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BEASTスポンサーへの道③【破 其之弐】

Мリーグ2年目の優勝争い

    歴代のМリーグの対局で、個人として最も印象に残っている対局は、2019-2020シーズンの最終戦、U-NEXTパイレーツとセガサミーフェニックス、小林剛と魚谷侑未の対決である。
     ファイナルシーズンの最終戦、パイレーツが優勝ポジションにいた。それを追うのがフェニックス。トップを取ったチームが優勝という状況の中、オーラスでトップ目の小林プロを魚谷プロが逆転するには、跳満ツモか満貫の直撃が必要という、比較的現実的な条件が残っていた。その魚谷プロに、早い巡目に条件を満たす手が入った。魚谷プロは逡巡した後、 祈るように、かすれた声を絞り出しリーチを宣言した。

魚谷プロの最終局のリーチ手牌

   結果は小林プロが、魚谷プロの和了牌である発を抑えきり、魚谷プロもリーチ時は2枚残っていた和了牌をツモれず、流局で終局。小林プロは、U-NEXTパイレーツに初優勝をもたらした。

Мリーグ ドラフト会議2018

    このように、Мリーグには数々の名シーンはあるが、麻雀対局という枠を取り除くと、自分が最もワクワクしたのは、初年度(2018-2019シーズン) のドラフト会議である。これ以上面白いコンテンツは、今後二度と無いであろう。
     2018年8月7日(火)、Мリーグ初のドラフト会議の会場であるグランドプリンスホテル高輪には、200人を超える麻雀プロが集結していた。自身の名前を呼ばれることを予期し、または淡い期待を持ち、もしくは結果を見届けるために、緊張した面持ちで、あるいは談笑しながら、指名を待つ麻雀プロたちの姿が、カメラによって映し出されていた。
    EX風林火山から、第二巡指名を受けた滝沢和典プロが、会場に居なかったことから、Мリーグのドラフト会議では、指名されるプロに、事前のオファーや打診がなかったことが、半ば明らかになった。
    2019-2020シーズンのドラフト会議でも、指名された瑞原プロ、日向プロ、丸山プロが、チームから事前のオファーが無かったとを、様々な媒体で明かしている。(ただし、ドリブンズは女流プロ6人の名前を挙げ、その中から一人を指名すると事前に告知していた。丸山奏子プロの名前も、当然その中にあった)Мリーグのドラフトは、ガチなんだと、この時はそう思った。
   
    ところが、2021-2022シーズンのドラフト会議で、セガサミーフェニックスから指名された、東城りおプロが、過去にМリーガーとしてのオファーがあったが、その時は個人的な事情により、断ったということを、某YouTubeチャンネルで明らかにした。
    1980年2月7日、世紀の一戦であった、アントニオ猪木 VS ウイリー・ウィリアムスの異種格闘技戦について、仕掛け人の梶原一騎が「あの試合は、自分がシナリオを書いたショーだった」と、自著書の中で告白した時の次にショックな出来事だった。
    例えМリーガーとして、ドラフト会議で指名されても、指名された麻雀プロは、契約を断る権利がある。Мリーグもビジネスである以上、そのリスクを考えれば、オーナー企業を持つチームとして、当然のことを行ったまでのことなのだと、自分の短慮に気付いた。もしくは、チーム運営の年数を重ねて、各チームがドラフト指名に関する手法や方針を改めたと考える方が、理に適っているような気がする。

Мリーグ2023-2024ドラフト会議

  昨年のドラフト会議では、赤坂ドリブンズが浅見真紀プロと渡辺太プロを、そしてセガサミーフェニックスが、醍醐大プロをそれぞれ指名した。しかし、今回の記事のテーマとは関連性が薄いので、詳細は語らない。
     昨年のドラフト会議で、指名されたBEASTの選手達に、チームから事前の打診や告知があったかどうか、ここで書くのは野暮である。従って、この件はここでクローズとする。
   兎にも角にも、BEAST Japanext の指名選手について、私見を書き連ねる。

【第一巡指名選手】 猿川  真寿 (日本プロ麻雀連盟)

マジックと言うよりはミラクル
  猿川プロの名前が僕の脳裏に刻まれたのは、麻雀最強戦2015の予選であった。2人勝ち上りのルールで、猿川プロはオーラス西家で、持ち点が僅かに5100点。勝ち上がるには、倍満ツモが必要だった。配牌を見た瞬間、猿川プロは終わったな・・思った。ところが、最後まで勝負を諦めない猿川プロが、条件を満たす聴牌を入れた。残りのツモが2回しかない15巡目のことであった。

猿川プロのモンキーマジックの原点

  一発か裏1という条件があるものの、即座にリーチ。面清を張っていた下家が、和了牌の8索をノータイムでツモ切り。猿川プロは当然の見逃し。続いて対家も、8索を手牌から抜いて合わせる。更には、上家の手牌の8索が組み込まれた面子が、カメラに映し出される。絶体絶命のピンチである。しかし猿川プロの一発目のツモは、和了となる8索だった。実況を務めていた小山GMが、興奮のルツボに陥った。とにかく、劇的過ぎるオーラスの大逆転だった。
     
