見出し画像

JADGEシステムが使われてない疑惑 - 北朝鮮ミサイル誤探知の謎を解く

自衛隊のJADGEシステムは機能しておらず、北朝鮮のミサイルから日本を守るミサイル防衛の運用から外されているのではないか。11月3日に起きたJアラートの誤報問題の原因について、当初からその疑念が拭えず、ツイッターで発信してきたが、日を追うほどにその直観と仮説の信憑性を補強するようなマスコミ報道が続き、今では半ば確信に変わっている。最初に結論を提起すれば、防衛省・自衛隊は、北朝鮮が発射したミサイルを探知・捕捉・追尾するレーダーシステムとして、自前で築いたJADGE(早期警戒管制システム)を使っていない。米軍経ヶ岬通信所のXバンドTRY-2が使われている。

今回の誤報はJアラートに起因するのではなく、そこに載せる元々の情報が間違っていたことが真の原因だ。レーダーがミサイルの捕捉と識別に失敗し、軌道計算を間違えて官邸に伝えている。米軍経ヶ岬通信所のシステムのミス(不具合)だと考えられる。バグなのか、人為的なケアレスミスなのか、性能不備なのかは不明だが、原因はそこ(米軍)にある。ここ数年、何となく、北朝鮮のミサイルについての初期情報と初動対応が以前よりルーズになり、アバウトになり、性格が政治化している状況変化を私は感じていて、技術的な精度と緊張感がなくなっている印象を強めていた。なぜだろうと不思議に思っていた。韓国軍の発表の方が常に正確で、情報の信頼性が高い。防衛省の発表は遅くて杜撰なのだ。

(1) 小原凡司の「説明」- 失速・慣性飛行する物体を中距離弾と見誤った?

今回の誤報・誤認識について、マスコミで誰がどのように説明し、言い訳していたかを整理しよう。まず、笹川平和財団の小原凡司が11月3日のNHK-NW9に出演してこう言っている。曰く、火星17型の一段目ロケットにトラブルが起きて落下したが、落下しつつ慣性飛行する物体の放物線軌道をレーダーが探知し、中距離ミサイルとして識別してJアラートに送ったのだと。この説明は、何を言っているのかよく分からない。意味不明だ。発射されたミサイルがロフテッド軌道のICBMであったなら、レーダーシステムは捕捉の瞬間にそう判別してフラグを立てるはずだ。北朝鮮のミサイルに対応するのだから、①ICBMか、②中距離ミサイルか、③短距離ミサイルか、三つの種類を属性識別するテーブルが用意されているはずである。

今回、韓国軍は正しく全容を把握し、火星17型が不具合のため日本海に落下したと早い段階から説明していた。ロフテッド軌道の急角度で天空に発射したICBMが、日本列島を超えて太平洋まで届く道理がない。政府は、初報の時点で、日本から1100キロ離れた太平洋上に落ちたと説明していた。これは、今回のミサイルが10月4日に発射されたものと同じく、中距離ミサイルだと判断されていた(誤認されていた)ことを意味する。小原凡司が言うように、トラブルによる失速と放物線軌道のイレギュラーな変化を、間違えて中距離ミサイルの弾道だと認知し識別して情報送信したのであれば、レーダーシステムのお粗末としか言いようがない。探知に失敗している。小原凡司の話は放物線軌道の物理の常識を逸脱している。

(2) 香田洋二の「説明」- "幽霊"がレーダーに映った?

二番目に登場したのは元海将の香田洋二である。11月3日の報ステでこう言った。今回のミサイルを探知・捕捉したのはイージス艦のレーダーだが、レーダーにはときどきゴースト(幽霊)が映ることがある。周波数の異常と偶然によってアクシデントが起きる。今回、三つのミサイル(長距離1発:短距離2発)とは別に、謎の四つ目の飛翔体を探知し、防衛省が「日本上空を超えて太平洋に落ちたミサイル」として発表したのは、その幽霊の仕業だったのだろうと。専門家の話だから、なるほどと頷いた視聴者も多いだろうが、私はテレビの前で苦笑した。こんな幼稚な子供だましを言うのかと。一体、防衛省はMDに何兆円注ぎ込んできたのか。ゴーストの補正もできないような粗悪なレーダーシステムを国家の防衛に使っているのか。

