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原始星のジェット:ハービック・ハロー221


https://apod.nasa.gov/apod/ap230919.html

この天体は、ハービック・ハロー221(HH 221)と呼ばれるものである。

ハービック・ハロー天体(HH天体)とは、この種の天体を最初に詳しく調べた、ハービック氏とハロー氏の名前に因む。

見ての通り、真ん中の黒い部分から両極に細いジェットが吹き出している。そのジェットは、先に行くと滞り先端は、衝撃波の弧を作っている。

これは、黒い部分に若い星(原始星)があり、その降着円盤に垂直方向に噴き出したジェットが、星間物質に衝突してこのような形になっているものと考えられている。

若い星は、まだ星周辺の星間物質を吸収し切れておらず、星間物質は、星の周りに降着円盤と言われる円盤状に集まり、星の周りを回転している。

この降着円盤からの星間物質が、星に降着する際、一部がこのようなジェットとして、秒速数百Kmの速さで、宇宙空間に噴き出されこのような姿をとる。

観測してみると、この姿は数年で形を変え、HH天体は、今後10万年の間に、明るくなったり暗くなったり、形を変える可能性が高いと考えられている。

このHH天体は、若い星が作り出すものであるので、星形成領域(新しく星ができているところ)によく見られる。

ただし、若い星が全てHH天体を持つのかどうかは、わかっていない。

数百万年、数千万年、場合によっては億年単位が普通の時間軸である宇宙において、数年で姿を変えるHH天体というのは、我々人間の時間軸に近く、宇宙の変化を直接観測できるというのも、すごいことだと思う。

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