公開インタビューセッション #16
大地からの謎かけーあるもので満ち足りることがわからない
ゲスト:渡邉佐和子さん(工芸作家)
いまから5年前、北海道のとある湿原のほとりにある小さなアイヌの集落に住んでいた、渡邉佐和子さんを招いて「湿原のほとりのアイヌコタン、『嬉々』とした暮らし」というイベントを行いました。覚えてますかね。
渡邉さんが日々の暮らしで触れている、アイヌと呼ばれている人たちとの付き合いを通じて知れた、彼ら彼女らの感性のありようは、「嬉々として暮らすって幸福の概念の実現とはぜんぜん違うんだな」と思わされました。
さて、渡邉さんをふたたび招くわけですが、テーマは「大地からの謎かけーあるもので満ち足りることがわからない」です。
「あるもので満ち足りることがわからない」ですよ。一読して、はてな?となるでしょうし、きっとなっていることでしょう。
「あるもので満足して暮らしていけたらなぁ。それが豊かな生き方だし」と都会の暮らしに疲れているとそんなふうに想像しちゃいがちですよね。でも、「あるもので暮らす」のは、そうならざるを得ないからで、別に豊かさとは関係ないかもしれません。
「あるもので暮らす」ことと「あるものと暮らす」こと。
ここにもしかしたらアイヌと和人の感性の分岐点があるのかもしれない、なんて話に行き着くかもしれないです。
とにかく「アイヌ 自然 」と入力してネットを検索してもわかりはしない話が満載だと思います。
そして、この島で生きてきて、ごく自然に育んできたと思っていた感性だけど、本当はいったいどんな姿をしているんだろうか。そのことを改めて知るきっかけになると思います。
渡邉佐和子(わたなべ・さわこ)
島根県生まれ札幌市育ち。
大学卒業後、内装会社や旅行会社、公益社団法人など職を転々とし、旅先で出会った夫と結婚。長女出産後、一目惚れした小さな集落に移住。
近所に住んでいるアイヌの木工作家の工房にアイヌの民族楽器「トンコリ」や民具の作り方を習い始める。また木彫をはじめ木工、郷土史、郷土考古学、作物の育て方、薪割り、火の管理、漁法、魚や草木の種類とその利用、皮の鞣し、料理の方法などなど近所の人や工房の師匠に教わる。
生活で必要なものを自分の手でどうやったら自然の中から紡ぎ出せるのか。そのために自分にどういう力が必要なのか、がもっぱらの興味の対象である。
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