麻雀プロというスペシャリティ 〜ファンは何故麻雀プロを批判するのか〜

 死の組と言われたサッカー⚽️ワールドカップ予選。引き分けできたらラッキーと誰もが思ったドイツ🇩🇪戦で、サムライJAPANはまさかの逆転勝ち、日本中(一部のひねくれた方を除き)が歓喜に満ち溢れた。
 国内外のメディア、ファンは森保監督の采配を褒め称えた。そして勝ち確、引き分けでグループ2位通過狙いなんていうフラグが立ちまくったコスタリカ🇨🇷戦の結果はご存じの通り「まさか」の敗戦。ファンは手のひらを返すように怒号、罵声を監督に向けた。
 そしてサムライJAPANがワールドカップ決勝を賭けてスペインと戦う数日前。
11/29 Mリーグ第2戦南4局。東家は2着と微差の3着白鳥プロ、南家トップ目の二階堂亜紀プロ、西家はトップまでハネ満ツモが必要な魚谷プロ。北家は3着まで1300・2600ツモが必要なラス目の仲林プロ。魚谷プロが早々に25s待ちで2着キープを目論んだ。仲林プロは45sに4sをツモり、4s雀頭にリーチすれば一発か裏ドラ条件だが5sは切らない。その後も一盃口確定聴牌でリーチツモ条件を満たすも、やはり5s切らずに回った。白鳥プロはドラ対子から8sを切れずに結果的に和了を逃した。しかし、プロらしい見応えのある一局だった。

 麻雀プロとはなんなのか。突きつめると麻雀とは何か、プロとは何だろうか。麻雀プロに関しては興味深い意見を堀内正人さんが動画発信している。

https://youtu.be/VUjSYpfZhFE



 将棋を例に取ると、例えばプロ棋士は年に4人しか誕生しない。そして興味深いことに女性プロは存在しない。
 先日里見香奈女流4冠がプロ編入試験に挑み、残念ながらかなわなかったニュースを聞かれた方も多いだろう。彼女はまずプロ棋士である四段への昇段ができないまま年齢制限で奨励会を退会となったが、女流タイトルの最多記録を更新などの成績を納め編入試験の権利を獲得。編入試験は四段のプロ棋士と5戦して3勝が合格条件であったが、3連敗して不合格となっている。将棋界の厳しさと男女間の実力差を痛感させられる一件であった。
 プロ棋士は平均年収が700〜800万程度と言われている。勝てば収入は増える。タイトルを取れば対局料も上がる。トッププロなら1億円は夢ではないだろう。一方で勝てない四段は400万円程度と言われている。女流4冠でも到達できない四段なのに低すぎる気もするが、改めて将棋界の厳しさを感じざるを得ない。
 囲碁やゴルフに関しても底辺はやはり厳しいだろう。

 麻雀プロはどうだろう。最近はプロアマリーグで同卓させていただく機会も増えた。先日はゲストで来られた白鳥プロと同卓した。この距離感の近さは麻雀ならではだろう。藤井聡太5冠と将棋する機会なんて絶対ない…。
 上述の動画で堀内正人さんは、「麻雀団体は会員から会費を徴収する。会員は麻雀プロを名乗ることができるというよくできたシステムだ。」と発言されている。確かに知っている麻雀プロの多くはサラリーマン兼業だ。そこに新しい風を吹き込んだのがMリーグとなるのだろう。最低年俸を補償し、リーグ優勝も夢のある金額だ。指名選手になることに一定の制限はあるものの、スポンサーを獲得し、新規麻雀ファンも爆発的に増えた。藤田社長には個人的にも感謝している。

 さて、先日あるMリーガーのリーチ判断に対するファンの方のコメント、それに対するプロ側の反応でプチ炎上が起こった。また、別のMリーガーの打牌や成績について非難する書き込みや動画まである(多すぎて逆に炎上していない)。
 個人的に記憶に残っている一局は、開幕戦くらいだったと思う。ソウズピンズで345が完成しているニ向聴。ワンズは三四六七で面子選択。普通は六七落としだが、何故か三四落とし。実況も「え?」という感じだったが、次巡に八ツモって聴牌。結果オーライだけど、????と感じたが特に炎上はしなかった。

 麻雀ファンは何故プロを批判するのか?
 橘玲さんは「バカと無知」の中で、サッカーファンが監督を罵倒する理由として、「自分の方が上手く指揮できると思っているファンが多い」としている。バスケットのフリースローはその難易度を理解しやすいが、サッカー監督が何をしているかわからないから、その難易度を理解できないというのである。

 では麻雀は?麻雀プロを批判するファンは、確実にかなりの腕を持つ打ち手である。様々な戦術や理論に精通しているケースがほとんどである。結果、プロに対して上から目線で批判してしまうのではないだろうか。プレッシャーのかかる放送対局で自分が同じように打てるのかということはさておいて、わかっているから言ってしまうのだろう。今回炎上となった発言も個人的にはファンとしての愛情が出てしまったと感じたが、やはりSNSの難しさで思いを完全に伝えるのは困難である。

 麻雀は将棋や囲碁と違って不確実性が大きいゲームである。短期的にはプロがど素人に負けることも起こりうる。だからこそゲストプロと同卓してゲームを楽しめるのだ。牌効率あり、感じる風あり、さまざまな打ち手がいて楽しいゲーム、それが麻雀だ。

 弱いプロがいたっていい、下手なプロがいたっていいと思う。
「○○を出さんかい!」
「ホンマに出してどないすんねん。」

今日も引き負けそうなアナタを応援しています。




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