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星の一生 その1(概略図・星間物質)

知人から、私の記事を見て、星や銀河、宇宙の写真は綺麗だし見るのは好きだ。しかし、宇宙のことを考えようにも、どこから考えていいのか分からないので、いまいち興味を持てない。と言われた。

私は、宇宙については、写真を見て、綺麗だ、すごいと感動するだけでもいいと思っている。

そうやって、感動しているうちに、一体これはどうなっているのだろう、という疑問が湧いてきて、ちょっと探求してみようとなれば、やってみる、そんな感じでいいと思う。

むしろ、そうやって、興味を持ち、その結果、探求していくのが本来の宇宙に対する人間の姿勢ではなかろうかと思うのだ。

ところで、星がどのようにして生まれ、成長し、やがて終末を迎えるのかを知ることは、宇宙を探究する上で基本的な基盤になるし、この基盤の上で宇宙を見ると、より興味が湧く。

そこで、自分自身のためにも、星の一生を纏めてみることにした。

当然、私には星の一生を完全に理解し、記述すことはできない。そもそも、星の一生を完全に理解するということは、宇宙自体を理解することに近いようにも思う。そもそも、天文学でも、全て解明されているわけでもない。

私自身が、誤解している部分もあるかもしれないし、疑問が解消されていない部分もある。

ただ、自分で納得できるように努めてきた。
ここで、納得できるというのは、ありありとイメージできる程度ということだ。

これを伝えることができればと思う。


さて、星の一生を図解すると、以下のようになる。



この図を見るときは、以下の手順を踏まれることをお勧めする。

拙い手書きの図ですが、一度サッと全体を眺めた上で、一つ一つの図を指で押さえて、何だこれはと思って(考えるまでしなくて良い)見ていただきたい。

経験上、これが一番頭の負担を少なくして、理解する方法です。なぜなら、全くとっかかりのない分野に取り組むときは、ことの強弱、ポイントがどこかも分からない。

頭にかかる負担が大きい。
しかし、指差しすると、そこに意識が集中するので、この負担が軽くなるのだ。試してみてください。

この図表は、歴史年表を見るのと同じで、呪文のようで面白くないだろう。歴史年表は、歴史的事件の背景、流れ等をわかっている者にとっては、頭の整理にも全体の流れを掴むのにも便利だし、読んでいても飽きないということもある。

しかし、その前提知識がないと、苦痛でしかない。

だから、下記の星の進化の図も、最初に見るときは苦痛だと思う。ただ、この図があると、それこそ星の個々のステージの詳細が全体のどこのことを言っているのかわかり、理解しやすいと思うのだ。

だから、この図は覚えなくてもいいが、折に触れて、今どのステージの話なのか、確認するという使い方をすればいいと思う。

以下図の説明。なお数字は、図のイラスト番号。

 宇宙空間に星間物質がある。大部分水素。
どれくらいあるかというと、1㎤あたり、原子1個程度。
我々の感覚からすれば、極めて少ない。
だから、宇宙は真空だと、思っている人も、あながち間違いではない。

 この星間物質が、近くの恒星からの紫外線や何らかの影響を受けて、乱流が生じ、密度の濃い部分ができる。


 星間物質が、ある程度の量集まると、重力によって渦巻き状に固まり始める。

この時、塊は数個単位にできる。これはシュミレーションでわかっている。また、実際も連星(太陽が2つ)や重連星(太陽が3つ)などで星系ができている場合が多く、我々の太陽系のように、太陽が1つの星系の方が少ないらしい。


 星間物質は、重力により、ますます密集し、密度が高く高圧、高温なる。
やがて、この集まった星間物質の中心の温度が、1000万度を超えると、中心の水素が核融合を始め、星の誕生となる。

なぜなら星(恒星)とは、自分で光を発している天体で、それはこの核融合でエネルギーを生み出しているものだからだ。

このステージにある星を主系列星という。


 星がその中心核の水素を核融合で使い果たすと、赤色巨星になる。


 質量が小さい星は、白色矮星になる。


 質量の大きい星は、超新星爆発を起こし、中性子星、あるいはブラックホールになる。


どうだろう。

面白かっただろうか。


多分、よくて、「へぇ〜」、くらいの感想だと思う。

当然だと思う。
なぜ、そうなるのか、そのメカニズムなどが説明してない。ただの言葉、単語の羅列に近く、把握感を持てないと思う。


では、把握感を持てるよう、説明しよう。

1 宇宙における星間物質


宇宙空間は、真空と思っている人もいると思うが、そうではない。1㎤あたり、原子1個程度が存在すると言われる。
だから、完全な真空ではない。

もちろん、銀河と銀河の間、銀河の中、銀河の中心部か縁辺部か、など、どの辺りの空間を考えるかによっても違う。しかし、我々は、星ができるところを考えるので、この程度の真空状態、逆言えば、その程度に物質が存在することを考えることにする。

さて、1㎤に原子1個なんて状態は、どんなものか、想像できるだろうか。ちなみに、地上の1気圧では、2×10^19個あるという。つまり、宇宙空間の1兆の1000万倍の2倍ある。



