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BEASTスポンサーの日常⑦【プロアマ麻雀大会自戦記Ⅵ】(最終回)

Actions of the President 【社長の行動】

    僕が麻雀大会を楽しんでいる頃、見学枠で参加した、社長である弟は何をしていたか?彼は開会して暫くした後、会場を抜けて、当社の非常勤顧問K氏と会食をしていた。朝ご飯は7時頃に、小さめのおにぎり3つ。10時半に駅でカツ丼と蕎麦のセットを食べたばかりなのに、鰻重を食べたそうだ。ダイエットをしているはずなのに、全く不健康極まりない。
    このK氏は、弟が大学卒業後入社した会社の上司で、かなり優秀な人だ。5か国語を操り、更に今現在 スペイン語を習得中だという。お互いがその会社を離れた後も定期的に会い、多岐に渡る情報交換を行ったり、会社経営のアドバイスをもらったり、他業種の経営者を紹介してもらったりしている。また、K氏は若い時から土日限定で、放送作家の仕事もやっており、「かなりんのトップ目とれるカナ?」の初回の台本も書いたという。にわかに信じ難い、意外過ぎる縁である。

     弟が再び会場入りしたのは、15時過ぎ3回戦の途中であった。3回戦と4回戦の休憩時間中、弟は持ち前の人懐っこさで、ちゃっかり中田プロに話しかけていた。これは後から聞いた話だが、弟の知人であるテレビ局関係者のSさんの話から始まり、話題はお互いのビジネスにも及んだそうだ。中田プロも笑顔を浮かべ、傍から見ても会話は盛り上がっているようだった。天下のアイドル☆中田花奈に対しても、初対面にも関わらず、臆することの無い図々しさには、我が弟ながら頭が下がる思いである(笑)。

 Award Ceremony【表彰式】

   4回戦が終わり、最終成績の集計中の待ち時間に、弟が寄ってきた。ジャパネットホールディングスの高田CEOと名刺交換をしたかと、訊いてきた。端的に『まだだよ』と応えた。まさか休憩時間中に、麻雀プロからサインを貰うことに時間を費やしていたため、名刺交換の時間が取れなかったとは言えない(笑)。
    そこに居るから、挨拶してくれば?と僕を促した。弟は既に名刺交換を済ませて、自社と自身を如才なく売り込んだようだ。そういえば、ジャパネットブロードキャスティングの佐藤社長との名刺交換も未だだった。
     ご挨拶が遅れて申し訳ごさいませんと、要人お二方と無事に名刺交換を済ませ、本日のミッションは、コンプリートした。
     その後、BEASTの営業のY氏に頼んで、菅原プロに取り次ぎをお願いし、菅原プロからも無事にサインを戴いた。

菅原千瑛プロのサイン

  いよいよ表彰式が始まった。結果発表は司会者によって行なわれ、下位から順番に名前が呼ばれて行く。順位の発表はマイナス圏からプラス圏へと移って行き、ベスト10まで進んだ。未だ僕の名前は呼ばれていない。司会者の発表は続く。「第3位  桑田賢汰プロ、第2位  魚谷侑未プロ、そして優勝は・・・㈱OKAYAMAの米澤さんです!おめでとうございます!」

    現最強位・桑田プロと、女流最強・魚谷プロの受賞スピーチが終わった後、僕にマイクが渡された。
   『㈱OKAYAMAの米澤でございます。本日はこの様な素晴らしい大会にお招き戴き、誠にありがとうございました。今日は運良く優勝することが出来ましたが、いつもは麻雀大会では負け続けでして、今日に限って何故勝てたのか、その要因を考えてみました。まず1回戦、A卓で猿川プロと同卓だったのですが、南1局の親番で8,000オールを和了った猿川プロを、奇跡的に捲れたのが大きくかったです。僕が南場の親番で、1回目の6,000オールを和了った時、隣のB卓から大介さんが、チームメイトの猿川プロを差し置いて、僕に声援を送ってくれたのも、大きな力になりました。それともうひとつ。今着ている服は、大介さんブランドの「Dの流儀」Tシャツです。SNSでこのTシャツを着ると、ツモ力が上がると宣伝されていましたので、実際に買って着用したところ、見事に最高の結果を得ることが出来ました。本日優勝できたのは、全て大介さんのおかげです!ありがとうございました❗️❗️』

