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衝突する銀河 Arp 274


https://apod.nasa.gov/apod/ap230123.html

これは、二つの銀河が衝突している写真です。
(一番左に見える銀河は、関係ありません。)
銀河といえば、何千億個もの星が集まってできている。
その銀河同士が衝突するとなると、その何千億個もの星どうしが衝突し、凄まじい状況になると思うだろう。

しかし、銀河同士が衝突しても、それを構成する星同士が衝突することは、まずありません。
えっ、どういうこと。

なぜなら、銀河の写真を見ると星がぎっしり詰まっているように見えますが、実際は銀河の中は、言ってみればスカスカなのです。

星がいかに大きく明るく輝いていても、星と星の間の距離がとてつもなく開いているからです。
・・・・・

そう言われても、ピンとこないと思う。
私も、知識としては知っていても、なかなか実感として捉えているかと言われると疑問だ。

そこで、この際計算してみた。

我が太陽に一番近い恒星であるケンタウルス座α星は、4.3光年離れたところにあります。

これがどれくらいのものか計算してみる。

太陽の直径は、1.3927×10^6Km(10^6は、10の6乗の意味)。

ケンタウルス座α星は、二つの星が一つに見えているのですが、一つ一つは、大体太陽と同じくらいの大きさですから、太陽と同じとしよう。

4.3光年は、4.068×10^13Km

太陽の直径と4.3光年の比
1.3927×10^6 : 4.068×10^13 
= 1 : 2.9×10^7

太陽を1mのボールとした場合
1m : 2.9×10^7m (2.9×10^4Km ・・・約3万km)

つまり、直径1mのボールが互いに30,000km離れているのと同じということになります。
地球の円周が、約40,000Kmということを考えると、それぞれの星の大きさに比べて、その離れている距離がいかに大きいかわかると思う。

これだけ離れている(隙間が空いている)1mのボールどうしがぶつかるということは、極めて稀(ほぼ無い)であろうことは理解できると思う。

従って、銀河どうしがぶつかっても、星どうしが衝突することはまずないと考えられるのです。

しかし、星と星の間にある、チリやガス、いわゆる星間物質となるとそうはいかない。互いに激しくぶつかり、かき混ぜられる。その結果、チリやガスが集まり新しい星が誕生する。

写真で青色に見えるところが、新しく星が誕生した領域だと思う。

また、銀河を構成している星もぶつかりこそしないが、互いの銀河の重力によって引き寄せられ、その軌道を変え、それぞれの銀河の形を大きく変ようさせることになる。

最も、この変化は数億年という時間をかけて起こる。
我々からしたら非常にゆっくりした変化なので、目の前で劇的な変化を目撃できるというわけにはいかないのだが。

写真の銀河は、 Arp 274(NGC 5679 としても知られている)と呼ばれる銀河で、乙女座方向4億光年のところにある。

Arpというのは、アープさんという天文学者が、渦巻銀河や円盤銀など典型的な銀河でなく、形が崩れた特異な形の銀河をカタログ化して、番号を振ったものです。
ですからArp274というのは、このカタログの274番目に載っている銀河ということです。

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