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メテオの閃光


https://apod.nasa.gov/apod/ap230217.html

2023年2月12日
クリスティアン・サルネツキー(Krisztián Sárneczky)は、ハンガリーのマトラ山脈にあるコンコリ天文台で、いつものように、地球近傍の天体を探していた。

20:18:07 UTC
既知の小惑星等ではない、天体(2023CX)を見つけた。
それは、地球から233,000Km離れた、地球と月の間にあり、地球方向に9Km/sで動いていた。

協定世界時:UTC = Coordinated Universal Time
日本標準時(JST)は、協定世界時(UTC)のプラス9時間( UTC + 9 )

当初、彼はこれが地球近傍天体であることは、すぐ認識したが地球と衝突コースにあることには、気づかず。

30分後、再度観測して計算したところ、この小惑星は地球と衝突コースをとっているとわかり、Sar2662という仮の名前をつける。

20:49 UTC
サルネツキーは、急いでMPC(Minor Planet Center:小惑星センター)のNEOCP(Near -Earth Object Confirmation Page :地球近傍天体確認ページ  https://minorplanetcenter.net/iau/NEO/toconfirm_tabular.html)にデータをアップし、世界中の天文台のフォローアップを要請した。

21:03 UTC
クロアチアのヴィシュニャン天文台、2023CXの観測を始める。それにより計算したところ、2023CXは、間違いなく地球と衝突コースをとっていると発表。

欧州宇宙機関は、小惑星の差し迫った影響に注目して、ソーシャルメディアを通して一般に警告を出す。

世界中の天文学者が、刻々と2023CXが地球に迫ってくる中、より正確な軌道、衝突地点の割り出しに必死に取り組む。

2023年2月13日

02:50 UTC

2023CXは、地球の影に入る直前、13等級(冥王星の明るさと同じ)をピークにだんだん暗くなり、その後見えなくなる。

02:52:07 UTC
オートプロバンスのSAINOリモート天文台によって、2023CXの最後の姿が観測された。地球の影に入って2分後、地球に衝突する7分前のことである。
この時の距離、地球から11,100Km。

02:59:21 UTC
2023 CX 1 は14.5 km/s の速度で垂直に対して 40 ~ 50° の傾斜で大気圏に突入。

隕石はイギリス海峡を超えてフランスのノルマンディの海岸まで東に移動したとき、かなりの大気抵抗を受け、高度 89 km で明るい流星として燃え始める。

隕石は、フランス、イギリス、ベルギー、オランダで目撃される。

高度 29 km で断片化し始め、高度 28 km で完全に分裂し、その断片が急速に気化したために明るい閃光を発する。

その過程で、隕石は衝撃波を発生させ、この衝撃波は、一部の目撃者によって聞かれ、フランスの地震計によって検出される。

流星は高度 20 km で消滅し、その後、結果として生じた隕石は、光を放たない隕石として重力による自由落下を続け地上に到達した(これを暗黒飛行という)。


写真は、オランダで撮影された2023CXの火球。
2023CXは、地球に衝突すると事前に予測されて衝突した7番目の小惑星であり、最近隕石が回収された3番目の流星である。

綺麗な写真だが、発見からわずか7時間足らずで、小惑星が地球に衝突した姿だと思うと、ショッキングだ。
もっと破壊的な小惑星が地球と衝突する時にも、あまり時間的な余裕がなさそうだと思うと、厳粛な気持ちになる。




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