昔なつかしいアイスキャンディーを食べた

 7月に入って、ちょっと毎日が、暑すぎやしませんかと思っていたのですが、梅雨が明けて、ますます暑すぎやしませんかと思いました。

 太陽はギラギラ、雲はもくもくと空高く、生ぬるい風が汗でベタつく頬や首を撫でまわします。

 この世界に存在しているだけで大変なこの時期、とりあえずアイスでも食べようと、近くのゲンキーに入り、涼みながら安いアイスがないか物色しました。

 そこで目に入ったのが「センタン昔なつかしいアイスキャンディー」です。
 ノスタルジックなデザインに、安くて(ゲンキー価格69円税別)大きい(約15センチ)そして、バナナミルク味(!?)
 これを買う以外の選択肢がありましょうか?

 ということで、
 「昔なつかしいアイスキャンディー」を購入、サクサクと音を鳴らしながら道路のアスファルトを眺めていると、なんとなく夏休み感があって、子供のころを思い出しました。

 あのころの夏の特別な空気感。
 果てしなく学校がずっと休みのように思えて、暑くてセミが鳴いていて、頭の片隅のさらに隅っこの奥の方に宿題の心配があって。でも、アイディア貯金箱を作るのだけは楽しみで。

 そんなことを考えていたら、手元にダラリとした感触が。
 アイスがどんどん溶けて、平たい棒を伝って、指をベトベトにしていました。

 大人になってからは、だいたいのアイスはすぐに食べ終わってしまうので、このベトベト感は久しぶりでした。
 足にたれないように腰を引きながら、アイスの手元側を急いで舐めました。
 溶けるスピードと、僕のベロのスピード。

 ベロの負けです。
 ベトベトです。

 しかし、これもまた、あのころの夏のようで。
 子供のころに食べた棒アイスのようで。
 ノスタルジーが僕の心で溶けて甘い匂いになりました。

 もしかして「昔なつかしいアイスキャンディー」は、味やデザインだけでなく、溶けて指がベタベタになるまでが昔なつかしいのかもしれない。

 そう思ったら、センタン恐ろしい企業だ。と、少しだけ涼しくなりました。

 そんなこと。


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