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-絵の添削をしてもらった話- 1016-1024

 添削を受けたときの話をします。
 今回は自分のための覚書きという面が強いです。

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図1:添削の一部(P.07〜P.08)

 添削サービス sessa で以前 キいち(https://sessa.me/@ki_ichi5123)さん に添削していただいたのですが、その時のことを書きます。(掲載許可を頂いております)

経緯

 この時の課題として『自分の足りない技術については何となく理解していて、勉強する方法も何となくわかっているものの、画力というだけでなく自分の絵が持つ魅力のようなものを伸ばしたい、が、赤を入れてほしいわけではない 』と思っていたところ、プロフィールに「赤ペン添削はあまり行いません。」とあるのを拝見し、依頼しました。

 これ以前にも違う方に依頼をしたのですが、その時は技術的な面での足りない部分に重きを置いていました。結果として短所や考えなければいけないことが見えてきましたが、今度は「自分の絵て……何をもってどんなところが自分の絵なんだ……?」となってしまったため、”短所を無くす”と”長所を伸ばす”という2方向からの目線が欲しかったのです。


お願いしたこと

①自分の作品は 他の人からどう見えるのか
自分の絵の長所/どこが魅力・伸びしろになりうるのか

②二次創作なのに”キャラクターらしさ”が足りない
キャラの動かし方・表情の付け方・魅せ方についての工夫

③”そこにあるべき景色”の工夫
そこにあるべき物や背景が描けない

 内容としては上記の3つをお願いしました。
 ここで添削依頼について多少補足すると、今回は1か月ほど納品までに時間があり、その間で簡単に解決しなさそうなことを選びました。


添削かえってきた!

 まず驚いたのが、見開き6ページというボリュームと大変綺麗でみやすい画像が届いたことでした。ありがとうございます。

 以下では添削の主な内容といろいろ考えたことを混同して書いているので、必ずしもこれが添削をしてくださった方の意図ではありません。ご了承ください。

添削返却内容の主なポイント
1.はじめに/魅力について
2.環境について
3.画面構成
4.絵における”文法”
5.『らしさ』について
6.”そこにあるべき景色”について

1.はじめに/魅力について

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図 2:添削結果 P.01

 すごく真摯に文章を読み取ってくださってる様子が感じられたのでかなり泣きそうになりました。
 私自身割と物事を考えるときに文章がベースとなっているので、この”はじめに”という文章の前書きがある時点でわりともう当たりだったなと感じていました。

 魅力については、思い切った構図 ストーリーのある陰影 感情のある瞳 とのことで、構図・白黒で見たときの見栄え・目の強さと……わりといつも気にしてるところを挙げられたため、なんとなく恥ずかしくなってしまいました。なるほど今思えばこれが絵を描くときのスキポイントなのかと……思いますね。

2.環境について
 これは完全にわたしの怠慢から来たことなのですが、”細部が雑”ということでした。(添削では『作画環境がiPadやスマホなどで拡大をあまりしないのでは?』と、推察されていましたがオブラートに包まないとこの言い方になります。)
 当時だいぶやさぐれていたので「どうせ誰も拡大してまで見ないでしょ……」と思っていたこと、また拡大せず常にキャンパスが小さい状態で作業していたことが原因として挙げられます。もう少し丁寧な仕事をしようと思いました。(これによって絵が硬くなるのが最近の悩みでもありますが、この辺の折り合いをもう少し探りたいですね……!)

3.画面構成
 今回の添削で一番参考になった部分でした。(図1が主な内容です。)
 主にこの絵についての話です。

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図 3:提出した絵のうちの1枚(ろしゃ……のフーシー)

 この絵が
  A:おはなしが終わった後 (執着からの解放)
  B:映画序盤 (たんに風景/閉塞感のある様子)
   という2つの解釈ができる、ということです。
(添削ではもっと素敵な表現だったけれども、わかりやすくするために切ってしまいました。詳しくは図1。)

・Aであれば、どちらかというとマイナスイメージである黒枠の必要はなく、白枠にして空間的な広がりを持たせるとよいかも。
・Bであれば、序盤の閉鎖的な生き方を感じさせるので黒枠はありえる。
とのことで、

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図 4:添削結果を参考に調整したもの

 添削結果を基に色味とコントラストの調整、また手前の光の方向変換のみ行ったものが図 4です。これだけでもかなり印象が異なります。

 自分で描いた時には特にどちらとも考えておらず、環境的な設定(木がグネッてなっていたら面白いなぁ)から決め、このキャラクターの明るい森の中でも精神的には暗いところにいるというのだけ決めて描いたので特にどの(時間的な)タイミングの彼とは考えずに描いていました。
 二面性のあるキャラクターが好きなので、今までは表を描くか裏を描くかのような思考でしかなかったのですが、「このときのこの子はこういう風に考えていただろうからこういう動きをするんだろうなぁ……」というところまで今後掘り下げられればいいなぁと思いました。
 また、絵として平面的だなぁ……と感じてしまうことが多いのですが、もう少し手前に草を生やしたり奥行きを作ったりをすることでもう少し改善されるといったことをアドバイスいただきました。ほんと……描いてる時は思い出せないので机の前に貼っておきます。

4.絵における”文法”
 図2についてはもう1つ、AかBかわからなくさせる要素があり、それが左右論です。画面の中での時間の流れ方が日本的なものと海外のそれとでは逆という話(受胎告知(絵画)と漫画の流れが逆のように)を頂き、もしやと思って自分の絵を確認してみたのですがこれがまぁ……笑ってしまうくらい自分の意図とは全て逆でして、日本的な左右感ではなく海外的な左右感になっていたので驚きました。

