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明日を生きるためのキャリア論

人は生涯を通じて、色んな「顔」を持って生きていく。例えば、いまの私ならこども、大学生、市民、余暇人などであろうか…。それらは、数々のキャリア論の中で、「役割」と言われている。それでも当然、皆が同じ役割を引き受けるわけではなく、またすべての役割を終えることができずに、生涯を終えることもあるだろう。いずれにせよ、その過程において、様々な困難/課題が立ちはだかる(現在の私であれば、進路探索)。そのような中で、私とあなた、ひいては私たちが目の前の困難/課題に立ち向かうために、もしくは明日に希望を持って生きるために、どのような視点を持ち、どのように取り組めばいいのだろうか?

その答えのヒントになるのが、数々の「キャリア論」ではないだろうか?少なくとも私はそう確信している。人生で立ち止まった時、自分の意図していない出来事に出会った時、これまで長く研究されてきた数々の「キャリア論」が、きっと私たちの足元を、明日を照らしてくれると信じている。そのような考えのもとここに文章を記している。

キャリア論の二大視点

キャリア論の二大視点として、「発達」と「マッチング」がある。難しいように聞こえるが、要は「発達」とは自己概念やアイデンティティなど、自己の内面から外に広がる視点で、「マッチング」とはその人取り巻く環境からその人の適合をみる視点である。

そして「発達」と「マッチング」はそれぞれ、インサイド→アウトと、アウトサイド→インと言い換えることが出来る。

キャリア・アンカーとサバイバル

そのインサイド→アウトの視点は、「キャリア・アンカー」という視点と同じである。アンカーとは錨(いかり)を意味し、「自分のどうして譲りたくないもの、本当に大事にしている拠り所(価値観など)」のことをいう。それがあればどんな荒波にも流されることはなく、その先の自分が進む方向を見失うことはない。その一方、アウトサイド→インという視点とは、自分を取り囲む外からの要望や環境に、うまく対応すること示す。そのあり様は、まさに「サバイバル」というわけである。

したがって、インサイド→アウトの考えが「キャリア・アンカー」に、アウトサイド→インの考えが、「サバイバル」にそれぞれ繋がっている。そして、その両方のバランスが大事なのだが、人はどちらか一方に偏りがちになってしまう。

また、時間軸で比較すると、キャリア・アンカーは、今を超える長いスパンのキャリアの展望を秘めている。例えば「何を大事にして生きてきたか・生きていくか」などの価値観は空間的にも、時間的にもより遠くにまで繋がっている。一方、サバイバルはその反対だ。サバイバルは空間的にも時間的にも、今目の前のことに注目する。つまりキャリア・アンカーよりも、近接した今に着目し、キャリアをうまく歩むことがサバイバルである。

※「キャリア・アンカー」・・・エドガー・H・シャイン博士によって提唱されたキャリア理論の概念

サバイバル(アウトサイド→イン)の重要性

サバイバルのためだけに生きているのではないが、サバイバルできなかったら自分らしく生きていくこともできない
(「キャリア・デザイン・ガイド」金井 壽宏)

自分らしく生きること、それは誰もが持っている権利であり、そのように生きたいと思っている人は多いのではないだろうか。そして、その「自分らしく」とは、キャリア・アンカーに関する視点である。しかし、そのためにはサバイバルをしなければならないと金井は言っている。上記のメッセージからあなたは何を受け取るだろうか。

「“自分らしく”生きることは、決して自分の思いのまま(アンカー)だけに生きることではない」と示唆しているように、私は感じる。“自分らしく”生きることは、自分の「やりたいこと」や「望むこと」だけをして生きることではなく、「なぜ、やらなければいけないかわからないこと」であっても、「立ちはだかる困難/課題」として立ち向かうこと、つまりサバイバルすることが「自分らしく」生きるカギなのではないだろうか。そして、その連続が私たちの人生に輝きをもたらすのである。

だからこそ、今のあなた目の前にある困難/課題は、サバイバルとして理解出来る。それに立ち向かうかどうか、自分のアンカーに訊ねてみると良いのかもしれない。

参考文献→キャリア・デザイン・ガイド~自分のキャリアをうまく振り返り展望するために~ 金井 壽宏

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