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内側リング(inner ring),外側じゃない?


https://apod.nasa.gov/apod/ap220508.html

これは、Spiral Galaxy NGC 1512と呼ばれる棒渦巻銀河
この銀河には、リングが2個ある。
棒状の銀河本体の周りを取り囲むリングと、中心部にある核リング(nuclear ring)だ。

外側のリングは、内側のリング(Inner Ring)と呼ばれている。

いや、外側のリング(outer ring)の書き間違えではないか、と思われるだろう。私も最初、何を言っているのか理解できなかった。しかし、書き間違いではない。

下の図(写真)を見ていただきたい。

https://www.oulu.fi/astronomy/research/rings.html

これは、NGC 4314と呼ばれる棒渦巻銀河でリングが3つある。う〜ん、そう言われれば・・・。
と思われる方(私だ)に、下記の図(写真)。


https://www.oulu.fi/astronomy/research/rings.html

これは、NGC 1097という銀河の写真。
リングは赤色で、銀河のバーは緑色で囲んである。

この写真を見て、それから、上の写真を見る。
そして、今回の紹介の銀河NGC1512の写真を見る。
すると、・・・
なるほど、銀河を取り巻いているリングは、内側のリング(Inner Ring)だわい、と納得できる。

・バーの約2倍の大きさのリングは外側のリング(outer  ring)。
・バーのすぐ外側にあるリングは、インナーリング(innser  ring)。
・バーの内側にあるリングは核リング(nucler ring)と呼ばれる。

しかし、ここでちょっとした疑問が湧いてくる。
核リング(nuclear ring)、内側のリング(Inner Ring)、外側のリング(outer ring)というのは、わかった。
が、なぜ、区別する必要があるのか。

リング2個、リング3個と片付けてはいけないのか。
いや、別に区別してもいいのだけど、・・・と思うではないか。(私だけ?)

一つの謎が解けたら、新たな謎が生まれた。
かくして、yasuの眠れない日々が続くのであった。
yasuに心穏やかな日が訪れるのは、いつの日であろうか。
・・・・・

なんてことをやっている場合じゃない。
一気に片付ける。
今から、30分以内に、この記事は書き上げる。
そして、トレーニングに行くのだ。

さて、このリングの問題。
そもそも、リング(輪っか)があるということは、何を意味するのか。

普通の渦巻銀河は、銀河の中心(バルジ)があって、その周りをほぼ円盤状に星々が渦を巻いている。綺麗なものだ。
リングなどない。

https://www.asc-csa.gc.ca/eng/multimedia/search/Image/Watch/16441

しかし、棒状(バー)銀河は、まさしく棒状なので、周りの星々に与える影響が、単一の球状の中心(バルジ)である銀河と違ってくる。

具体的には、銀河の円盤の綺麗な渦巻き、対称形を崩す。
崩すというのは、綺麗な渦巻きの位置から、ハズレさせるのだ。

そして、この綺麗な渦から、外れた星々は、どこに行くか、というと実は、銀河のバーに影響され、一定の位置(これを共鳴軌道という)に落ち着く。

これが、リングなのだ。
だから、バーのすぐ外、バーの2倍の所とリングができるのだ。

銀河の周辺のガスやチリは、銀河中心に引き寄せられることによっと、密度が高まり、その重力による圧力によって、高温になってくる。

そして、一定程度以上の重力により、圧縮され、高温になったガスやチリは、やがて、核融合反応を起こして、さらに高温になり、重力のよる圧縮と均衡が取れる状態になる。
これが、星の誕生だ。

この銀河は、よく見ると、バーと接した内側のリング(inner ring)から、大量のチリ(茶色い筋)が、銀河中心、核リング(nucler ring)に流れ込んでいる。
そこでは、猛烈な星の誕生が起きていて、核リングが、明るく輝いている。

本来、銀河の中心は、宇宙誕生と同じくらい古い星の集まりであり、このように、新しい星が生まれることはない。
反対に、銀河の渦巻きの腕は、ガスが集まってきている所なので、新しい星が多い。

また、当然のことながら、内側リング(inner ring)でも星々が沢山誕生して、青く輝いている。

そりゃそうだ。
本来の軌道から、引き出され、共鳴軌道に強引に集められたのだから、あちこち、密集して密度が高く(重力が大きく)なって、発熱⇨核融合反応→星の誕生のメカニズムが働く場所だからだ。

このように、バーとリングの関係は、銀河の再生メカニズに関係していると考えられるので、興味津々なのだ。天文学者は。


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