香田洋二の説明で、ミサイルのレーダー探知を日本海上の海自イージス艦が行ったという「事実」が出た。この点は小原凡司も同じである。それでは、防衛省のHPにある「ミサイル防衛」の説明内容を確認しよう。掲載のによれば、ミサイルを探知・識別・追尾するのは、海自のイージス艦と空自の警戒管制レーダー群(JADGE)の二つである。資料ページの中ほどにJADGEの図説があり、空自の隊員が何やら集中制御室で勤務する写真が貼られている。彼らの活動が北朝鮮のミサイルから日本を守っているとわれわれは了解している。JADGEのレーダーシステムのうち最新型のFPS-7(NEC製)は、現在全国6基地に配備され運用されていることになっている。だが、香田洋二はJADGEのレーダーの存在と稼働を言わなかった。

(3) 小谷哲男の「説明」- 地球が丸いからレーダーの捕捉が難しい?

三番目は明海大教授の小谷哲男である。軍事の専門家ではない。CIAと密接な関係があるスタンスが窺え、「アメリカの対日意向」をテレビで教説し示唆するスポークスマンとして登場する。11月3日のTBS-Nスタでの「解説」がネットに配信された記事を翌日に確認した。小谷哲男も、小原凡司と同じ不可解なことを言っていて、「2段目のロケットがそのまま正常に稼働していれば、(日本の)上空を飛び越えた可能性があった」と言っている。妄言だ。発射されたミサイルはICBMであり、ロフテッド軌道で上昇しているのに、なぜ日本の上空を飛び越える可能性があると推定できるのだろう。3月に発射された火星17の最高高度は6248キロで、飛行距離は1090キロである。日本海海上の北朝鮮EEZ内に落ちている。ロフテッド軌道は垂直に近い急角度の打ち上げだから、この高く狭い航跡になる。

アメリカ東海岸に届く射程1万5000キロのICBMを開発しているのだから、ロフテッド軌道の実験ではこの高度と飛距離の結果になる。今回失敗した最新型は、より重い多弾頭搭載を計画した大型ロケットだった可能性があり、高度も増していた可能性があるけれど、ロフテッド軌道である以上、自ずと飛距離には限界がある。日本列島を飛び越える仕様性能は考えられない。あり得ないオーバースペックだ。小谷哲男は、地球が丸いから、北朝鮮のミサイルがある程度の高さにならないと捕捉できず、レーダー精度を上げることはできないと奇妙な言い訳をしている。それを聞いて、この言い分は米軍経ヶ岬通信所の弁解だなと直観した。小谷哲男は、小原凡司や香田洋二の言い分と違って、探知したレーダーがイージス艦のものだと言っていない。

(4) サンデーモーニングの説明 - レーダー基地の正確な位置特定

軍事や兵器のスペシャリストではない小谷哲男が出張って「解説」するのは、今回のJアラート誤報騒動の原因が米軍発の誤認・誤探知情報だったからではないのか。その疑念を強くしていたところ、決定的と言える報道説明が6日のサンデーモーニングの番組内に出現した。杉浦みずきがこの問題の説明に使ったパネルの地図を見ると、何と、ミサイルを探知・捕捉したレーダー基地の位置として、米軍経ヶ岬通信所を示唆する丹後半島の地点に小旗が立っているのだ。サンモニは、ミサイルを捉えたレーダーを海自イージス艦だと認識しておらず、日本国内の地上のレーダーだとしている。パネルの図解にイージス艦の絵がない。しかも、小旗でプロットされていた場所は丹後半島ではないか。TBSは、小谷哲男の「解説」をこの誤報問題の「正解」としている。

どうやら、今回の件も含めて、現在、北朝鮮を対象にしたミサイル防衛において、探知・捕捉・追尾するレーダーシステムとしてJADGEは使われておらず、JADGEでの弾道計算は行われていない。JADGEは対北朝鮮で運用されておらず、したがって破壊措置やJアラートに繋がる(官邸の)即時判断に寄与も関与もしていない。サンモニを見て、この疑念が確信になった。また、小谷哲男とTBSが言っている「地球が丸いから」という理屈は、全くの詭弁で言い訳にならない。これは、要するに距離が遠いからという根拠づけと同じ言説だが、海自イージス艦なら、日本海の公海上の朝鮮半島に接近した位置に浮かべられるはずで、北朝鮮に近い好位置でレーダー使用できるはずである。さらに言えば、JADGEは対馬の海栗島(うにしま)にFPS-7を置いている。

