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タナトスの誘惑

最近、『夜を駆ける』という楽曲を聞いた。

この曲はYOASOBIというグループが出しているもので、最近バズっているのでまだ聞いてない人は一回聞いてみてほしい。僕は音楽に関しては結構雑食で、パンク、メロコア、ヒップホップ、洋楽なんでも聞く。(特に好きなのはロックであるが)何か作業する時には耳で音を感じないと何もできないので音楽は僕にとって生活必需品だ。そんな理由でYouTubeを漁っていたところ、おすすめに出てきたのがこれ。開いて聞いてみるとアップテンポとともに耳障りのいい声で歌い出す。僕はすぐにはまった。その時期は一時間耐久動画を永遠に流していたほどだ。

この歌めちゃいい!とだけ思っていた僕だが今日このグループに関して新たに情報を得た。このYOASOBIというグループは、歌を作る時に毎回短編小説を原作に作っているらしい。その小説を読んだ、というのがこの記事だ。その小説は「タナトスの誘惑」というネットにある短編小説で、今まで聞き流していた歌詞が、連鎖的につながり思っていて印象とは違う歌が出来上がった。漫画を読んでいるときにその世界の心理が解き明かされる、そんな感じ。タナトスとは死に対する欲望、つまり死にたいって気持ちだ。タナトスに支配されてる人には死神が見えることがあるらしい。その死神はそのみてる人にとってもっとも魅力的な姿をしている。この小説で男はある自殺しようとする女(彼女)から別れのメッセージを送られるところから始まる。ビルの屋上でよく自殺しようとするその女を、男は毎回屋上まで迎えに行き、生きることの素晴らしさを説き、引き止めていた。女には死神が見えているらしく、いつも男には見えないその死神を恋をする女の子のような顔で見つめていた。日々の生活に疲れ、毎回の説得に疲れ、必死に唱え続けた生きる意味も響かない。男は疲れ切っていて「死にたい」と言った女に「僕も疲れた、死にたい」と言ってしまう。そうすると女はニッコリと笑い、それを見て男は女は一緒に行きて欲しかったのではなく、一緒死んで欲しかったのだと気づく。そしてビルの上から、二人で夜空に向かって駆け出す、という話。結果的に、男にとっての死神は女であったという切ない結末、夜を駆けるという意味にちょっとゾッとした。

衝動的にブワッと書いてしまったが、YOASOBIの小説を歌にする新しい?作曲方法や歌っているikuraさんの声が本当に最高なので聞いてほしい。これからのこのグループの曲を聞くとともに、原作も読んでいこうと思う。最近はコロナ自粛で外に出る機会が減り、運動不足なので「夜を駆ける」を聴きながら深夜に駆けてくることにする。(ただの夜ランニング)

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