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andyとrockと大学1年生の僕と革命

2009年、大学1年生、春。札幌から東京に上京。馬鹿でかいタワレコやHMVは僕にとっては夢の様で。東京のTSUTAYAには札幌では見つからなかったCDがアホみたいに並んでいるし。バンドも始めるし、僕は最高にテンションがあがっていた。でも同時に人見知りな僕に対して大きすぎる大学はちょっとしんどくて憂鬱な気分にもなっていて。そんな時に出会ったのもでかいのかもしれない。僕が青春を最も共にしたのは、僕と共に青春を生きてくれたバンドはandymoriである。


最後のアルバムまで、andymoriの曲はずっと大好きなのだけど、問答無用でまずはこの曲を聴いてほしい。彼らの全国流通版の1番最初の曲、andyとrock。1分もないイントロの様な曲。完璧だ。どうしても1番好きだ。この曲には全てがある。恐ろしく簡潔に、完璧な自己紹介をしている。andymoriの魅力が全て詰まっている。

雑な言い方をしてしまって申し訳ないが、世の中には一定数、普通に、まっとうに、大多数として生きることが少し苦手な人たちがいる。僕もその中の一人だ。そしてそういう人は、他の人達より少し音楽を、バンドを好きになりやすい。そうした生きづらさを抱えながら、それを肯定するかの様に、もしくは僕やあなたの怒りを代わりに怒ってくれるかの様に、自分だって辛いんだよと言わんばかりに、ロックバンドは音をかき鳴らす。世の中の様な抽象的で大きなものに嫌気がさして、かといって闘いたいわけでもない、でも一人でふさぎ込むのもなんで自分が辛くなきゃいけないんだともやもやしてしまうのも何か納得がいかない。そうした気持ちを音にぶつけてくれる。この曲はまさにそうだ、andymoriはそうした全ての孤独に共感してくれながら、演奏することで闘ってくれている。歌詞も、ボーカルも、ギターも、ベースも、ドラムも、全部。どうしようもなくなりながらギターで壁をぶん殴ってぶち壊す絵が浮かび上がる。僕はこの曲を聴いた時、見えないが何かまとわりついてる閉塞感を、狭い部屋の壁をぶち壊してもらった気持ちになった。この曲が一番最初の曲として流れるのも酷く感動的で、それ以外ありえないよなという気持ちになった。めちゃくちゃに簡潔でシンプルな自己紹介だったと思う。

☆☆☆

その後もandymoriは走り続ける。とにかくアルバムのリリースペースが早く、出してはツアーを繰り返し、正に駆け抜けていった、というのが当時僕がうけた印象だった。
そして2011年に、3rdアルバム、革命をリリースする。


3枚目だ。3枚目のタイトルナンバーに、このどシンプルなロックンロールを持ってくるのは、本当にかっこいい。
彼らは3ピースバンドで、ギターで特にトリッキーなことをするわけじゃあないので、必然的にベースとドラムが他の編成のバンドより音色を意識した作り方になっている。andymoriの曲はどの曲を聴いても、一貫してandymoriだなってわかる良くも悪くも強烈な「らしさ」を持っているのだけど、一番それを作っているのはベースラインだなと僕はよく思う。僕がベーシストだからかもしれないけど。
どんなにベードラでメロディを、音色を意識しなきゃいけないとしても、そもそも彼らはリズム隊なのでそこをおざなりにすることは出来ない。となるとベースラインでなりがちなのが、リズムの刻みを意識しすぎて少し遊んだていどの音色しか出せないか、歌うように弾きすぎて、リズムのまとまりがいまいちになったり、一番届かせなきゃならないボーカルのメロディを潰すラインになってしまったり、というあたりなのだけど、andymoriはドラムの手数とギターのバッキングでリズムの土台をかなりの力強さで作り上げることで、ベースをリードギターの様に成立させている様に思う。ギターとドラムの間の経過音をメロディーの様につなぐベースラインが、こんなに最高のバランスで成立してるバンドを僕はあまり知らない。
僕は革命を聞いた時にそんなことを感じて、かっこいいと同時にめちゃくちゃ学ばせられたのを覚えている。

100回1000回10000回叫んだって
伝わらない 届かない思いは
100日1000日10000日経った後で
きっと誰かの 心に風を吹かせるんだ
革命/andymori

好きになったバンドが大体解散していた僕は
この歌詞にもの凄く共感したし、今更このタイミングで僕がandymoriの記事を書いている時点で、これはその通りなのだ。いつどこで誰と何が巡り会うかは奇跡でしかないけど、時間という概念さえあまり気にしなければ奇跡は至る所で起きているんだろうきっと。

☆☆☆

その疾走感と歌の危うさから、きっとそうだろうなと思ってはいたのだけど、andymoriはやっぱり駆け抜けて解散してしまった。
しかも小山田さんが怪我をして、解散ツアーを縮小して。あのニュースを聞いた時に思ったのは、早すぎるスピードと大きすぎる変化だったんだなあ、本当に生きててよかったなということと、そこまでになりながら、歌い続けてくれていてありがとうという思いだった。僕が彼を助けられることはないけど、僕は彼に間違いなく助けられてここまで生きてきた。


Sweetie 大きくなったなら何になるの
ねえいつか 大人になったら何処に行くの
きっと君は未来が好きなはずだから
うつむかないでBaby 君のために
(ハンアンコタ/AL)

今、小山田さんはALというバンドをやっている。

andymoriの初期メンバー3人に、オーガスタの長澤さんを加えた4人編成のバンドだ。

相変わらず味方でいてくれる様な優しさを持っていて。未来への希望に満ちた言葉を選んでくれていて。なんだかいつだって、もう少し走り続けようと思わせてくれるバンドでいてくれて。だから僕はもう少しだけ頑張れる。






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