11. 大洞窟でキャンプファイヤー
ヒジュラ暦1437.8.02(2016.5.9)
前回は、エアコンから水があふれ出し、とりあえず、仮バケツで受け止めるも、水の落ちる音が気になって眠れないというところまで書いた。今回はその続き。
耳栓でもして寝たらいいかなと思ったけど、耳栓を持ってないし、ティッシュを耳につめてみるも、今度は耳がごわごわして気になって眠れない。
時間だけが過ぎていく、眠れない、どうしよう。イライラ、イライラ…
この追いつめられた状況で、とうとう降ってきた。
水じゃないです。
起死回生の一手が。
“雑音を消そうとするから難しいんだ!むしろ、雑音を活かすんだ!”
大半の人が“はぁ?”と思っているかもしれない。
どういうことかというと、この水が落ちる音をなくそうとするのは無理がある。そうではなく、この音を活かして眠ればいいんだと思ったわけです。
部屋の中で水がポタポタ落ちるのは不自然だ。でも、もしここが鍾乳洞だったら。ここが山口の秋芳洞だったら、沖縄の玉泉洞だったら←この2つの鍾乳洞しか知らない。水がポタポタ落ちても不自然じゃない。むしろ自然だ。
こんなこともあろうかと、私のiPadにはRelax Melodiesという環境音アプリが入れてある。我ながら用意周到だと思う。願わくば、仕事でこういう用意周到さを発揮してほしい。(干し網に続き、2回目)
確かこの中に「大洞窟」という音があったはず。早速、「大洞窟」を押してみる。
目を閉じる。
“わ~大洞窟やぁ~。砂漠のど真ん中リヤドに豊かな水をたたえる大洞窟やぁ~。”
こうなると、さっきまで、雑音でしかなかったバケツの水の音も、大洞窟の音になじんでしまう。見えます、つららのような鍾乳石から落ちる水滴。つまり、こう考えればいい。今日はキャンプで大洞窟に来た。そして、大洞窟の中で一泊するんだ。
そう考えると、今までのイライラが消えて、なんなら、わくわくに変わり始めた。
これでベッドに入ってみる。大洞窟でベッド→ベッドのような寝心地の寝袋。どんだけ高級な寝袋なんだよと。ここまで来ると、私のポジティブ・シンキングは誰にも止められない。なんて、貴重な体験なんだ。“これで、寝るよ、寝るよ”と自分に言い聞かせる。
それから5分くらい経ってからだろうか。尿意を催して、トイレに行った。気のせいだろうか、どうもこの大洞窟の音、ずっと聞いてると寒くなるような、そしてトイレに行きたくなるような…
もうちょっと、いい音はないだろうか。しかも、やっぱり、仮バケツのビニールのピシャピシって音がびみょ~に気になる。そう、もう少し暖かみのある音。
暖かみ→火は暖かい→今、オレ、キャンプ→キャンプと火→キャンプファイヤー。
幸い、Relax Melodiesの中には「キャンプファイヤー」という音があった。早速、押してみる。
大洞窟にキャンプファイヤーを加える。
これはいい。やはり、火の音はいい。暖かみがある。そして、水がバケツに落ちる音と火の中で薪がはじける音が似ている。
大洞窟の中で暖をとるために、キャンプファイヤー。ストーリーができた。あらためて、ベッドのような寝袋に。これでようやく眠れる。
こうして、エアコンの水漏れを何とかやり過ごすことができた。大洞窟で一晩明かした後の目覚めがパッとしなかったのは言うまでもない。ちなみに私はキャンプをしたことはない。
いつもより、ちょっとよい茶葉や甘味をいただくのに使わせていただきます。よいインプットのおかげで、よいアウトプットができるはずです!