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図 5:左右論についての解説図(添削結果P.8より)

 絵における"文法"というのがその人が見た人に伝えるための装置の一部なのかなぁと。単に自身の感覚ではなく、捉える人によって印象が違うというクソ当たり前のことが頭からすっぽ抜けていることを目の当たりにした感じです。
 憶測にすぎませんが、おそらく添削者の意図としてあえて”画法”と言わず”文法”としていることから表現方法としての左右論だけではなく、自身の感性のアウトプットを手軽にできる構造としての面を紹介してもらったのかなと思いました。

5.『らしさ』について
 キャラクターらしさが出ない、というのはわりと悩んでいたことで、ある程度の記号化された二次元の既存のキャラクターをどうやって再現しているのか、そして動いているキャラクターをどう切り取ればよいのか、という迷いが大きかったのですが 4.で記述したような”文法”を複数持つことで多少のらしさが出てくるのだろうなぁと。
 最近、線画を描く機会が昨年より多く、線ひとつとっても心地いい/好きだと思えるかどうかみたいなそういった感覚的なこだわりもひとつの文法になりうるのかな、などと考えています。

6.”そこにあるべき景色”について
 もうこれは、人工物(ごまかせないもの)が描けない、とのご指摘で、私自身も「そりゃそうよな……」と……また、良く調べて(できれば触って)描いてほしい、とのことで画像を調べるのみではなく自分の経験にしてから描かないとなぁと内省しました。
 とてもありがたいことに、何を勉強すればいいかを明確にしてくださったので(パース)、その後はウンウン言いながら描いたのが以下の絵でした。

ちかてつ
図 6:添削後パースと戦った図 pkm0n/BWより

 お分かりの通り、じつはこの絵全くの左右対称ではなく、1点透視の練習として電車のような背景を(随分と硬そうな座席ですがおそらく海外産の電車のように座席がプラなんだ……と自身に言い聞かせて)描いたのですが、それなりにかっこいい画面になったのでよしとしています(パースが完璧にできているかと言われればかなり怪しいですが……)。とりあえず当分はパースとの戦いになりそうですね。


感想

 うけてよかった。
 ただこの一言ですし、気づきが多かったのでこの記事を書いています。できないことが増えてしょんぼりするよりもできることを伸ばす方向のほうがやはり心地はいいですね。良いか悪いかはおいておいて。
 キいち さん は非常に気がまわる方で言葉を誤解のないように選んでくださっている様子が感じられたため、こちらとしても大変わかりやすかったしありがたかったです。


受ける側として

 添削について、いくつか気をつけなきゃなぁと思った受ける側としての心持ちについて以下に書きたいと思います。

・自分とあっているか
 文章のほうがわかりやすい、動画のほうがわかりやすい、図解されるとわかりやすいなど、自分が考えるときにどんなふうな傾向があるのか。それがわかる人は添削者の出力方法を参考にして添削に出すと理解しやすいうえ、添削結果からその人の考え方がスッとなじみやすくていいのかもしれないです。
 また、添削をする方の中には極端に添削者自身の絵に寄せていく方向に解説するひとも少なくないと思います。デザイン的な絵であればそれもきっとありなのでしょうが、私のような趣味の絵を描く人間にとっては矯正に近いような気がします。これは次の項目でも書きましたが、自分の絵や自身の性質をよく考えてからがいいのかなと思います。

・目標をできるだけ細かく持っていた方が良い
 どういった絵を描きたいかはもちろん、自分のスタンスを伝えていたのが良かったなと(自分の長所が知りたい、あまり赤は入れて欲しくない)。憧れの絵はどういったものか挙げやすいけれど、自分がそうなりたいかは別かもしれないのでもう少しそこを考えたうえで目標設定を細かくした方が添削をする側にとってもわかりやすいのかもしれません。

・結果に焦って、無理をしない
 これが一番大事かもしれない。
 できないことを一度にやろうとするとパンクしてしまうことが多いので少しずつ階段をつくっていかないとなぁと。これで私はわりと困りました。集中ができないしコンセプトや好きなところも見えなくなってしまうので気を付けた方がいいなと思います。

 おそらく添削をされる側の方々のうち、できることが多い人は的を絞った回答というより、できていないことを列挙する人が多いと思います。全員がそうというわけではないですし、そもそも依頼者(添削を受ける側)が「できないところを教えてください!」と言ったら列挙するしかないのも理解できますしね……
 ですから、受ける側としては帰ってきた添削の、できないことのうち"ちょっと頑張ればできるかも!"ということと、"中・長期的な修練がいる技能"を細かく分けて理解しようとすると今後の目標設定が簡単にできる気がしますという話。


おわりに

 添削が好きなのはまわりに絵を描く人がいないのでお金を払って他者の目線を買えるのはかなり貴重だなと思っているからです。過大な遠慮や贔屓のない目線は個人的にはとてもありがたいです。
 今回のまとめは正直ライターごっこのような節がありまして大変に恥ずかしい気持ちもあるのですが、自分の頭の整理と記録として、もしくはどこかの誰かの役に立てられればいいなぁという気持ちで書きました。

 普段からグチグチと、絵ってわからないなぁ……と言っておりますし、私は絵を描くことが目的なのか、絵を描く以外の目的で絵を描いているのかすらよくわからず描いているので自分のこともよくわからなくなります。でもどうか私の様子に関わらず、私の絵だけは私にとって面白くて美しいものであればいいなと常に思っています。絵を描きたいですね。

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