フロントライン
座席の無いトラックで
陰気な顔をした連中と
一緒に揺られてる
目の前のやつは、瞬きを忘れてる
たぶん、僕も忘れてる
音が近づいてる
道が荒くなる
使い捨てられて死ぬか
抜けて生き延びるか
怖くなって叫んだやつは
殴られて床に倒れる
望んで乗ったんだ
そりゃそうなる
そいつを知ってるから
だまって弾を込める
埃まみれの7.62mm
ニッケルの端には
固まったイチゴジャム
こんな弾が山ほど残ってる
砲弾が風を切る音がして
隣の車列の奴らが吹き飛ぶ
スピードが上がる
先に行った奴らの死体で
泥濘を乗り越えるトラック
弾の込めたライフルを抱えて呪う
本当に怖いのは
ここでトラックを降りて
砲弾に吹き飛ばされることだ
銃声が聞こえはじめ
トラックがさらに加速し
怯えていたはずの
目の前の奴が立ち上がり
突然僕に向かって吠え始めた
すると、隣のやつが自分の頬を張り始めて
右端の奴は唸りながら泣き喚き
上官はヘルメットを叩き続けて顔を赤くする
老人は唾を飛ばして喚き散らし
女は髪を毟って血を流し
少年は口汚く神を罵り
天井に空いた穴から
空に中指を立てる
前線まで
あと少し
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