新たなコロナウイルス検査? -パルスオキシメーター-

東洋経済ONLINEに興味深い記事が掲載された。NYでコロナウイルス治療の最前線で働く日本人医師のレポートだ。

この医師は、コロナウイルス肺炎が、他の肺炎と異なる事に注目している。

曰く「普通の肺炎なら症状も病状と比例して出てくるが、コロナウイルス肺炎は肺が適応しようと頑張って、肺炎が重篤化していても自覚症状が無い。結果、突然肺機能が破綻して急速な重篤化や突然死が起こる」と言う事だ。

肺が機能してるかの指標で使われる「酸素飽和度」と言うのが有る。医療ドラマ等で救急搬送中や、診断初期のシーンで良く出てくる用語なので耳にした人も多いと思う。簡単に言うと、「血液中の酸素量」だ。

この酸素飽和度が正常で有れば、少なくともコロナウイルスによる肺炎症状は無いと簡易判定出来るかも知れない。少なくともこの医師は、「普通の生活を送れないレベルの患者が、挿管の準備をする時でさえスマホをいじっていた」例を複数見たと証言している。

酸素飽和度を測るには、「パルスオキシメーター」と言う機器を使う。使い方は指の先に挟んでボタンを押すだけ。体温計と同じ程度の簡便さだ。そして、薬局でも買える物らしい。ただ、体温計ほど生活の中に普遍的に存在する物では無い。他の原因による肺炎、他の呼吸器系の病気、タバコによる肺機能の低下や、加齢による肺機能の低下等も考えられる。個人で機器を買って一喜一憂するのでは無く、かかりつけ医に測定してもらう必要があると警告している。

それでは、どの様に使われるべきか?まずは、PCR検査の際に同時に酸素飽和度を測定し、データを蓄積、比較する必要が有る。

しかし、今は時間が足りないので、医療従事者及び、入院や宿泊施設に収容されている患者に対しても血中酸素濃度をこまめに測定する必要が有るだろう。

有意義なデータが出れば、PCR検査しかこのコロナウイルスを判定出来なかったのが、簡易的かつ安価で即時にある程度の判定が可能となる。入院患者の退院判定の為のPCR検査数を減らしたり、重篤化のサインを見逃す事も劇的に低減する事が期待出来る。CTスキャンもレントゲンも使う事なくだ。そして、何より医療従事者の検査時の感染リスクが大幅に低減出来る事にも繋がる。

更に進めば、介護現場で医師が、入居者や介護従事者に血中酸素濃度を測定するだけでクラスター感染の危険度を下げる事も可能かもしれない。

献血現場で測定すれば、市中感染も早期発見出来るかも知れない。

いずれにせよ、PCR検査、CTスキャン、レントゲン等と比べ劇的に簡易なパルスオキシメーターが武器となるならば、世界的なパンデミック終焉は近くなる。そう期待したい。

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