詩|擦らないより


君の声に背中を押されて
ガラスを突き破ってみたけど
だだっ広い高台に風が抜けるだけ
きっともう手遅れなんだ

思うままに話しても
手を繋ぎ合っても
壁がこすれるだけで
こんなもんなのかと
夢で見ていたほど
変わることもなかったけど
昨日までとは声の向かう先が
ほんのちょっとだけ違うんだ

隠したいことがあるわけでもないのに
続く言葉に詰まるのは
君だからではないって
明日さえわからないから
簡単に信じて欲しくもないけど

心の奥を覗き合って
二人で無理だねって
笑い合ったから
いつか離れることがあったとしても
なにも独りぼっちではないって
きっと忘れることはないと思う

熱い言葉がいつか冷めること
別に弱さだとも思っていないから
大丈夫だって強い言葉は言えないけど
あの時だけは本当に温まってほしかった



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