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職業はITアーキテクト。あるいはプログラマ。 著書『アーキテクトの教科書 価値を生むソフトウェアのアーキテクチャ構築』(翔泳社、2024年7月22発売)

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    ITアーキテクトとして日々鍛錬を積むことを目的に、隔週くらいの頻度で以下のような記事を投稿します。 - アーキテクティング - アプリケーション設計 - テスト駆動開発 - ソフトスキル - キャリアプラニング・学習

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【設計ナイトトーク】コンポーネント設計って何だろう?

はじめにこの記事は、2024年6月14日に開催されたテックイベント「設計ナイト2024」で筆者が登壇して話した内容をまとめたものです。設計ナイトは、「吉祥寺.pm」というテックイベントを主宰する@magnoliakさんによる個人の勉強会です。個人の勉強会なのに、虎ノ門ヒルズにあるCARTA HOLDINGSさんの素敵なオフィスのイベント会場で開催され、100名もの技術者を集客していました。すごい! なお本記事は、発表内容のテキスト起こしではなく、当日話し切れなかったことや、

    • JJUG CCC 2024 Fall 感想 (午前)

      日本Javaユーザグループの恒例イベント JJUG CCC に午前中だけ参加したので拝聴したセッションの感想などを書きます。 リファクタリングへの耐性が高いモデルベースの統合テストの紹介 Yuito Sato (@Yuiiitoto) さんによるセッション。 リファクタリング耐性が高いとは? 上のスライドにあるとおり、振る舞いを変えていないのにも関わらず、テストが失敗してしまうようなテストコードがリファクタリング耐性の低いコードです。あるいは脆いテスト(Fragile

      • アーキテクト的戦略思考(トーク概要)

        「アーキテクト的戦略思考」というタイトルのLTを、2024年10月26日に開催される以下のイベントでさせて頂きます。LTといっても、20分の枠をいただいているので、あれこれお話しすることができそうです。 僕は、アーキテクトの主たる任務は技術面での戦略づくりだと考えています。戦略とは、上位の目的を達成するための大局的な方針です。方針がなく、個々の開発者がその場その場の好き勝手な判断で設計を進めていくと、ソフトウェアは巨大な泥団子に向かってまっしぐらとなってしまいます。 戦略

        • 生成AI(LLM)は回文が苦手という話

          以下のやり取りをご覧ください。 定義の部分は問題ありませんが、続いて提示された回文は滅茶苦茶です。「わたしまけましたわ」という有名な回文を除いて、反対に読む以前に日本語として意味が通りません。 検証プロセスを組み込むように指示をすると、多少ましになりますが、やはり意味の通らない日本語が混じっています。 現在の多くのLLMは、Attention機能を中心に設計されたTransformerというアーキテクチャで構築されています。 Attention機構によって文脈における

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          『アジャイルチームによる目標づくりガイドブック』の感想

          『アジャイルチームによる目標づくりガイドブック OKRを機能させ成果に繋げるためのアプローチ』を読了したので感想を書きます。 こちらの本ですが、2024年7月22日に翔泳社から出版ということで、拙書『アーキテクトの教科書』と同じ日に、同じ出版社から世に生み出されました。同期、いや兄弟と言ってしまっていいでしょう(と勝手なことを言う)。 この本では、OKR(Objectives and Key Results)という目標達成フレームワークを用いて組織のゴールを定め、チームと

          『アジャイルチームによる目標づくりガイドブック』の感想

          Difyで何ができるの?(湘.なんか #1 LT補足)

          はじめに2024/8/24(土)に湘.なんか #1というイベントに参加してDifyについてのLTをしました。 時間が足りなくてちゃんと説明できなかったところをこの記事で補足します。 サンプルアプリ「CfPサポートくん」 作ったサンプルアプリ「CfPサポートくん」は、テックカンファレンスにプロポーザルを出す際の、タイトルや概要文を考えてくれる生成AIです。 イベント情報と、話したいトピック、KEY TAKEAWAYSなどを入力してチャットを開始します。 (下図は実際にLT

          Difyで何ができるの?(湘.なんか #1 LT補足)

          Difyで記事バナー画像を生成するエージェントを作成してみた

          はじめにDify(ディファイまたはディーファイ)は生成AIを利用したチャットボットやエージェントを、ノーコードで簡単に作ることができるオープンソースの開発プラットフォームです。 GitHubからプロジェクトをクローンしてDocker上に簡単に環境を構築することもできますし、クラウドサービスを利用することもできます。 さくっと機能を試してみたいなら、公式クラウドサービスでアカウントを作成し、無料のSANDBOXプランを利用するとよいでしょう(利用上限があるので、本格的に使いた

          Difyで記事バナー画像を生成するエージェントを作成してみた

          『手を動かしてわかるクリーンアーキテクチャ』の感想

          書籍『手を動かしてわかるクリーンアーキテクチャ ヘキサゴナルアーキテクチャによるクリーンなアプリケーション開発』を読んだので感想を書きます。 何の本かクリーン「な」アーキテクチャの具体的な設計・実装方法に焦点を当てた本です。タイトルおよびサブタイトルに「クリーンアーキテクチャ」と「ヘキサゴナルアーキテクチャ」の両方が入っているので、若干混乱を招きそうですが、クリーン「な」アーキテクチャの具体例の一つであるヘキサゴナルアーキテクチャの解説書と捉えた方がよいでしょう。原著のタイ

