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銀河団ガス・・・半端じゃない

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左の写真が、エイベル2670という銀河団(銀河の集まっているもの)を可視光線で写したもの。白く輝いているのが、一つ一つ全てが銀河。
で、右が同じところを、X線で写したもの。

X線といえば、紫外線よりさらに波長の短い電磁波。
つまりは、よりエネルギーの高い電磁波なのだ。

当然、可視光線より、エネルギーは高い。すごく高い。
このX線が、見ての通り、銀河団全体から出ているのだ。
可視光線では、黒く見える銀河のないところ、つまりは星のないところからも隙間なく、出ている。

銀河そのものからも当然出ているのだが、すこぶる影が薄い。
なんだこれはとなって、これが銀河団ガスなのだ。

X線なんて、そう簡単に出るものではない。
そんじょそこらに転がっている岩から出たりしない。
極めてエネルギーの高い物質から、すなわち高温の物質からしか出ないのだ。

だから、この銀河団ガス、1億度あるという。
はあ、それならもっと光り輝くんじゃありません?
そこなんだ、我々の一般常識と反するのは。

我々が普段見ている物質は、熱するとだんだん、赤くなり、そのうち黄色、5000度から6000度で白(ここらあたりが太陽の表面温度)、緑、16,000度を超えるあたりから、青みがかかった白となる。だから、高い温度のものは、白色に輝くなんて思っている。

じゃあ、もっと熱くしたら、どうなる。
超高温になると、光なんてちょろいものではなく、X線が出るのです(その先にガンマ線なんて恐ろしいものがあるけど)。

で、我々の肉眼では、X線は見えない。
有史以来(というか生物誕生以来)、1億度の物質に遭遇した人類はいないだろうから、我々の目は、X線が見えるようにはなっていない(紫外線だって見えないけど)。必要ないもの。

ところで、驚くのは、このガスの温度もさることながら、その量。
だってそうでしょう。
並みいる銀河を蹴散らして(銀河ですぞ、数千億個の恒星が集まっているのですぞ)、煌々と輝くとなると、ちょっと一二個光ってみました、なんて訳にはいかない。

銀河を凌駕する、いや銀河団を凌駕する物質が光らなければならない。
このガス、見えている銀河を構成している物質(要するに可視光線で光って見える物質)の4倍くらいあるらしい。
いやはや、宇宙ってのはどうなっているのだと、ため息が出る。

我々は、本当に見えるものしか見ていなくて、当然のことながら、それでしか物事や世界を理解できていない。そのいわば、表層の理解の下、判断し行動しているのだなと、最近とみに思う。
まあ、それで、通常はいいのだけれど。





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