目の手術体験記

 昨年の9月から12月にかけて網膜剥離で両目を手術しました。その経験をずっと書こうと思っていたのですが、だいぶ遅れてしまいました。治していただいたお医者さん、本当にありがとうございました。それで手術される方や全く縁のない方にもこれを読んで手術がどんなものかイメージすることの助けにでもなれば幸いです。私はこれがはじめての手術で、それをいきなり2連チャンしてきました。素人ではありますが、2回も経験したので、術式とかどういう手順かそれなりには書けると思います。 

 網膜剝離をざっくり説明すると眼球の内側を覆う網膜という膜が剥がれる症状です。放っておくと失明する可能性もあるので心当たりのある場合は受診をお勧めします。 

 時系列としては9月から右目の手術をして、11月頃から左目の手術といった流れです。初期症状として8月頃から右目に消えない飛蚊症が出ました(透明な細菌が見えるあれ)。それ以外は痛みもなにもなかったのですが、起きてから寝るまでずーっと飛蚊症が出ていて、「これはおかしい」と思い、近くのクリニックに行きました。クリニックでも「これは…」となったらしく県内の大きな病院を紹介されました。ちなみに眼科の目の精密検査は目に麻酔のような目薬を打って、眼球にレンズを直につけて検査します。痛くはないです。 

 私も検索サイトで「飛蚊症 病気」とかで調べていて、それでなんとなくこれは網膜剥離ではないかと思って覚悟はしていました。ただ、網膜剥離もレーザー手術といって日帰りで済むものもあって大したことではないだろうと舐めてかかっていた部分もありました。 

 後日、例の大きな病院へ行きました。はじめに若めのお医者さんに診てもらって「どうも変だ」となったらしく、少し待って部長級のお医者さんに再度診てもらいました。で、受診の初回でいきなり「手術になります」と割とあっさり告げられました。「レーザーですか?」と聞くと、「本格的な奴です」との返事が返ってきて、気が動転して頭が真っ白になり、言葉がなにも出てこなくなりました。そこから一ヶ月と待たずに手術が決まりました。ただ初期症状というのもあり2泊3日でした(旅行みたい)。 

 手術の内容もざっくり説明すると、術式は強膜バックリング手術と言います。どんな内容かというとまず目の表皮を切って開きます。するとむき出しの網膜が出てきます。ここで破けた網膜を縫って接合しドライアイスで固めて、当てモノとして球体のシリコンを当てたり、シリコン製のリングを眼球にはめたりして固定します。そして表皮を戻せば手術完了です。手術時間は2時間半くらい。で、詳しく言うと眼球がシリコンに押されてくぼみます。くぼみますが眼球とシリコン込みで丸くなるので術前とそんなに変わりません。しいて言うなら、今もまぶたの上から目を触るとほんの少し出っ張ったシリコンがゴロゴロしてるのが分かります。私はこれを聞いたとき、これを機に目が少しでも大きくならないかなと思ったりしましたが、目自体は大きくも小さくもなりませんでした。残念。 

 これだけ聞くとめちゃくちゃ恐いのですが、しかし全身麻酔だったので寝ていたら終わります。このときは全く覚えていません。手術当日に手術室に入って点滴の袋を麻酔のものに差し替えると麻酔が全身にまわって頭がフワーっと気持ちよくなって(ヤニクラに近い、非常に危険)体が急に重く感じます。気を抜くと寝るくらいの睡魔が襲ってきて、少し抗っていましたが、すぐに寝ました。手術が昼に始まって、気づくと夜になっていました。ただ、全身麻酔なこともあって目が覚めても体が重くて動く気になりませんでした。手術後はどうも眠れなかったのでサブスクにあったヴェノムを片目で見ました。目は術日と次の日くらいまでは痛いですが、目こそ充血して赤いものの痛みはほとんどなくなります(初期症状なので場合による)。ただ、飛蚊症は薄くなったり、慣れたりはしてきたもののまだ消えません。 

 それから退院してその1週間後に左目にも網膜剥離が見つかり速攻で2回目の手術になりました。ただ、2回目の手術は親が心配して実家に帰ってこいと言われたこともあってまた違う大きな病院での手術でした。結論だけ言うと違う病院は、また1から受診等やらねばならないので同じ病院をお勧めします。 

 それで左目も右目同様に網膜剥離の初期症状で、術式は同じなのですがこっちは局所麻酔で、つまり意識がある状態での手術となり、ちょっと手術に慣れてきた私も縮み上がりました。では早速2回目の手術です。 

 なんせ意識があって目がはっきり見えているので、目の前でメス的なものが飛び交うのがはっきり見えます。何やら切ったりしているのですが痛み止めと麻酔とでチクチク痛むくらい(注射未満くらい)。手術室はジブリの名曲がオルゴール調で鳴っていてとこが夢見心地で、術前の恐さが正直ピークでした。しかし、術中に手術していた左目の視界が突然真っ白になり、執刀医も真っ白な中にうっすらと影のように見える状態になり、しばらくして左目が全く見えなくなりました。右目をつぶってもうんともすんとも言わず、左目が気絶したのかなと思っているのですが、そのうち真っ白な視界に戻り、いつも通りの視界に戻って手術は終了。手術時間は1時間ちょっと。局所麻酔のいいところは全身麻酔のようにダルさがないので術後もピンピン動けるところです。恐かったけど両方やって局所麻酔のほうがよかったと思ってます。ただ、この病院は同じ症状でも入院期間は長くて、入院前2日+手術日+術後1週間ほど安静とで10日ほどの入院期間でした(大学病院は入院期間長め?)。それで、ベッドの上ですることもなく10日間を過ごしました。 

 これが私の手術体験記です。病気になってよかったなんて思いませんが、健康に気を遣ってランニングをはじめたり、この経験がここに書けたり、悪いこともなにかいい兆候であったりすると思うのです。色々書きましたがみなさんが健康でいられることを願ってこれで終わります。 

追記.終わると言いましたが、入院中のこととかまだいろいろ書きたいので、ちょこちょこ書くかもしれません。 

#創作大賞2022

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