事実とその意味

おバカタレントとしてテレビに出てた方が、農作物の盗難を「外国人によるもの」と断定して注意を呼びかけたツイートが波紋を呼び、怒られていた。もう結構前の話だけど。

彼は自分が怒っているのに、予想外の角度から注意されてびっくりしたことだろう。

毎回このnoteに同じことを書いてしまっているけど、こういう炎上?みたいな話はやりとりの論点がぐずぐずでそこがすごく気になってしまう。

まず、いわゆる「外国人による農作物、家畜の盗難」というのがあるのは、おそらく事実だと思う。そして実際、件の芸能人の被害もその一つかもしれない。

だから当人は自分にとっての事実を述べただけ、自分にとっての怒りとか、泣き寝入りさせられるやるせなさを吐露したに過ぎず、そこに差別的な意識はなかっただろう。ただ、その際、「リテラシー」とか関係のない素朴な感性として「ちきしょ〜日本人ならこんなことしね〜だろ」みたいな気持ちが無意識下でもあったかもしれない。差別というのが、無意識の中にこそ潜みこむものだという感覚は、そのことに関心がある人しか気が付かないというのが難しいところですよね。

しかしこれに対して、リベラルな精神に由来する義憤で、「外国人への差別を助長するな!」というのは、個人的には共感するけど、いかがなものかと思う。本人は別に何か思想があって嘘を書き立てているわけではないわけだ。「おバカ」でやってきた人なんだから。

ここで問題にされるべきなのは、何故そんなめっちゃシンプルな盗人の活動をしなければならない人が未だにいるのか、それが何故「外国人」に多いのか、ということだろう。

人が怒るべきなのは、「自分と対立する人」というよりは、「出来事とか、その背景」に対してだ。

テレビで「おバカ」として消費されてきたような人と全く同じ土俵に上がって正しさで殴りかかろうとする人は、一度ゆっくり休んだ方が良い。

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