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風が吹けば桶屋が儲かる

〈遠い昔、まだお風呂がなかったころ…〉 

 風が吹いた。日本に移り住んだ人類は北風のあまりの寒さに頭を悩ませていた。そのなかの一部がトチ狂い、ヤケクソで入った池がなぜか温かいことに気づく。これが温泉のはじまりであった。そして、空前のお風呂ブームへ。 

 しかし、いきなり入ると熱くて体がビックリするという多くの苦情が全国から寄せられた。人々は入浴前にちょっと体にかけて、体を慣らせるようなものを渇望していた。手ですくうのでは物足りない。その要望に応えて、ナニワの発明王「オケ太郎」が三日三晩寝ずにこの問題の解決に当たった。そして、お湯がいっぱいかけれる容器を開発。彼の名前からとって、これを「桶」と名付けた。 

 オケ太郎は「これでお湯がいっぱいかけれる」をキャッチコピーに、これを大宣伝。人々はマイ桶を求めて、桶屋に殺到した。桶屋が儲かる。 

 民明書房刊『桶屋の歴史』より 

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