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M81 銀河とアープループ( Arp's Loop)


https://apod.nasa.gov/apod/ap101209.html

11,800,000光年の位置にあるM81銀河は、空で最も明るい銀河の1つである。銀河の明るいコアと宇宙空間を優雅に掃いてような青い腕、そして左上にある不規則銀河団の青さの組み合わせが、なんとも美しい。

ところで、この銀河の右上方、画面の右上にある紫色の広大なリング状の構造物に気づいただろうか。
これは、アープのループ(Arp's loop)として知られているものだ。

これは従来、このM81銀河と重力的な相互作用を持っているM82銀河との潮汐作用によって、M81銀河から引き出されたダストだと考えられてきた。

https://apod.nasa.gov/apod/ap100324.html

右側がM81で左側がM82。

なるほど、これだけ近くに2つの銀河があれば、そりゃそういいうことも起きるだろう、と思う。

しかし、近年このループは、単一構造でできているのではなく、この銀河の視野の中にある複数のフィラメント構造のものが重なって見えているのだと考えられるようになった。

どういうことかというと、M81自体に存在するダストと、我々の天の川銀河にあるダストが重なってこの構造物になって見えているということです。

曇りのある窓から、遠くの山の上の雲を見るような感じ。
見え方によっては、窓の曇りも、山の上の雲のように見えると思うが、それです。

しかし、窓ガラスの曇りと山の上の雲なら、少し注意してみれば区別はつくけど、1000万光年離れた銀河のチリと天の川銀河のチリと言っても、何万光年という距離だ、どうやって、区別したのか。

アープのループとして見えている、光と赤外線の発光源を特定する方法を使った。

アープループから届く光の色を測定し、M81のディスクやM81がある領域を埋める銀河巻雲( Galactic cirrus)の色と比較したという。

銀河巻雲( Galactic cirrus)
主に遠赤外線による観測によって、天の川銀河の円盤から離れたところにもやもやとした構造として見られる星間雲。地球上の雲である巻雲(シラス雲)と見かけが似ているため、この名前が付いた。星間ダストの熱放射に起源を持つと考えられる。その分布は中性水素ガス雲の分布と似ており、放射している星間ダストは中性水素ガスや分子ガスと混在していると考えられる。

天文学辞典

その結果、アープ・ループの赤外線放射は、銀河系シーラスに由来する冷たいダストからの放射によるものが大きいことがわかった。

つまり、M81にあるように見えるアープループは、我々の天の川銀河の塵である可能性が高いということです。


https://www.cosmotography.com/images/galactic_cirrus.html

これは、赤外線天文衛星 (IRAS) と宇宙背景探査機 (COBE) によって収集されたデータから作成された天の川銀河の姿。

星間塵によって形成された広大な構造を分離するために、星や遠方の銀河からの個々の点源が削除されている。

地球は天の川銀河の平らな円盤の真ん中に位置しているため、銀河は常に内側から見えます。CDやDVDの薄い縁を見るのと同じように、常に広い帯域として真横から見ることになる。.

この写真で、中央を走る明るい帯は、私たちの銀河系の円盤内の塵の画像であり、天の川の塵の粒子のほとんどを含んでいます。

このバンドの上下にあるかすかなフィラメントは、私たちの視点から見た最も近い塵の雲だけを表している。

この姿が、巻雲に似ているので銀河巻雲と呼ばれている。


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