是非、紙に1の後に0を19個書いて、一、十、百とカウントしてみて欲しい。なぜなら、これをやると、数字の大きさがある程度実感できるからだ。

これからも時々、数字が出てくるが、読み流ししていると、だんだん頭がボーとしてくる。理解しないものを放置しながら進むと、頭がストライキを起こすのだ。

なんとも、凄まじい数字だ。
だから、宇宙空間は、真空だと考えるのも納得できる。

では、反対に、こんな希薄にしか存在しない物質(ほとんどが水素)が集まって星を作るには、一体どれくらいの範囲から集めなければならないか。

そんな面倒なことは、考えたことないし、考えたくもない、というかもしれない。しかし、アリアリとイメージできるように、把握するというのは、こういうことだ、避けて通れない。

さて、闇雲に考えても埒が開かない。
方針を立てよう。

まず太陽の質量(重さ)を調べる。
それから、水素原子1個の質量を調べる。
太陽の質量を水素原子1個の重さで割る。
その結果が、求める空間の大きさ(単位は、㎤)になる。
あとは、分かりやすいように、単位を変える。

これでいけそう。

まてまて、太陽は水素だけでできているのではない。
大まかに、水素7割、ヘリウム3割、その他の原子でできているではないか。それを水素だけと仮定するのは、間違いではないか。

気にしなくていいと思う。
今我々が知りたいのは、太陽規模の水素は、どのくらいの空間から集める必要があるかの概算だ。

それに、ヘリウムは、大雑把に言えば、水素原子が4個集まってできている。水素が4個あるのと、ヘリウムが1個あるのでは、原子の数は違うが、質量=重さは、ほぼ同じだから、これでいい(実際は7%ほど違う。この差が核融合反応時のエネルギーとなる)

基本データ

太陽の質量 1.989 × 10^30 kg = 1.989 × 10^33g
水素の質量 1.67×10^-24g

太陽の質量 ÷ 水素の質量
1.989 × 10^33g  ÷  1.67×10^-24g  = 1.191 ×  10^57
水素原子は、1㎤あたり、1個あるのだから、
これは、1.191 ×  10^57㎤ の空間が必要ということになる。

うわ〜、計算が出てきた。
嫌だ! ムリ!
なんて思わないで、自分でスマホの計算機を使って、計算して下さい。
階乗 累乗(二乗とか3乗というやつで、数式では^で表してある。)の計算とかは、ネット上のページでやるか、数式電卓を使って下さい。数字を入れるだけです。
式を読んだ(見た)だけでは、把握感が出ません。
頑張りましょう。やるだけの価値はあります。・・・多分。

1.191 ×  10^57㎤ = 1.191 ×  10^51㎥ = 1.191 ×  10^42k㎥
これは、1辺約1,060×10^14km の立方体の体積
つまり、一辺1兆600億kmの立方体。

球体として考えると、球体の体積は
4/3 × π × r^3 (要するに球体の半径の3乗にπ(円周率)をかけ、それを3分の4したもの)

そこで球の半径(r)を求めると(円周率πを3.146とする)
4/3 × π × r^3 = 1.191 ×  10^42k㎥
     r^3 = 1.191 ×  10^42k㎥ × 3/4 ÷ π  
       =  2.839  × 10^41k㎥
                    r    ≒  6.572  × 10^13 km (65兆7200億km)

半径 65兆7200億kmの球体・・・!
地球を16億4300万周する距離。

全くもって、ピンとこない。

そこで、地球と太陽間の距離で比較してみる。
地球と太陽間の距離は、149,597,870,700 m 約1億5千万kmだ。
これを1天文単位:au(astronomical unit)という。

65兆7200億km➗1,5億km = 438,133 au
つまり、地球太陽間の距離の438,133 倍。
直径にすると、876,266au。88万倍!

随分大きいことは、わかるが、それでも、まだ把握感がない。

土星の軌道半径は、9,58au。
これではどうだ。
438,133 au ÷ 9,58au ≒ 45,734
4万6千倍近くある。

ちなみに、一光年(光が1年間に進む距離)は
1 ly = 9460730472580.8 km = 約63,241au
これと直径で比較すると

876,266au ÷ 63,241au  ≒ 13.86
約14倍、つまり、14光年になる。

太陽は、少なくとも、半径7光年、直径14光年の星間物質が集まって、できている。

太陽から、約5万au(約1光年)のところには、オールトの雲(Oort Cloud)と言われる、太陽系を球状に取り囲む、1兆個ほどの天体があり、彗星の供給源だとされている。
これの、7倍の範囲となる。

太陽に一番近い恒星は、プロキシマケンタウリで、4.24光年。これでも、まだ足りない。

ちなみに、太陽の重力は約12万5000 au(約2光年)遠方にまで及んでいると推定されているという。

少しは、把握感が生まれただろうか。
いや、全然。
そうだろう。しかし、こうやって実際自分で計算してみていると、だんだん、把握感が出てくる。・・・と思う。


PS  実は私は、計算については、全く自信がない。
いつも計算ミスをする。
今回も、計算ミスをしている可能性が大きい。

ぜひご指摘いただきたい。
また、途中の計算式等でわからないことがあれば、遠慮なくコメントでお尋ねください。


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