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競技クイズと野球に共通する面白さ

少し前の投稿で、QuizKnockの東問くんが気になっている話をした。

彼は2023年に日本最大級の学生競技クイズ大会「abc the 21st」で優勝した。
その一部始終の映像を見ながら、本人が解説している動画を見て、競技クイズの面白さを知った。

この競技クイズの面白さ、私がふだん野球で感じている面白さと同質だなーと思ったので、言語化してみる。
(以下、敬称略)


1問ごとに変わる戦略

まず驚いたのは、壇上に上がってスピーカーを探しているという話。
「初めての会場だったから、どこから音を聞いたら良いのか耳で探っている」のだと。
どうやら競技クイズは、想像より何倍も奥が深そうだ。


皆さんは、クイズプレーヤーがボタンを押すタイミングを知っているだろうか。

「わかったら」押すのではない。
「3秒後の自分がわかりそうだと思ったら」押すのだ。


なんてすごい世界なんだろう

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https://youtu.be/FThZvxR151M?si=nxhV4Xrbs96dG1Ig&t=1253
2ndラウンドは「5点先取した5人が通過、2問誤答で失格」というルール。(ちなみに1stは筆記)

通過枠が残り1枠となったところで、東問と、同じ大学の4年生の先輩が4点獲得1バツの状態で並んだ。
正解すれば通過、間違えれば失格というシーンで東問は何を考えたか。

先輩とは長く一緒にクイズをやってきてるから、自分の運命は自分で決めたいという性格なのは知っていた。故に先輩が次の問題で押す事はわかっていた。勝負をしに行っても良かったが、先輩がラストイヤーなので、自分の運命は自分で決めてもらおうと思ってボタンから手を離していた

動画内より抜粋

テンポ早くクイズが読み上げられる環境で、この一瞬の間に、ここまで考えている頭の回転の速さと余裕に惚れた。

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https://youtu.be/FThZvxR151M?si=0mdBOh2VgciBpkP0&t=1775

「兵役の免除」しか読み上げられていない状態で「BTS」の正答を導きだしたことについて、その時どのような思考回路だったか説明している。

早押しクイズというのは、ボタンを”押すまで”と”押してから”で2つのステップに分かれていて〜という解説が非常に興味深い。
noteに書くと複雑なので、気になる人は是非動画を見てほしい

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https://youtu.be/FThZvxR151M?si=OJ1jynxfE6HJKPJf&t=4701
決勝ラウンドでは、残った3人の早押しクイズとなる。
とんでもなく張り詰めた緊張感が漂っていることは想像にたやすい。

そんな中、東問は、双子の兄弟東言にお姫さま抱っこされて登場する。
これによって他の2人の動揺を誘った上に、会場の空気を掴んでいる

この状況で揺さぶりをかけられる余裕がすごすぎる。


「ここで押さないと負ける」「相手があと何問誤答で失格する」「だから相手は押してくる(押してこない)」
一問一問変わる中で、冷静に状況を読んで優勝している

これが競技クイズの面白さだと私は感じた。


1球ごとに変わる戦略

話は変わって、野球も同じ面白さがあると思う。

私は自分でプレーした事は一度もないが、マネージャーとしてスコアを書いてきた。
スコアを書いていると、選手と同じように戦況を考える楽しみがある。
今でも草野球チームに行ってスコアラーをしている。

***
ここから先は、野球のルールを知らない人にもわかるように、私なりの解説をするので不正確な部分があることはご容赦いただきたい。

一球ずつ変わるとはどういう事か。シンプルな例を挙げてみよう。

バッターが、バッターボックスに入ってから出るまでに起きることは大きく分けると3種類ある

  • 自分でヒットを打って塁に出る

  • ピッチャーがボール(ストライクの外側に出たボール)を4つ投げて、塁に出る(フォアボール)

  • ピッチャーがストライク3つ投げて、バッターがアウトになる(三振)

出典:野球用語辞典「ストライクゾーン」


例えば、スリーボール・ノーストライクの時、バッターは一球見逃す。
この状況では、もう一球ボールが来たらフォアボールで出塁できるからだ。

逆に、ノーボール・ツーストライクの時、ピッチャーはわざと少しストライクゾーンを外す(球種については割愛する)。
バッターはボールにバットを当てなければ見逃し三振でアウトになってしまう状況に追い込まれているので、バットを振る可能性が高いからだ。
バットを振られても空振りするような球を投げる事が重要だ。

これは打順や、回数、点差、ピッチャーの癖、ランナーの数によっても変わる。

守備についている人たちも、ただ守備位置に突っ立ってる訳ではない。
これも打順や、回数、点差、バッターの癖、ランナーの数によって、どこに立つべきか変わる。

本当に1球として同じ球はない
1試合の平均投球数が100球だと仮定すると、100回やるべき事が違う。
実に脳みそを使うスポーツだ。

***
そして、東問が登場で駆け引きをしたように、野球でも駆け引きが大切だ。

手前味噌ながら弊夫の話を少しさせてほしい。
(野球を知らない人に説明し始めると、膨大な文章量になるので割愛する。)

大学時代、弊夫は打順2番が多かった。
1番の出塁率が高かったので、2番としては送りバントが上手い…
と見せかけて、バスターが上手かったのだ。

内野手がチャージしてくる中、長打を放つのは見ていて中々気持ちが良かった。

それだけではない。

ちょっとぽっちゃりしている彼は、出塁した後"わざと”肩で息をする。
すると守備側は、こいつ疲れてるな、足も遅いんだろうな、と油断する。
油断したところでしれっと盗塁する。これも見ていて中々気持ちが良い。

野球は駆け引きのスポーツである。


知識と戦略と駆け引き

クイズは一問一問、野球は一球一球、状況は変わり続ける。
こく一刻ととるべき戦略が変わる中で、常に相手を見ながら駆け引きしている

一方で、戦略を考えられるだけは意味がない。当たり前だが、それを実行するスキルも必要だ。

だからこそ、練習という積み重ねが必要なのだ。
練習とは、なんて尊い行為なんだろう。
(自分が練習しないから言えるのだ、当事者からしたら嫌な話だろう。笑)

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