          『手を動かしてわかるクリーンアーキテクチャ』の感想

          『ドメイン駆動設計をはじめよう』の感想

          書籍『ドメイン駆動設計をはじめよう ソフトウェアの実装と事業戦略を結びつける実践技法』を読んだので感想を書きます。(訳者の増田 亨さんから書籍をご恵贈頂きました。改めて御礼申し上げます)。 ※この本では、DDDの用語について従来の訳語とは異なる訳語が使用されています。当記事では、この本で使用される訳語を用いますが、初出に限り「文脈の地図(コンテキストマップ)」のように括弧書きで従来の訳語を記します。 この本の概要構成 この本は全4部構成で、16の章と付録から成り立ってい

          『ドメイン駆動設計をはじめよう』の感想

          『関数型ドメインモデリング』の感想など

          『関数型ドメインモデリング ドメインっ駆動設計とF#でソフトウェアの複雑さに立ち向かおう』を読みました。 概要前提知識について 「はじめに」の記載によると、本書は「ドメインモデリングの手段として関数型プログラミングが実際に優れており、明確かつ簡単な設計を生み出せる、と示すこと」を目的としたものであり、「本書を読むためには、ドメイン駆動設計や関数型プログラミングの予備知識は必要ありません」とされています。 実際には、F#に関する知識は不要であるものの、関数型プログラミング

          『関数型ドメインモデリング』の感想など

          『コンサル0年目の教科書』の感想など

          本の概要著者の古谷昇氏はBCG出身のトップコンサルタントであり、本書も若手のコンサルタント向けの本なのですが、世間一般のコンサル本とはずいぶんと毛色が違います。問題解決のための系統立てられたアプローチがまとめられているわけでもなければ、MECEという言葉すら出てきません。一人前のコンサルタントになるためのコツ、あるいはビジネス一般に応用の効くノウハウを、著者独特の切り口でまとめた本が本書です。 章立ては以下のようになっています。 個人的には、第1章と第2章の内容は非常に興味

          『コンサル0年目の教科書』の感想など

          『脳に収まるコードの書き方』の感想など

          本の概要と感想 タイトルのキャッチーさ、アンクルボブによるまえがき、吉羽さんと原田さんによる翻訳、ということで無条件にポチってた本が届いたので早速読みました。一気に読みました。 この本には、すごく目新しいことが書かれているわけではありません。著者自身、以下のように書いています。 この本の特徴は、レストラン予約システムを題材とした一つのサンプルアプリケーションを使って各トピックを説明していることです。gitのリポジトリを作成することから始まり、ウォーキングスケルトン(Web

          『脳に収まるコードの書き方』の感想など

          チュートリアルのすゝめ

          チュートリアルの利点 オープンソースソフトウェアの公式サイトでは、API仕様書等のドキュメントに加えて、チュートリアルが提供されていることがあります。たとえば、JavaScriptのフロントエンドフレームワークであるReactの公式サイトには、三目並べゲームを題材としたチュートリアルのページがあります。 みなさんは、新しい技術を学ぶ際に、チュートリアルを実施しますか? 筆者は、チュートリアルは必ずやった方がいいと考えています。こういったチュートリアルは、ハンズオンで手を動か

          チュートリアルのすゝめ

          クリーンアーキテクチャの本質を考える

          はじめにアーキテクチャを突き詰める Online Conferenceの公募LT選手権で、「やってみてわかった クリーンアーキテクチャの勘所」というタイトルでトークをしました。LTということで、具体的な技術面でのメリットや、改善すべき点などについて話しました。(登壇資料はこちら) 本稿では、少し視座を上げて、結局クリーンアーキテクチャ(以下、CAと表記)は一体何なのかということについて、現在の筆者の考えを整理したいと思います。 あの図話が手っ取り早いので、例の同心円の図をま

          クリーンアーキテクチャの本質を考える

          『アーキテクトの教科書』のまえがきのようなもの

          2024年7月22日に、翔泳社さんから書籍『アーキテクトの教科書 価値を生むソフトウェアのアーキテクチャ構築』を出版します。 ECサイトの書籍情報には文字数の制限もあるため、いったいこれは何の本で、どんなことが書かれているのかといったことをnoteにまとめたいと思います。 そもそもおまえ誰よ?って話については、前の投稿を参照頂ければと思います。 なぜこの本を書いたか20年以上IT業界で働いて、さまざまな経験を積んで、ようやく一人前のアーキテクト(と自称しても少なくとも怒られ

          『アーキテクトの教科書』のまえがきのようなもの

          『アーキテクトの教科書』 著者経歴

          2024年7月22日に、翔泳社さんから書籍『アーキテクトの教科書 価値を生むソフトウェアのアーキテクチャ構築』を出版します。 ECサイトの書籍情報には文字数の制限もあるため、いったいこれは何の本で、どんなことが書かれているのかといったことをnoteにまとめたいと思います。 そもそもお前誰よ?ってことで、筆者のこれまでの経歴をまとめました。ちょっと長くなってしまったので、本の内容については次の記事にて。 筆者は何者?一社目(ユーザー系SIer、2000年〜) 筆者が新卒で社

          『アーキテクトの教科書』 著者経歴