(5) 排除されたJADGEシステム

この空自のレーダーサイトは、つい先日、ブラタモリの対馬特集回で紹介され、映像が全国に放送された。距離的に半島に最も近く、特に北朝鮮のミサイルに対応する主力の設備だと想定される。杉浦みずきが使ったパネル地図が分かりやすいが、海栗島は釜山の目と鼻の先にあり、したがって韓国軍が今回の北朝鮮ミサイルを捕捉したレーダーサイトとも至近の距離にある。韓国軍が正しく捕捉できているのに、対馬のJADGEが「地球が丸いから」という理由で捕捉できないということはあるまい。釈明として破綻する。推測だが、おそらく、経ヵ岬のXバンドTRY-2の電波が、角度の高い上空域を警戒監視していて、(発射直後のミサイルが捉えられる)低空域をカバーしていないのではないか。なぜなら、経ヵ岬通信所の主任務はアメリカ本土を守ることだから。

現在の対北朝鮮のミサイル防衛は、自衛隊・防衛省がネット資料で説明している標準的な(過去の)姿とは大きく変わっている。自衛隊のには、軍事偵察衛星の要素がないことが看取できる。だが、サンモニが図解したパネルには、アメリカの軍事衛星が静止軌道の上空から四六時中北朝鮮の地上を監視していて、発射した熱源を探知して情報をレーダーシステムに送るのである。すなわち発射地点が伝わり、レーダーが空中の目標物を捕捉するプロセスに連動する。サンモニの図解が示す真相では、海自イージス艦のレーダーはその捕捉の役目を持たず、韓国軍と米軍経ヶ岬通信所の2か所のレーダーが捕捉・追尾・弾道計算を担い、イージス艦のSM3と陸自のPAC3が破壊措置をする任務を受け持っている。海自イージス艦は迎撃の役割だけで、初動のレーダー機能は無視されている。空自のJADGEは何の活躍の場もない。

(6) なぜJADGEシステムは排除されたのか

つまり、北朝鮮のミサイルから日本を防衛するMDのレーダー機能は、米軍経ヵ岬通信所が独占していて、日本がそのために大金(予算・税金)をかけて開発整備した空自のJADGEは排除されている。この指摘は現段階では仮説だが、サンモニの図解報道が事実なら、仰天すべき真実の発見と暴露というほかあるまい。以上の分析については、誰も陰謀論呼ばわりはできないだろう。小谷哲男(CIA)や日本政府が、マスコミ(TBS)を使って、国民に真実を暗示しているのである。それでは、なぜJADGEは対北朝鮮ミサイル防衛から外され、運用停止状態になっているのだろう。ここから先は懐疑と憶測の深度が増し、陰謀論と謗る者も出てくるだろうが、私は、アメリカが意図的・戦略的に日本産(国産)システムを潰したのではないかと見当をつけている。

もし、NEC製のFPS-7が高性能で精度品質がよく、費用対効果に優れたMDレーダーシステムだったなら、期待できる装備として採用導入を検討する国が出て来るだろう。中東諸国やインドなど、アメリカとも中国ロシアとも距離を置きたい財力ある新興国が、NEC製のFPS-7とJADGEシステムを欲しがる展開の可能性がある。トルコ製ドローンのように。それは、アメリカにとっては面倒で邪魔な事態に違いない。米軍の装備とは非互換で相互運用性のないシステムが、中東やアジアの新興諸国の軍隊に配備される推移になってしまう。世界中の軍のハードとソフトをアメリカ製で仕様統一し、将来的に管理統制したいアメリカにとっては、それは脅威の種であり、潰そうと思うのは自然だ。日本の半導体と国産OS(TRON)は、そのような動機と目的で潰された。三菱重工の小型ジェット機も潰された。

一昨年、岡田晴恵が言った「ワクチンは国防です」の言葉が耳に残るが、おそらく、そうした事情と背景で塩野義製薬のワクチンが潰されている。代わって、ファイザーとモデルナのワクチンを国民全員が3か月に1度打つことになった。1年に1回が半年に1回となり、3か月に1回となった。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?