれ。ね、錠吉!今日うちに泊まりなよ!」
錠吉「え、いや悪いよ」
メプチン「いいの!2階使ってないし、布団もあるからさ」
メプチンの家は二階建て。一人暮らし。
一階の部屋で温かいスープを出してもらう錠吉。
メプチン「ごめんね。昨日の残りで。」
錠吉「いいや、ありがたくいただくよ」
漢方で作られた薬草スープ。ハーブのくせが効いた酸っぱい味わいのスープだ。
錠吉はスープを飲み干して二階へ上がり寝支度を整える。
白いドアの向こうからメプチンの声。
メプチン「おやすみ、錠吉」
錠吉「おやすみ。」
ランプ様の豆電球を消して眠りにつく錠吉。

「錠吉、、、錠吉、、、起きて、、、錠吉、、、」
錠吉がうっすら目を覚ますと母親の姿。
錠吉「母さん!!!」
錠吉母「錠吉!助けて。錠吉。」
錠吉「母さん!どうしたんだ!母さん!!」
錠吉母「く、苦しいの!頭が熱い、、、助けて、、、錠吉!」
錠吉「待て!今助ける!!今助けるよ!!」
錠吉母「錠吉!錠吉!!!」
錠吉「かぁさあーーーーん!!!!」
錠吉ガバッと飛び起きる。
朝日が窓から入り込んでいる。汗だくで息が切れ気味。
「たすけて!!」
下の階から大声で泣き喚く誰か。
錠吉 急いで駆け降りる
慌てふためくメプチンとその近くで母親とうなだれる男の児。
母親「なんとかならないですか」
メプチン「熱が高い、、右腹部の膨張感がある、、、これは、、、」
錠吉「おそらく膵臓だ」
メプチン「錠吉!」
錠吉「こっちに見せてみろ」
錠吉 注射器を取り出す 液体を詰める
メプチン「それは、、!?」
錠吉「パンクレアース。膵臓に特化した回復薬だ」
注射を打つと即座に子供の舌に小さい瓶から液体を垂らす
錠吉「リスパダール。不安を和らげる。」
子供がスヤスヤ寝る。
母親「本当にありがとうございます!」
感涙しながら子供をおんぶする母親を見送る錠吉とメプチン。
メプチン「すごい!あんなにあっという間に治しちゃうなんて、、、」
錠吉「前にも似た患者を見たことがあったからね」
錠吉は二階で支度をして外へ出る準備をしてる。
錠吉「メプチン、世話になった。また会える日まで」
メプチン「待って!私もついていく」
錠吉「え?」
メプチン「私見習いだし、今じゃ多くの児を救えない。錠吉の元で勉強させて欲しいの。それに錠吉、指名手配されてるでしょ?何かあったら私が証言するし、、、」
錠吉「いや、しかしー」
外国人「おい!」
2人は驚く。
外国人「楽しく痴話してるところ悪いけどよぉ、お前らか?昨日俺の部下をやっちまったのは?」
身長は軽く2メートル以上ある体格のいい金髪の中年のおっさん。
外国人「俺は赤羽研究所で米国顧問やってるサターンだ。お前らが昨日やったこと、どういうことかわかってるか?」
外国人がポッケからカプセルシートを取り出す
外国人「日米関係の悪化に繋がらんようにお前らはここで始末するぜ」
カプセルを空中に放り出し、口に入れる。
外国人「シトナフィンカプセル、、、一回、、、4カプセル!!!!」
錠吉「まずい!!!」
メプチン「キャッ!」
錠吉がメプチンの手を掴み、家の窓を突き破って外へ出る。
メプチンの家大爆発して、木っ端微塵。
どかぁーーん!!!!
メプチン「え、、、え、」
錠吉「シトナフィンカプセルは火薬だ。それを一片に4カプセル、、、」
錠吉ドアップで「自爆だ」
メプチンの家は紅炎が禍々しく焚き付けており、火が消える気配は全くない。
その光景を錠吉とメプチンは呆然と見つめながら
錠吉の目が殺意の満ちたものに変わり
錠吉「赤羽薬師会。人の命を蔑ろにし、薬を使って悪行を犯す。絶対に許さん。」
燃える炎で錠吉の顔が明暗が鮮明に分かれた影ができる。

第三話完

#創作大賞2024 #漫画原作部門

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