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46.ケンジさんと呼ばれたら

ヒジュラ暦1440.3.29 (2018.12.07)

こういう仕事をしていると、いろんな人の名前を呼ばなければならない。日本では「キラキラネーム」なるものが出てきて、仕事で名前を呼ぶことが多い人は、読むのに苦労しているという話を聞いたことがある。

こちらでは、名前のバリエーションはそれほど多くないように感じる。むしろ、少ないと感じるぐらいだ。で、少ないとどうなるかというと、クラス内で名前が「かぶる」問題が出てくる。鈴木さん、佐藤さん、田中さんといった名字の人なら、おそらく人生の中で、クラスの中に同じ名字の人がいた経験があるだろう。

こちらの、名前の構成は日本のものとは違う。日本だと
名字-名前の順で呼ばれることが多く、学校だと名字で呼ばれることが多いだろう。
こちらの名前は
本人の名前-父の名前-祖父の名前-(部族の名前)
という構成になっている。

いわゆる、名字に当たるものがないようで、部族の名前がそれに近い感じもするのだが、みんながみんな部族名を名乗るわけではなく、大きな部族出身が名のる傾向があるようだ。

で、私の感覚的にサウジ人で多い名前は
・ムハンマド
・アブダッラー
・アブドラハマン
・アブドルアズィーズ
・ミシャーリ

正確な統計データではないのだけど、町でこの名前を叫べば、必ず誰かは振り返ると思う(笑)そんな感じなので、クラス内でも同じ名前の学生は多い。当然、そうなると、どのムハンマドさんかわからなくなるので、2番目のお父様の名前まで呼ぶのだけど、お気づきだろうか。名前が長いことに(笑)

今、私の担当しているあるクラスに「ムハンマド」さんが4名いる。17名中にだ。仮に
彼らの名前を上記の名前と組み合わせて
・ムハンマド・アブダッラー
・ムハンマド・アブドラハマン
・ムハンマド・アブドルアズィーズ
・ムハンマド・ミシャーリ


としよう。もうね、ポンポン呼べないよ(笑)長すぎるのだ。「熊谷次郎直実」さんみたいな人がたくさんいたら、困ることを想像してほしい。授業をしてるとポンポン指名したい時があるのだ。

また、ペアで会話させるときに、お互いムハンマドさんのペアになっちゃって、聞いてて、どっちがどっちだかわからなくなることもある。

こんな時、日本人の場合だと、名字を呼ばずに、名前を読んでしまうという手がある。私もそんな感覚で、もう、ムハンマドさんたちの「ムハンマド」を省略してお父様の名で呼んでしまう。だけど、そこでも、かぶり問題が発生するときもあるので、おじい様の名で呼ぶ学生も出てくる。学生は慣れているのか、それほど気にしていないようだけど、自分の身に当てはめて考えてみると

「ケンジさん」と呼ばれたり、「ヨシオさん」と呼ばれているんだなと思うとしっくりはこないだろうなと思う(笑)

先日は、こんなことがあった。仮名にするが、これもよくある「ナイーフ」さんという学生が、午前の授業の後、私にメッセージを送ってきて

「先生、こんにちは。ナイーフです。今日は授業に行くことができません。(以下、言い訳略)」

私は、もう授業終わってるんだから過去形だろ、とか思いながら、その日は課題があったので、「課題があるので、明日、私のオフィスに来てください」と返事をした。

翌日、私のオフィスの前にナイーフさんがいたのだが、それは別の学年のナイーフさんで、彼は午後の自分の授業の前に私に欠席することを伝えていたのだった。私はそれを別の学年のナイーフさんと勘違いしていたのだった。同じ学年にナイーフさんが二人いないので、呼び方は、どちらもナイーフさんなのだ。また、どちらもやや休みがちの学生でキャラが似ていたので、私は勝手に午後のナイーフさんを午前のナイーフさんと勘違いしていたのだ。

結果、午後のナイーフさんは、どんな課題があるのかとおびえながら私のオフィスに来ていた。申し訳ないことをしたなと思う反面、しっかり名のってくれナイーフたち!とも思った(笑)


*調べてみると3年ぐらい前の調査で、サウジ人の新生児で登録の多かった名前は、男の子でMohammed(ムハンマド), Abdullah(アブダッラー), Abdulaziz(アブドルアズィーズ), Ali(アリ), Fahad(ファハド), Abdulrahman(アブドラハマン), Khalid(カーリド), Salman(サルマン)とのことだ。

Photo by Sophia Baboolal on Unsplash

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