ツモ力が向上する「Dの流儀」Tシャツ
当日 会場で戴いた大介さんのサイン

 After the Festival【優勝祝賀会】

  表彰式が終わり、大会参加者達による、辞去の挨拶が会場内で交わされていた。うちの弟はというと、何と大介さんのお腹を、ユニフォーム越しにポンポンと触っているではないか!大介さんは、平然とニコニコしていた。いつ打ち解けたか知らないが、鈴木大介九段へのこの仕打ちを将棋ファンが見たら卒倒するぞと、僕は思い切り弟を制止した。
   全く、安西先生の顔の肉の垂みをタプタプする桜木花道じゃないんだから・・怖い物知らずとは、かくの如く恐ろしい。
    大きなお祭りが、夢幻の如く終焉を向かえ、 我々は会場を後にした。優勝祝賀会と称して、弟・・ではなく社長が、近くの鮨屋を予約してくれていた。敗けたら残念会になる予定だったそうである。この日たまたま東京で彼女とデートしていた幹部社員もカップルで加わり、総勢4人での宴となった。全員がアルコールを飲め(ま)なかったが。

祝賀会の鮨屋での御膳


     弟は殊の外、喜んでくれていた。今日参加した企業やBEAST Xの選手達に、㈱OKAYAMAの名が、少なからず売れたからである。ただ、優勝スピーチの内容に、会社のピーアールを盛り込まなかったことが、唯一の不満だったそうだ。考えてみれば、その通りである。『では次回ね』と、出来もしない約束をした。
     アルコールを飲む者が、一人もいなかったためか、1時間ほどで、祝勝会はお開きとなった。他の3人は、もう一軒別の場所で遊ぶようなので、僕は一人で帰路についた。帰りの電車の中で、今日の大会、対局を振り返り、深層意識の底に魂を沈めた。

Another  Reason for Victory『もうひとつの勝因』

   このシリーズの③で、オカルトシステム97会場に一番乗りはその場の気を制す!」を発動させていたことは既に書いた。
    実は、これに併せて、最も重要なオカルトシステムを大会に臨むに当たって発動させていたことを、最後に明かすことにする。
     オカルトシステム1「対戦相手にリスペクト」 である。これが、今日の大会の優勝の最大の要因である。

オカルトシステム1の解説

   この本で解説している「オカルトシステム1」は、内容的に不満であるので、自分なりの解釈をこれから述べさせていただく。
      麻雀を打つ者には、強者もおり弱者もいる。ベテランもおり、初心者もいる。しかし、対局者は卓に座れば、皆対等なのである。本人の生い立ち、生き様、社会的地位等、個人のバックグラウンドにあるものは、麻雀というゲームの前においては、全く無意味、無関係なのである。
     日向藍子プロは、Mリーグの対局時の挨拶で、額を卓の縁(ふち)に付けるくらい、深々と頭を下げる。その行為には、この輝かしいステージに居られることへの感謝の気持ちと、自分を謙虚たらしめんという戒めの想いと、対戦相手へのリスペクトが込められている。
    オカルトシステム1も、基本的にはこれと同じである。大会の対局相手は 、麻雀プロや参加企業を代表して出場する猛者たち。強者(つわもの)揃いである。対戦者をリスペクトする気持ちを常に心に抱いて、対局に臨む。大事なのは、それを一瞬たりとも欠かさず、意識すること、これに尽きる。
     そうすることによって、自分に対する驕りの気持ちや、不純な感情が浄化されるのである。そして、それは、麻雀の勝利に欠かすことの出来ない、必要十分条件である「運」に繋がるのである。

Final Words【最後に・・】

    僕は父の影響により麻雀が好きになり、自分人生の多くの時間を麻雀に費やしてきた。家族麻雀から始まり、友人達とのセット麻雀、ゲーセンやファミコンの麻雀ゲーム、フリー雀荘デビュー、麻雀プロへの挑戦と挫折、アマチュア出場枠のあるタイトル戦への参加、憧れの桜井章一会長に会いに行くために「牌の音」へ通ったこと、麻雀プロの戦術書の読破、多数の麻雀マンガの購読、「太田高校雀友会」と「おおらかJC麻雀部会」の結成、麻雀仲間達を集めた大会の主催、モンドTVやABEMAによる麻雀番組の視聴、数種類のネット麻雀のプレイ、Mリーグのサポーターへの加入、Mリーグのパブリックビューイングへの参加、天鳳をプラットフォームにして、オンラインゲームの仲間達で競ったリーグ戦、麻雀プロ達のYouTube番組の視聴、麻雀イベントへの参加、そして、BEAST Xへのスポンサー協賛。
    これら全ての上に、この日の大会の優勝があったのである。

    この大会の優勝を、小学生の僕に麻雀の手ほどきをしてくれた、20年前に他界した今は亡き父に捧げたい。

                                                                                             (了)

後日届いた副賞(日本プロ麻雀連盟  二段の免許状)


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