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巨大な星誕生領域:NGC 604

https://apod.nasa.gov/apod/ap211112.html

星の庭にミニ薔薇が咲いているような、この銀河はM33(メシエカタログNo33)とカタログされている銀河だ。
別名、風車銀河、あるいは、三角銀河と呼ばれている。

メシエカタログ
フランスの天文学者であるシャルル・メシエが作成した星雲・星団・銀河のカタログである。
メシエが彗星を探索するのに際して、彗星と紛らわしい天体の一覧を作ったことが始まりである。
M1からM110まである。
ちなみにM1は超新星爆発の残骸であるカニ星雲。アンドロメダ銀河は、M31である。

この銀河は、地球から300万光年の距離にあり、差し渡し50,000光年ほどの大きさがある。

局所銀河群の中では、アンドロメダ銀河、天の川銀に次いで大きい。M33銀河自体は、アンドロメダ銀河の衛星銀河であろうと考えられている。

したがって、アンドロメダ銀河とM33銀河は互いに壮大な渦巻きシステムを作り、回っている可能性があると考えられている。

(洗濯機の渦に放り込まれた洗濯物のように、互いに渦の中心の周りを回っているなんて、想像するとすごい光景だ。)

局所銀河群(Local Group)
銀河系(天の川銀河)の属する銀河群。
天の川銀河とアンドロメダ銀河を中心に、半径役1Mpc以内にある40個以上の銀河で構成されている。
メンバー銀河では、銀河系とアンドロメダ銀河が飛び抜けて大きく、残りの大部分は矮小銀河である。
局所銀河群の推定質量は1-2兆太陽質量で、その大半はアンドロメダ銀河と銀河系が担っている。

さて、この銀河を美しくしているのは、青い星の集団とピンクの星の部分だ。

青い星の集団は、ここの星が若い星であることを示している。ピンクの部分は、ここで今まさに星が盛んに誕生している場所であることを示している。

特に、この銀河の4時方向にひときわ大きなピンクの塊が見える。

この塊の拡大写真が下の写真だ。


https://apod.nasa.gov/apod/ap121211.html

ここは、NGC 604とカタログされている。
銀河の中の星間物質が集まり巨大なガスの塊を作っている。
この大きさは、球状星団を作ることさえできる大きさだ。

ここでは、多くの若い星が母体であるガスと共に見て取れるだろう。

いくつかの星は、非常に重く、すでに進化の寿命が尽きて、超新星爆発を起こしてしまっている。

残された最も明る星は周囲に強力なエネルギーを放ち、周りの水素をイオン化して輝かせている。
その大きさは、天の川銀河のそばの大マゼラン雲にあるタランチュラ星雲に匹敵するものだ。


https://apod.nasa.gov/apod/ap090205.html

この写真は、上のNGC 604星雲の中心部をチャンドラーX線観測衛星とハッブル宇宙望遠鏡で撮影して、X線と可視光線画像を合成したもの。

青い部分は、X線が写っている。

これからわかるのは、この星雲の洞窟状の気泡や空洞が高温でX線を放つ希薄なガスが充満していることだ。

興味深いことに、NGC 604 自体は、比較的冷たいガスの壁で仕切られている。

星雲の西側(右側)では、約200個の若い大質量星からなる星団からの強い風によって、物質がX線温度まで加熱されている可能性が高いことが、観測によって示されている。

東側では、X線で満たされた空洞はより古く、大質量星の進化の末期に起きた超新星爆発が空洞の形成に寄与しているのではないかと考えられている。

こうやって、いろいろ分かってくると、ああ綺麗だなと思える風景が、星が生まれたり、超新星爆発を起こしたり、若い星が出す強力な光が、周りのガスを発光させたりと劇的的な変化が起きているところなのだなとわかる。





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