よんのばいすう12-2 2021.2.12

老いては法に従え

これを書いているのは既に2月13日の午後です。「よんのばいすう」を書き出してみたものの、最近は反応がすこぶる悪くて,誰にも読まれていないものをせっせと書いている自分ってとモチベ低下中(笑)。こんなことなら「ヨンゴトナキオク」だけにしとけばよかった~と弱気になっているワタシです。しかし、そりゃそうでしょう。私自身、よそのnoteにあまりお邪魔していません💦 皆さんがどんなことを書いているかなんて傾向と対策も打ってないし。と言いつつも、これからも自分らしく書くほかありませんけども。

さてわざわざ、2月13日と書いたのは、1年前の2月13日に、新型コロナウイルス感染者で神奈川の80代の女性が亡くなり、これが国内での初めて死亡例となったからです。いわばその方の一周忌ということですね。ご遺族にとってはその時の悲しみを思い出す辛い1日であることと思います。あらためてご冥福をお祈りするばかりです。あれから1年が過ぎましたが、自分の中ではどこか時間が停まっていると感じるのは、オリンピックどうする?ワクチンどうなる?政府の対応はどうなんだ?と、世間が相変わらず同じことで堂々巡りしているからなのでしょう。

とりわけこの10日ほどは、森喜朗問題で日本はもちろん世界が揺れました。「女性は話が長い」という話をご自身が40分もしゃべった中でなさったという、冗談のようなことが発端でした。あらゆる差別との闘いと多様性を謳ったオリンピック憲章の精神と反するという当たり前のことが開催都市の実行委員会のトップがわかっていなかった。ご本人は「私には女性を差別する意図はなかった」と前言撤回したものの、逆ギレにも見えた会見がさらに炎上。一度は火消しに走ったIOCの立場が危うくなると、あっさり手のひら返し。建国記念の日、森さんは辞任するということをマスコミにリークさせ、翌日は15分もかけて未練たらたらで発表。その数日前、森さんから泣きながら先輩の川淵三郎氏へ後任を打診され、意気に感じた84歳の川淵氏が二つ返事どころか、はしゃいでしまってあたかも決定事項のようにマスコミの前で言いたい放題。「森さんを相談役に」とまで言ってしまった。しかし、すべては順序も秩序も無視したおじいさんたちの単なる友情物語。1日にして白紙撤回。新しいトップ選びも、「透明性」を強調しながらその実、非公開で決まるとのこと。これをスッタモンダと言わずしてなんと言いましょう。さすがに、怒りというより、驚くしかありませんでした。

国の方では81歳の二階氏がこれまた不遜かつお門違いなコメントを繰り返して火に油を注ぐ結果になりました。マスクもろくに正しく付けられないこの方の言葉を借りれば、森さんは「卑しくも内閣総理大臣になった方」。奇しくも20年前の2月10日、ハワイ州オアフ沖において愛媛県立宇和島水産高等学校の実習で教員や生徒たちが乗っていたえひめ丸がアメリカの原水力潜水艦に衝突され、9人の尊い命が奪われるという重大事故が起きました。当時の総理が、卑しくも森さんだったというのは、何かの偶然でしょうか。あの時、ゴルフを楽しんでいた森さんは「後ろの人たちに悪いから」とゴルフを続行し、その後の対応も後手に回りました。結果、森総理は辞職。以来、政界の表舞台からは消えたはずの方でした。しかしどっこい、スポーツ界での権力構造の中でしぶとく生きておられた。当時から舌禍の宝庫。「口は災いのもと」を地でいっていた方です。しかも、高齢で病気もされている森さんをオリンピックの責任者に担ぎ上げ、ここまで持ち上げてきました。「東京オリンピックの開催をこの目でみなければ死んでも死にきれない」と走り続けてきたのでしょうから、そのモチベーションたるや恐ろしいほど高いものがありました。オリンピックという船が、実は既に沈みかけ、船内にどんどん入ってくる水をこの方は必死にかき出しかき出ししてきたのです。ご苦労さまというほかありません。後任を辞退され川淵氏が「いや、スッキリした。好きなゴルフもできるしね」と語ったのは、もしかしたらわざわざ自分を矢面に担ぎ出した森さんへの精いっぱいの皮肉だったのかもしれません。川淵邸に押し掛けた若い記者たちにはおそらく通じないブラックジョークでしょう。しかし、この川淵氏こそ、舌禍の帝王という側面を持っているのですから、政府や周囲が川淵おろしに躍起になったのも、わからないでもありません。くわばらくわばら。

結局のところ、日本は独り相撲の果てに世界中にかつてない醜態をさらしています。それもこれもオリンピックのせい。何が「お・も・て・な・し」ですか、何がアンダーコントロールですか? そう言った張本人は病気を理由に首相の座からトンずらしました。この1年、日本の劣化が激しいことは薄々わかっていましたが、実はオリンピックを日本に招致した時から、日本は機能不全に陥っていました。エンブレムやり直し問題、国立競技場のデザイン決定のゴタゴタ。そしてコロナパンデミック。既にコロナ禍が始まっていた去年3月20日にはギリシャから運ばれた聖火が宮城県で二度も強風で消えたというアクシデントもありました。なんというゲンの悪いことでしょう。それを裏付けるように麻生さんは東京オリンピックはそもその「呪われたオリンピックだ」と言っていたのです。その証拠に、招致に尽力した人たちがことごとく退任辞任を余儀なくされています。そして本当は一番危なかった森さんが辞任され、「そして誰もいなくなった」状態で、呪いはまさに極まれりです。

ほとんどの国民は、次のトップが誰に決まるのかよりもコロナ禍でズタボロになった日本をどう立て直せばいいのかということに思考が向かっています。齢80を過ぎた軒並みポンコツなおじいさんたちを見て、「ダメだこりゃ、この人たちに任せておくわけにはいかない」といよいよ覚醒させられています。世界中で、この期に及んでもオリンピックを開催したいと考えているのは、日本政府とバッハ会長ぐらいではないでしょうか。気の毒なのはアスリートとその関係者。その一点だけは心が痛いです。

発端は女性差別発言でしたけど、もはや女性がどうという問題ではありません。これはもう起こるべくして起きたことではないかと思います。震災復興の証からコロナに打ち勝った証へと、しれっとスローガンを変えたこと。しかし、どちらも絵にかいた餅でした。政府が真実に目を背け続けているのですから。そして、震災で命を失った方々とコロナ禍の犠牲になった方々、そしてえひめ丸事故で人生を断ち切られた方々の魂が全力で何かを阻止していると私は感じます。そして、どの国よりもルールにのっとり社会の秩序を守ってきた日本を地におとしめた今の為政者がこぞって80代になっていることの弊害。その現実をまざまざと世間に知らしめたことが、森さんの最大の功績だったのかもしれません。自分が何を言っているのかもわからず、マスクもちゃんと付けられない、正しい日本語を使えなくなったような方々は、第一線にいてはいけない方々なのです。還暦過ぎた私でもはっきり言って今の時代についていけてる自信はありませんもん。森さんは孫娘さんが体調を崩すほどショックを受けておられることが一番つらかったようですし、ここが潮時だったのです。「老いては子に従え」と言いますが、少なくとも政治家の皆さんは「老いては法に従え」ともうしましょうか。もちろん、老いてなくても法には従わないといけないんですけどね。


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