詩│ここち


悲しさが ほぐしていく
官舎の植木のなつかしさ

悲しさが ほぐしていく
うすらめく桃の入道雲

悲しさが ほぐしていく
胸にのこったひとつ星

悲しさが ほぐしていく
暖炉にこもった熱ざらし

悲しさが ほぐしていく
冬眠したての夏見虫

悲しさが ほぐれていく

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