独島問題盧武鉉大統領 特別談話文


主権確立象徴の問題 対応方針 全面的に検討
40年の歴史 刻まれた地

 尊敬する国民のみなさま

 独島は我が国土です。単なる我が国土ではなく、40年の痛恨の歴史がはっきりと刻まれた歴史の地です。

 独島は日本の韓半島侵奪過程において、最初に併呑された我が国土です。日本が日露戦争中に、戦争の遂行を目的として編入、占領した地です。

 日露戦争は、帝国主義日本が韓国に対する支配権を確保するために起こした韓半島侵略戦争です。

 日本は日露戦争を口実に、我が国土に軍隊を上陸させ韓半島を占領しました。軍隊を動員して王宮を包囲し、皇室と政府を脅迫して韓日議定書を強制的に締結させ、土地と韓国民を好き勝手に徴発し、軍事施設を勝手に設置しました。我が国土の一部において一方的に軍政を実施し、後には財政権と外交権さえも剥奪して我々の主権を蹂躙しました。

 日本はこのような渦中において独島を自国の領土に編入し、望楼と電線を架設して戦争に利用したのです。そして韓半島に対する軍事的占領状態を持続しつつ、国権を剥奪し植民地支配権を確保しました。

 今日本が独島に対する権利を主張しているのは、帝国主義の侵略戦争による占領地の権利、ひいては過去の植民地の領土権を主張することです。

 これは韓国の完全な解放と独立を否定する行為です。また過去の日本が犯した侵略戦争と虐殺、40年間にわたった収奪と拷問・投獄、強制徴用、甚だしくは慰安婦まで動員したあの犯罪の歴史に対する正当性を主張する行為です。我々は決してこれを受け入れることはできません。

 我が国民にとって独島は完全な主権回復の象徴です。靖国神社参拝、歴史教科書問題とともに、過去の歴史に対する日本の認識、そして未来の韓日関係と東アジアの平和に対する日本の意志を測る試金石です。

 日本が誤った歴史を美化して、それに基づく権利を主張する限り、韓日間の友好関係は決して正しいものにはなりえません。日本がこれらの問題に執着している限り、我々は韓日間の未来と東アジアの平和に関する日本のいかなる修辞も信じることができません。いかなる経済的な利害関係も、そして文化交流も、この壁を溶かすことはできないでしょう。

 韓日間ではいまだに排他的経済水域の境界が画定できずにいます。これは日本が独島を自国の領土だと主張し、その上で独島基点にまで固執しているからです。

 東海の海底地名問題は排他的経済水域問題と関連しています。排他的水域の境界が合意できずにいるなかで、日本が我が海域の海底地名を不当に先占しているので、これを正そうとすることは我々の当然な権利です。 したがって、日本が東海海底の地名問題に対する不当な主張を放棄しない限り、排他的経済水域に係わる問題もこれ以上は先延ばしできない問題となり、結局は独島問題もこれ以上静かなる対応で管理することのできない問題となりました。

 独島を紛争地域化しようとする日本の意図を懸念する見解がないわけではありませんが、我々にとって独島は単なる小さな島に対する領有権の問題ではなく、日本との関係において誤った歴史の清算と完全なる主権確立を象徴する問題です。公開的に堂々と対処していくべきことなのです。

 尊敬する国民のみなさま

 これから政府は独島問題に対する対応方針を全面的に再検討します。独島問題を日本の歴史教科書歪曲、靖国神社参拝問題とともに韓日両国の過去史清算と歴史認識、自主独立の歴史と主権守護のレベルで正面から対応していく所存です。

 物理的な徴発に対しては強力かつ断固として対応していくつもりです。世界の世論と日本国民に対して、日本政府の不当な対応をたえず告発していきます。日本政府が過ちを正すときまで、すべての国の力量と外交的資源をすべて動員して、持続的に努力していくつもりです。

 そのほかにも必要なすべてのことをしていくつもりです。いかなる費用と犠牲があるとしても、決して放棄したり妥協することのできない問題であるからです。

感情的対応 自制冷静に

 私は、我が国の歴史を冒涜し、韓国民の自尊を阻害する日本政府の一連の行為が日本国民の普遍的な認識に基づいているものではないという期待をもっています。韓日間の友好関係、ひいては東アジアの平和を危うくする行為が決して正しいことでも、日本にとって利となることでもないという事実を日本国民もよく知っておられるであろうからです。我々が感情的対応を自制して冷静に対応していかねばならない理由もここにあります。

 日本の国民と指導者にぜひともお願いします。

 我々はこれ以上、新たな謝罪を要求しません。すでに、幾度か行われた謝罪に見合う行動を求めているだけです。誤った歴史を美化したり正当化する日本の行為で、韓国の主権と国民的な自尊心を侮辱する行為を中止してほしいということです。韓国に対する特別な待遇を求めているのではなく、国際社会の普遍的な価値と基準に見合った行動を求めているのです。歴史の真実と人類社会の良心の前に率直かつ謙虚であることを望んでいます。

 日本が隣国に対して、ひいては国際社会においてこの基準で行動したときにこそはじめて日本はその経済の大きさに見合う成熟した国、さらには国際社会で主導的役割を果たせる国家となるでしょう。

 国民のみなさま

 我々は植民支配の苦痛の歴史にもかかわらず、日本と善隣友好の歴史を新たに記すためにたゆまない努力を重ねてきました。両国は民主主義と市場経済という共通の指標をもって互恵と平等、平和と繁栄という目標を目指して前進し、また、さらなる関係発展をなしてきました。

 いまや両国は、共通の指標と目標を恒久的に持続させるために、よりいっそう努力していかねばなりません。両国関係を越えて北東アジアの平和と繁栄、ひいては世界の平和と繁栄に、ともに貢献していかなければなりません。そのためには過去の歴史に対する正しい認識と清算、主権の相互尊重という信頼が重要です。

 日本は帝国主義の侵略史の暗い過去を果敢に捨てて立つべきです。21世紀の北東アジアの平和と繁栄、ひいては世界平和をめざして、日本の決断を期待します。ありがとうございました。

2006年4月25日


(2006.5.10 民団新聞)

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