RTDとはリーチ・ツモ・ドラ1のこと
    次に猿川プロの麻雀を観たのは、Abemaでオンエアーされていた、RTDリーグ2017だった。正確に言えば、[藤田晋 invitational]という冠が付いている。このリーグ戦の出場者は、ホストである藤田晋 氏(サイバーエージェント社長、後にМリーグ機構のチェアマン)の目に留まったトッププロのみが出場できる。リーグ戦の出場枠は16名で、その中には藤田社長自身も含まれている。このリーグ戦に出場できることは、当時の麻雀プロとして大きなステータスであり、猿川プロもその栄誉に浴したのだ。猿川プロがRTDリーグに選出された時、多くの仲間の麻雀プロ達が、猿川プロを祝福したという。彼の人間性の一端を測り知ることができるエピソードである。

猿川プロにnoteでフォローしてもらった
    猿川プロは義理堅い人物である。チームメイトである大介さんのマネージャーさんが、「Dの流儀」ブランドで、グッズの販売をSNSで告知した時、すぐ様 Tシャツを2枚注文したことをポストした。(僕も釣られて黒Tを一枚買った) 
    『ブルドーザーでなぎ倒す!体で覚えたDの麻雀』が発売された時も然り。猿川プロは、しぶしぶ買うことをポストし、宣伝に協力していた。(僕も買おうと思ったら、既にAmazonで予約していたことを忘れていた)
     また、この僕のnoteの最初のフォロワーは、猿川プロなのである!もっとも、僕が記事を投稿するようになる数ヶ月前に、猿川プロのnoteをフォローしたら、フォローバックしてくれただけなので、僕の記事は全く読んでないであろう(笑)。更にはXで猿川プロを約1年前にフォローしたのだが、3か月くらい前に初めて猿川プロのポストにリプしたら、速攻でフォローバックしてくれた。正直嬉しかった。この2つのケースは、義理堅いというよりは、ファンを大事にしているという表現の方が、正しいのかもしれないが。

どうしても気になる 猿川プロの打三萬
     猿川プロの打ち方、打牌選択は独特である・・と評したのは、元KONAMI麻雀格闘倶楽部の藤崎智プロである。しかし、僕の麻雀の力量では、藤崎プロの言っている意味が理解できない。           
    BEASTがМリーグに参戦した、初年度のレギュラーシーズンの終盤戦で猿川プロが登板した試合の話を、例えとして挙げてみる。
     2024年3月15日の第2試合、南3局  一本場  親番、猿川プロが5万超えの持ち点のトップ目で、2番手の内川プロの5巡目のリーチを迎えた場面。猿川プロは一発目に、ほぼノータイムで、対子で持っていた無筋の三萬を切り飛ばした。他のМリーガーなら、もっと時間を使う場面だ。

内川プロのリーチ時の捨て牌
内川プロのリーチを受けての猿川プロの手牌

    この局は醍醐プロから内川プロへの放銃で決着が着き、最終的に猿川プロは、この試合をトップで終えた。勝利者インタビューで、まつかよさんが、あの局面での三萬対子落としの選択の意図を、猿川プロに訊いた。ナイス質問❗️と、僕は思わずガッツポーズをした。(ウソですけど)   
    僕の期待を裏切り、猿川プロの返答は素っ気なかった。『三萬が通りそうだったから』茅森早香プロの素っ気無い応えと、良い勝負であった(笑)。『選択肢として1筒もあったけど、やはり三萬ですね』僕には猿川プロに見えているものが、見えなかった。
    先週の土曜日、或る麻雀イベントに参加するため、渋谷のオクタゴンへ行った。1回戦で運良く、ゲストのまつかよさんと同卓することが出来た。その時、件(くだん)の三萬の打牌選択の質問に対する猿川プロの回答に、まつかよさんは納得できたのですか?と訊いてみた。すると、まつかよさんは『覚えてない。ごめん♪』と答えた(笑) 。半年近くも前のことなので無理もない。その後 彼女は言葉を繋いだ。『猿川さんはおそらく、長年続けてきた麻雀プロの経験則と磨き上げた感性で、三萬が当たり牌となる確率が、限りなく低いと読んだからだと思う』正解のような気もするが、こればかりは、機会があれば、本人の口から直接聞いてみたい。     

  猿川家の真実  
    現在  近代麻雀で、「猿川家の真実」という、猿川夫妻のコラムが連載されており、いつも楽しく読んでいる。猿川プロの奥様である、石田亜沙己プロの書く文章が楽しい。とても楽しい。毎回辛辣な表現で、猿川プロの日常を綴っている。だが、夫に対する愛情が行間に見え隠れしていて、微笑ましい。長く連載が続くことを切に願っている。

   本来の予定では、この記事でBEAST選手4人に対する私見を書き連ねる予定であった。しかし、予想外に猿川選手に紙面(行数)を費やしてしまった。
   という訳で、残りの3選手については、次回の記事にに譲ることにする。思わせぶりなタイトルの核心に近づくのが、少し先に延びてしまった・・。

                                                                       to be continued.

【24/8/26 追記】猿川プロがこの記事を読んで、スキして(♥をつけて)くれた。しかも、この記事についた♥の記念すべき第一号である。
猿川プロ、ありがとうございました。😄


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