ベトナム2日目 前半
A氏に乗せていただいたバイクは非常に楽しかった。昼間以上に排気ガスの匂いを強く感じたが、それも街の香りだ。
食事に連れていって頂いたのに、ほとんど食べずに喋って終了。ホテルに戻るとどっと疲れが出る。お腹は満たされていなかったが、気持ちは満たされてて、あっという間に眠ってしまった。
ゆったりと目を覚まし、なんとか朝食の時間に間に合う。味は覚えていないが、お腹は満ちた。街を探索すべく、意気揚々とホテルを出て5分もしないうちに、
「コンニチワー」
白髪のおじさんに笑顔で声をかけられた。
普段であれば露骨に怪しく感じられるのだが、飛行機内でのベトナム人女性とのコミュニケーション効果で、ガードが随分下がっていたように思う。つい、食い下がるおじさんの話を聞いてしまった。
「日本人みんな言ってくれてるねー」
おじさんは自分の手帳に書かれた日本人の記録を見せてくれた。
「この人は信用できます」「すごい体験ができました」高評価レビューが乱発されていた。大手通販サイトよろしく、高評価しかないレビューは怪しいのだが。
「1時間20万ドンで、バイクで案内するよー」
この日は快晴で、大変暑かった。来るまでは「レンタル自転車で!」と考えていたが、バイク天国ベトナムではリスクが高い。中心部のバイク量はマジハンパない。GRABの使い方もこの時はまだマスターしておらず、この提案は魅力的に聞こえた。
そして、1時間20万ドンという金額も、現地の時給で考えればやや高めであろうし、その「やや高い感じ」が「大丈夫では?」との仮説につながってしまった。
おじさんに3時間と依頼をし、バイクに2ケツする。まずは戦争証跡博物館に連れていってもらう。私だけ中に入った、おじさんは外で待つようだ。
戦争に使われた兵器なのだが、ついかっこよく見えてしまった。しかし、館内は戦争の悲惨さがひしひしと伝わる展示物ばかりだった。
見終わって、敷地から出るとおじさんが待っていた。次は統一会堂を見たいことを伝えた。
統一会堂の前に着くと、おじさんは
「今は昼休みだからハイレナイヨー」などとのたまう。そんなことはないような気もするが、戦争証跡博物館でそうだったように、熱い中外でバイクで待ってるのが嫌なのかもしれない。私は外から写真を1枚取り、中に入らず後にした。
次はサイゴンスクエアに行きたいと伝えると、
「アソコタカイヨー。モット安い市場アルヨー」
なるほど。確かに高い可能性もある。ホーチミン市内には色々市場があるようだし、任せてみるか。さすが地元民。
「海の神様のお寺があるよー。そこに行くとみんな喜ぶよー」
気がつくとおじさんのバイクは大きな川沿いを走っていた。風が気持ちいい。