年末に変質者が増える理由

今日、ご飯を食べながらテレビをみていたら、ひどいニュースばっかりだった。

「本日の午後、自動販売機が連続でもやされ」

「小学校に刃物をもった不審者が」

「アパートで 女性が殴られ病院先に搬送」

「ホーキンス博士VSクラーク博士ついに映画化」

夕飯は鍋。

で、テレビはコレ。

ほんとうに、なんだか世間が慌ただしくなっている。

それにしても、なんで年末はいつも変な人ばかり出てくるんだろう。

なんでかさっぱり解らないけど、白滝をすすりながら考える。

まず考えなきゃいけないのは、この時期に何があるのかだ。

年末に近づくと、だんだん寒くなる、寒くなると人恋しくなる。

で、あとオデンとか売れる。あ、すげぇ、?って出る。なにこれ。

あとはーうーん、たぶん年末といえおもちゃが凄いうれる。で、年末にむけて世界中の子供たちがクリスマスのために何がもらえるのか考える。たぶん今の子供たちはなんか超スゲー玩具とかもらいたいんだろうな。あれ、たぶんサンタさんに手紙で「グーグルウォッチがほしいです」とかいうんだ。ゲームボーイほしいですみたいな感じで。ふざけるな。なにがゲームボーイだ。僕なんてグーグルウォッチのかわりに腕に嵌めたらカメハメハが出る謎のおもちゃがきて泣いたっていうのに。

ってことは、たぶん金持ちの子供は「マックPROをください」とか抜かすんだろアアもうやめて、誰かメガドライブを窓から放り込んであげて。

あ、そうだ、きっとサンタだ。

年末に変質者が増えるのは、きっとサンタのせいなんだ。

ていうか、サンタもそもそも煙突から不法侵入かますガチ系の人だし、たぶんそう、みんなサンタになりたい、ていうか、あれ、全部サンタになるための修行なんだ。

とおもうと、なんだかサンタってすごい厳しい世界な気がした。白髭たずさえた北欧の巨匠みたいな人に認められるために、年に一回行われる変質者選手権が開かれて、そこで優勝した人間だけがサンタになれる。で、そのために自動販売機に火をつけたりDVしたり母校に刃物をもって行くなんて、修羅の国にもほどがあるよノルウェイ。

で、その大会は夏ごろから開催されて、いまちょうど真っ盛りなんだろう。それで捕まらなかったやつだけがサンタになって、今年のクリスマスにキッズのもとに夢と希望を届けられるのだ。子供たちは知らない。まさか毎年やってくるサンタの後ろにハンター試験顔負けのレースがあることを。

だから、この冬につかまる変質者達はみなサンタになろうとした人間たちだ。なにをどう間違ったのかは知らないけど、その狭き門を潜り抜けるために道徳も倫理も捨てて挑んだ狂った連中。そう思うとなんだか泣けてくるんだけど、僕らもきっと誰もがサンタを目指してるんだから、もうどうしようもない。

特に「アーティスト」なんて奴を目指している奴らは皆こぞって彼ら変質者と変わらない道を辿る。上手くやるやつはいい。本業や学業の傍らにコツコツと続けていけるやつは、そいつを隠れ蓑にうまく進むし、たとえサンタになれなくとも良いとすら思ってるだろう。

けど、もしもサンタ以外に道が残されていないやつならどうだろう。生活保護を受けていたり、仕事を辞めたりしながら作品を作り続ける連中を何人も知っている僕は、テレビに映り警察に連行される彼らとそいつらを何時の間にか重ね合わせて見ていた。

アーティストになるのもサンタになるも、結局は上手いことやったやつが勝つのは間違いない。

そして、なんの考えもなく、保険も掛けずにとにかくサンタになろうともがく連中は一歩間違えばいつだアレに近い事になる。逮捕とはいかなくとも、いや、実質逮捕された奴もいたけれど。

けど、僕はそういうやつらが好きだ。

バカみたいに何度も挑むやつら。底辺から抜け出そうにも抜け出せないやつら。どうしようもなく周りが見えない愚かな奴ら。

で、気が付けば、僕はニュースで捕まっていた奴らを応援していた。不謹慎なのは解っているし、もちろん、あいつらが本当にサンタになろうとしていたのかは知らないけど、それでも応援したくなった。がんばれよ、負けるなよ、まだチャンスはあるし、いつだってやり直せるぞ!って。




文章を書いていると、底辺の僕がまるでインテリに被れたような感覚になるのが嫌いだ。

だから、ここではあえて難しい言葉は使わないし、もはやスラングしか打ってない。なぜか?忘れないため。僕が僕であることを忘れないため。きれいな文章じゃない、僕の文章を書くため。でもって、その文字でいつだってフルスイングで、愛もクソもごちゃまぜの僕の渾身のダブルラリアートはまた今日も虚しく空を切るけれど、そいつをぶち当てないと気がすまないのが僕だし、今だにストファイの持ちキャラはザンギエフだ。

だから、もしかしたら僕も来年の冬にニュースを騒がすかもしれない。けど、そのときは皆笑ってほしい『あいつはサンタになりたかっただけなんだ』って。

それに寂しがる必要はない、僕が府中に送られても、その中でなんとかしてテキストを作ってこうしてインターネットにぶちまけるつもりだし、そのためなら看守のナニをシャブってもかまわない。

僕は底辺だけど、サンタになることは諦めない。それがたとえ史上最悪の頭の悪さを誇るサンタだって構わないし、こいつらも、お前らも、きっといつまでもサンタになることを諦められやしない。今思いついたことや、感動したこと、何かへの気づきや愛やヘイトをネットを介して届けることを辞められやしない。で、勢いしかない僕のコイツを読んだアンタには悪いけど、僕も変質者もサンタもお前も何も変わりやしない。そうだろ?でなきゃ、ここまでこんな文章を読む訳なんかない。

そうだよ、ああ、これが僕からの贈り物。今はこんなものしか届けられないけど、そのうちにもっと大きなものを届けてあげるよ。けど、もう裕福な奴らには用はない。僕が指さしてんのは、もっともっと底の奴らだ。

だから底辺も犯罪者も、絶望している暇があったら今すぐ靴下を飾るか何かを作るか選べ。サンタは居るって信じてりゃ、サンタは来るしサンタにも成れるし、インテリバカが馬鹿にしてきてもシカとしきゃ良い。サンタは居る。間違いなく居るんだから、そこの生活保護のやつも、隣の障害年金受給者も、どいつもこいつもあいつもそいつも、サンタが居るってことだけは忘れないでほしい。でないと、僕がサンタになったときに、お前の部屋に靴下が無かったら悲しいからさ。

ps:今年はまだまだ捕まらないさ



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